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遺言の相談はどこにすべき?専門家の選び方と相談の流れを解説!

遺言は、家族に財産をどう引き継ぐかを明確にし、将来のトラブルを防ぐための重要な手段です。しかし、自分で書いただけでは法的に無効になるリスクがあり、残された家族に負担をかけてしまう可能性があります。

そのため、多くの方が「どこに相談すればよいのか」「費用や流れはどうなるのか」と悩んでいます。

本記事では、遺言相談の必要性や相談先の特徴、ケース別の選び方、相談の流れ、さらには失敗しないためのポイントまでを徹底解説します。専門家の視点から実務的な情報を提供するので、初めての方でも安心して参考にしていただけます。

目次

遺言の相談はなぜ必要?

遺言の相談はなぜ必要?

遺言を専門家に相談すべき理由は3つあります。

遺言がない場合に起こる問題、自分で書く際のリスク、そして専門家に相談することで得られるメリットを順に見ていきましょう。これらを理解することで、なぜ遺言相談が重要なのかが明確になります。

遺言がないとどうなる?

遺言がない場合、相続は民法で定められた法定相続分を基準に行われます。しかし、実際には相続人全員で遺産分割協議をしなければ財産の処理はできず、1人でも反対する相続人がいれば手続きが止まってしまいます。

遺言がない場合に起こる問題

  • 遺産分割協議が難航し、家庭裁判所での調停や審判に発展(半年〜数年かかることも)
  • 不動産の売却や預金の払戻しができず、遺族の生活や事業継続に影響
  • 分割しづらい財産(不動産、中小企業株式など)で争いが激化
  • 相続税の配偶者控除などの特例が使えず、税負担が増える可能性
  • 認知症の相続人がいる場合、成年後見人の選任が必要で手続きが複雑化

遺言を残すことで協議を不要にし、手続きを大幅にスムーズに進められるため、家族の安心に直結します。

自分で書くリスクとは

自筆証書遺言は手軽ですが、形式の要件を欠けば全体が無効になるリスクがあります。

よくある無効事例

  • 日付を「吉日」と書いたため無効
  • 署名押印を忘れたため無効
  • 財産目録を自筆で書いたため無効(パソコン作成可能な部分)
  • 訂正方法が不適切で無効(二重線と訂正印だけでは不十分)

さらに、遺言の発見が遅れたり紛失した場合は存在しないのと同じで、改ざんの危険もあります。法務局の自筆証書遺言保管制度を利用すれば紛失や改ざんのリスクは防げますが、形式チェックに留まるため内容の妥当性までは担保されません。

専門家チェックを受けないリスク

  • 遺留分を大幅に侵害している
  • 財産の特定が不十分
  • 執行方法が不明確
  • 法的効力が不安定

法律や相続実務を踏まえずに自己流で書くことは、かえって争いの原因になるリスクを孕んでいます。

専門家に相談するメリット

専門家に相談する最大の利点は、形式的に有効な遺言を作成できるだけでなく、将来的なトラブルを未然に防げることです。

メリット内容
法的有効性の確保形式不備による無効リスクを回避
紛争予防遺留分や紛争リスクを考慮した条項設定
実務的サポート不動産登記や相続手続きまで一貫対応
税務対策相続税や二次相続まで見据えたアドバイス
形式選択の助言自筆証書か公正証書かの適切な判断
過去事例の活用裁判例を踏まえたリスク最小化

結果として、遺族の精神的負担を軽減し、相続手続きを円滑に進められる点で大きな価値があります。

遺言の相談先の種類と特徴

遺言の相談先の種類と特徴

遺言の相談先には弁護士、司法書士、行政書士、公証人という4つの選択肢があります。それぞれ専門分野や費用、対応できる業務範囲が異なるため、自分の状況に合った相談先を選ぶことが重要です。以下、各専門家の特徴を詳しく解説します。

弁護士に相談する場合

弁護士は法的トラブル全般に対応できる専門家であり、遺言相談においても最も包括的なサポートを受けられます。

弁護士の特徴

  • 複雑な法的要素(遺留分、寄与分、特別受益)を考慮した文案作成
  • 紛争が発生した場合にそのまま代理人として対応可能
  • 遺言執行者としての就任も可能
  • 税理士と連携した税務面の総合的アドバイス

費用の目安

  • 相談料:30分5,000円〜1万円
  • 遺言作成:10万〜20万円
  • 遺言執行者報酬:遺産総額の1〜3%程度

こんな方におすすめ: トラブルが予想される、複雑な家族関係、紛争リスクを重視する方

司法書士に相談する場合

司法書士は登記業務の専門家で、不動産を含む遺言相談に特に適しています。

司法書士の特徴:

  • 遺言書の文案作成から相続登記まで一貫対応
  • 遺言執行者としての受任も可能
  • 相続放棄や限定承認の申立書類作成
  • 認定司法書士なら140万円以下の紛争に対応可能

費用の目安

  • 遺言作成:5万〜10万円

こんな方におすすめ: 不動産が多い、登記を確実に進めたい、実務重視の方

行政書士に相談する場合

行政書士は公正証書遺言の下書きや必要資料の収集を得意とし、比較的安価で遺言作成をサポートしてくれます。

行政書士の特徴:

  • 公正証書遺言の下書き作成
  • 戸籍謄本などの必要書類の収集代行
  • 相続関係説明図や財産目録の作成
  • 紛争解決や法的代理は不可
  • 登記業務も不可(別途司法書士への依頼が必要)

費用の目安

  • 文案作成:3万〜5万円

こんな方におすすめ: シンプルな内容、コストを抑えたい、第一歩を踏み出したい方

公証人(公証役場)に相談する場合

公証人は公正証書遺言を作成できる唯一の専門職であり、遺言を確実に効力ある形に仕上げるためには欠かせません。公証人は元裁判官や元検察官などの法律実務経験者から任命されるため、法律知識と実務経験が豊富です。

公証人の特徴:

  • 公正証書遺言の作成(形式不備のリスクなし)
  • 原本が公証役場で保管(紛失・改ざんの心配なし)
  • 検認手続き不要
  • 出張対応も可能(病気などで出向けない場合)

作成手数料(財産価額による)

目的財産の価額手数料
〜1,000万円1万7,000円
1,000万円超〜3,000万円2万3,000円
3,000万円超〜5,000万円2万9,000円
5,000万円超〜1億円4万3,000円

※証人2名の立会いが必要(1名あたり5,000円〜1万円程度)

こんな方におすすめ: 確実な形式を求める、高齢で判断能力の低下が心配、争いを避けたい方

【ケース別】遺言の相談先の選び方

【ケース別】遺言の相談先の選び方

自分の状況に最適な相談先を選ぶには、遺言内容の複雑さ、トラブルの可能性、所有財産の種類、予算などを考慮する必要があります。以下、代表的な4つのケースと、費用・対応範囲の比較表をご紹介します。

シンプルな遺言→行政書士・公証役場

該当するケース

  • 配偶者に全財産を相続させる
  • 相続人が配偶者のみ、または配偶者と子供だけ
  • 家族関係が良好で争いの余地が少ない

おすすめの進め方: 行政書士に文案を作成してもらい、公証役場で公正証書化するのが効率的です。費用も抑えやすく、形式的なリスクも少ないため安心です。

トラブル予防・複雑な内容→弁護士

該当するケース

  • 相続人が複数いる
  • 再婚家庭で前妻の子がいる
  • 相続人の一部と疎遠
  • 事業承継を含む
  • 相続人以外への遺贈や寄付を検討

おすすめの進め方: 遺留分を侵害しない分配方法や紛争予防の条項設定、遺言執行者の指定など、専門的な助言を受けられます。

不動産登記も必要→司法書士

該当するケース

  • 不動産を複数所有
  • 不動産の共有関係を解消したい
  • 相続税の申告が不要な規模

おすすめの進め方: 遺言作成と登記を一括で依頼でき、実務負担を減らせます。相続手続き全般に精通しているため、スムーズに完了します。

相続税対策も含めて相談したい→税理士と連携している専門家

該当するケース

  • 相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える財産がある
  • 節税を考慮した遺言内容を検討したい

おすすめの進め方: 税理士と連携している弁護士や司法書士に相談することで、以下のような総合的なアドバイスが受けられます。

  • 生前贈与の活用
  • 生命保険の非課税枠の利用
  • 不動産の評価減の検討

費用・対応範囲の比較表

相談先一般的な費用目安得意分野対応範囲向いているケース
弁護士10万〜20万円紛争予防・複雑な案件遺言作成、紛争代理、遺留分対策、遺言執行トラブルが予想される、複雑な家族関係
司法書士5万〜10万円不動産相続・登記遺言作成、相続登記、遺言執行、140万円以下の紛争不動産が多い、実務重視
行政書士3万〜5万円文案作成・手続き支援遺言下書き、公正証書準備、書類収集シンプルな内容、コスト重視
公証人財産額に応じて変動
(1.7万〜数万円)
公正証書遺言作成公正証書遺言の作成のみ確実な形式を求める

遺言の種類別おすすめ相談先

遺言の種類別おすすめ相談先

遺言には主に「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。それぞれに適した相談先が異なり、メリット・デメリットも異なるため、自分の状況に応じて最適な形式を選びましょう。

公正証書遺言を作りたい場合

公正証書遺言は最も確実な形式であり、以下のメリットがあります。

メリット

  • 形式不備のリスクがない
  • 公証人が作成するため法的に有効
  • 原本が公証役場に保管され紛失や改ざんの心配なし
  • 家庭裁判所での検認手続きが不要
  • 死後すぐに遺言執行が可能

作成の流れ

  1. 行政書士や司法書士に下書きを依頼
  2. 公証役場で作成
  3. 費用:8万〜15万円程度(専門家報酬+公証人手数料)

こんな方におすすめ: 高齢で判断能力の低下が心配、確実に遺言を残したい、争いを避けたい方

自筆証書遺言のチェックをしたい場合

自分で作成した遺言に不備がないか確認したい場合の対応方法です。

チェック内容

  • 日付の書き方は正しいか
  • 財産の特定は十分か
  • 遺言執行者の指定は適切か
  • 訂正方法は適切か

費用

  • 司法書士や弁護士のチェック:1万〜3万円程度
  • 法務局の保管制度:3,900円

メリットとデメリット:

メリットデメリット
費用を抑えられる形式不備のリスクあり
いつでも作成・変更可能紛失や改ざんのリスクあり
内容を秘密にできる検認手続きが必要

専門家によるチェックを受け、法務局の保管制度と併用すれば、より安全に遺言を残せます。

秘密証書遺言を検討している場合

秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密にしたまま、遺言の存在だけを公証人に証明してもらう方式です。

実務上の問題点

  • 内容は秘密にできても形式不備のリスクは残る
  • 公正証書遺言のメリット(形式の確実性)は得られない
  • ほとんど利用されていない

現実的な代替案: 内容を秘密にしたい場合は、自筆証書遺言を法務局で保管する方法が現実的です。この場合も、事前に専門家のチェックを受けることをおすすめします。

無料・低コストで遺言について相談できる窓口

無料・低コストで遺言について相談できる窓口

費用面で不安がある方でも、無料または低コストで専門家に相談できる窓口があります。まずはこうした制度を活用して、情報収集から始めるのも賢い選択です。

ただし、無料相談は時間が限られているため、事前に質問事項を整理しておくことが重要です。

自治体の無料法律相談

特徴

  • 弁護士や司法書士に30分程度相談可能
  • 月に1〜2回程度の開催が一般的
  • 事前予約が必要

メリット・デメリット

メリットデメリット
完全無料時間が限られている(30分程度)
気軽に相談できる継続的なサポートは受けられない
初期段階の情報収集に最適具体的な遺言作成は別途依頼が必要

法テラス

法テラス

特徴

  • 法テラスは収入基準を満たす方なら無料相談を受けられる
  • 収入基準:月収が単身者で18万2,000円以下など
  • 弁護士費用の立替制度もあり

注意点: 立替制度は分割での返済が必要です。

専門家の初回無料相談

特徴

  • 多くの専門家事務所で「初回相談無料」や「初回相談30分無料」を実施
  • 相性や専門性を確認してから本格的に依頼可能

探し方

  • ホームページで「初回無料」と記載されている事務所を検索
  • タウンページで確認
  • 口コミサイトを参考

各種専門家団体の相談窓口

主な団体

  • 日本弁護士連合会
  • 日本司法書士会連合会
  • 日本行政書士会連合会

定期的に無料相談会を開催しています。専門家のウェブサイトやSNSで情報を確認できます。

遺言相談の流れと準備すること

遺言相談をスムーズに進めるには、事前準備が重要です。必要書類を揃え、相談から完成までの流れを理解しておくことで、効率的に遺言を作成できます。

また、専門家とのやり取りもスムーズになり、費用の節約にもつながります。

相談前に準備すべき書類・情報

以下の書類・情報を事前に準備しておくと、相談がスムーズに進みます。完璧に揃っていなくても相談は可能ですが、できる限り整理しておくと良いでしょう。

必須の準備物

項目内容備考
財産目録預貯金、不動産、株式、保険、貴金属、自動車など通帳のコピーや登記簿謄本があるとより正確
負債の情報住宅ローン、借入金など残高も含めて把握
戸籍謄本相続人の確認に必要本籍地の市区町村役場で取得
家族構成の整理相続人や受遺者の氏名、生年月日、続柄、連絡先関係図を作成すると分かりやすい
希望する分配内容誰に何を相続させたいか理由も書いておくと専門家が適切な助言をしやすい

任意の準備物

  • 医療・介護・葬儀に関する意向
  • デジタル遺産(SNSアカウント、暗号資産など)の取扱い
  • 付言事項(家族へのメッセージ)

相談から遺言書完成までの流れ

遺言作成は以下のステップで進みます。各段階でしっかり確認しながら進めることが重要です。

ステップ内容期間
1. 初回相談専門家が財産状況や希望を聞き取り、最適な遺言形式を提案。費用の見積もりも提示1〜2時間
2. 文案作成専門家が法的に有効な遺言文案を作成。遺留分の計算や税務上の検討も実施1〜2週間
3. 内容確認・修正依頼者が内容を確認し、必要に応じて修正。疑問点があれば遠慮なく質問1週間〜
4. 公正証書遺言の場合公証役場との日程調整後、公証人と証人2名立会いのもと作成。必要書類を持参1日
5. 自筆証書遺言の場合専門家の助言に基づいて自筆で清書し、法務局の保管制度を利用(保管料3,900円)1日

全体の所要期間

  • シンプルなケース:1〜2か月
  • 複雑なケース:3か月以上

※不動産が多い場合や相続税対策を含める場合は時間がかかる傾向があります。

遺言相談時によくあるトラブルと対策

遺言相談や作成の過程では、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。事前に知っておくことで、適切に対処できます。

専門家選びでのトラブル

よくあるトラブル

  • 相談した専門家が遺言に詳しくない
  • 高額な費用を請求された
  • 説明が不十分だった

対策

対策具体的な方法
専門性の確認相続・遺言を専門とする専門家を選ぶ。ホームページで実績を確認
費用の透明性事前に費用の見積もりを確認し、書面でもらう
コミュニケーション不明点は納得するまで質問。説明が丁寧な専門家を選ぶ

家族間でのトラブル

よくあるトラブル

  • 遺言の内容を家族に伝えるべきか悩む
  • 内容を伝えたら関係が悪化した
  • 内容を秘密にしたら死後に不満が出た

対策

対策具体的な方法
段階的な情報共有まず配偶者や信頼できる家族から少しずつ内容を伝える。一度に全てを話さず、相手の反応を見ながら進める
遺言の趣旨説明単に内容を伝えるだけでなく、なぜその内容にしたのか理由や想いを丁寧に説明する
家族会議の開催全員が揃う場で公平に説明し、質問や意見を聞く機会を設ける。中立的な専門家の同席も検討
書面での補足口頭だけでなく、遺言の趣旨や家族への想いを手紙として残しておく
定期的な見直し家族状況の変化に応じて遺言内容を見直し、その都度家族と相談する
第三者の活用家族だけでは感情的になりやすい場合は、弁護士や税理士などの専門家に仲介を依頼

状況別の判断基準

状況おすすめの対応
家族関係が良好事前に内容を伝え、理解を得る
争いが予想される付言事項で想いを伝え、専門家に相談
秘密にしたい遺言執行者に意図を伝えておく

遺言執行時のトラブル

よくあるトラブル

  • 遺言執行者が指定されていない
  • 指定された人が辞退した
  • 手続きが滞った

よくあるトラブル

  • 遺言執行者が指定されていない
  • 指定された人が辞退した
  • 手続きが滞った

対策:

対策具体的な方法
遺言執行者の必須指定遺言書作成時に必ず遺言執行者を指定する。相続手続きをスムーズに進めるため欠かせない存在
事前承諾の確保指定予定者に事前に相談し、承諾を得てから遺言書に記載する。突然の指定は辞退される可能性が高い
予備執行者の指定第一候補が辞退や死亡した場合に備えて、予備的な遺言執行者も併せて指定しておく
専門家の活用検討相続手続きが複雑な場合は、弁護士や司法書士などの専門家を執行者に指定することも有効
執行者への情報提供遺言書の保管場所や財産の概要を執行者に事前に伝えておき、スムーズな手続きを可能にする
定期的な確認指定した執行者の状況変化(高齢化、転居等)を定期的に確認し、必要に応じて変更する

相談先: 国際相続に精通した専門家

遺言相談で失敗しないためのポイント

遺言相談で失敗しないためのポイント

遺言相談を成功させるには、いくつかの注意点があります。以下のポイントを押さえることで、より良い遺言を残すことができます。

複数の専門家に相談して比較する

理由: 費用や提案内容は専門家によって異なります。可能であれば2〜3人の専門家に相談し、比較検討することをおすすめします。

比較すべきポイント

  • 費用の明確さ
  • 説明の分かりやすさ
  • 専門性の高さ
  • 相性・話しやすさ
  • 実績・経験

遺留分に配慮する

遺留分を侵害する遺言も有効ですが、後で遺留分侵害額請求をされる可能性があります。

対策

  • 専門家と相談しながら、できるだけ遺留分に配慮した内容にする
  • やむを得ず侵害する場合は、付言事項で理由を説明
  • 生前贈与などで調整を検討

定期的に見直す

財産状況や家族関係は変化します。数年ごとに遺言内容を見直し、必要に応じて書き直すことが大切です。

見直しが必要なタイミング

  • 結婚・離婚
  • 子供の出生
  • 相続人の死亡
  • 大きな財産の増減
  • 不動産の取得・売却
  • 事業の承継

遺言執行者を指定する

遺言執行者を指定しておくことで、死後の手続きがスムーズになります。

遺言執行者の選び方

選択肢メリットデメリット
信頼できる親族費用がかからない法律知識が不足する可能性
専門家(弁護士・司法書士)確実に執行される報酬が必要(遺産の1〜3%)

注意点: 専門家を指定する場合は、事前に承諾を得ておくことが重要です。予備的な遺言執行者も指定しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

遺言相談はどの段階ですべき?

判断能力が十分なうちに相談するのが理想です。早めに動くことで形式選択や専門家比較に余裕を持てます。目安としては、60歳を過ぎたら一度検討することをおすすめします。

費用が心配だけど無料で相談できる?

自治体・法テラス・初回無料相談を活用すれば費用負担なしで専門家に意見を聞けます。本格依頼はその後検討可能です。

遺言相談に必要な書類は?

財産目録、戸籍、希望分配メモなどを準備しておくと効率的です。不完全でも相談自体は可能ですが、できる限り整理しておくと良いでしょう。

オンラインでの相談は可能?

近年はオンライン対応する専門家が増えており、遠方や多忙な方でも自宅から相談できます。Zoom、Skype、Google Meetなどを利用することが多いです。

家族も同席すべき?

必須ではありませんが、相続人と意思を共有することでトラブルを防げる場合があります。ただし、内容を秘密にしたい場合は一人で相談しても問題ありません。状況に応じて検討しましょう。

相談だけで終わってもいい?

相談のみで終えることも可能です。内容を理解した上で改めて依頼するのも自然な流れです。強引な営業をする専門家は避けるべきです。

相談後、作成までどのくらいかかる?

シンプルな内容で1〜2か月、複雑なケースでは3か月以上かかります。スケジュールを踏まえ、早めに準備するのが賢明です。公証役場の予約状況によっても左右されるため、余裕を持って進めましょう。

遺言は何歳から作れる?

民法上、15歳以上であれば遺言を作成できます。ただし、実際には成人してから作成するのが一般的です。高齢になるほど判断能力の問題が生じる可能性があるため、元気なうちに作成することをおすすめします。

一度作った遺言は変更できる?

はい、いつでも変更・撤回が可能です。新しい遺言を作成すれば、古い遺言は自動的に撤回されます(矛盾する部分のみ)。ただし、確実に撤回するには、古い遺言を破棄するか、撤回する旨の新しい遺言を作成しましょう。

まとめ|遺言の相談は早めに専門家へ

まとめ|遺言の相談は早めに専門家へ

遺言は残された家族への思いやりであり、早めに専門家へ相談することが重要です。弁護士・司法書士・行政書士・公証人はそれぞれ得意分野があり、ケースに応じた選択が必要です。

遺言作成のステップ

1. 準備段階

  • 財産状況と家族関係を整理
  • どのような遺言を残したいかを明確化
  • 必要書類を収集

2. 専門家選び

  • 複数の専門家に相談して比較検討
  • 費用だけでなく、説明の分かりやすさや相性も重視
  • 実績や専門性を確認

3. 作成・実行

  • 専門家の助言に基づいて作成
  • 定期的な見直しを実施
  • 家族への配慮を忘れずに

活用できるサービス

準備段階では「遺言ネット」のようにエンディングノート作成や遺言下書きができるサービスを活用するのも有効です。オンライン相談も活用すれば、自宅にいながら専門家のアドバイスを受けられます。

重要なポイント

遺言は一度作って終わりではありません。見直しが必要なタイミングを確認にしておきましょう。

見直しが必要なタイミング

  • 結婚・離婚・出生・死亡などの大きな変化
  • 財産状況の大幅な変動
  • 家族関係の変化
  • 法律改正があった場合

最後に

最も大切なのは、判断能力が十分なうちに行動することです。「まだ早い」と思わず、元気なうちに一度相談してみることをおすすめします。

今日からできること

  1. 財産と家族関係を整理する
  2. 無料相談窓口に予約する
  3. エンディングノートを書き始める
  4. 信頼できる専門家を探す

効率的に準備を進め、安心できる遺言を残しましょう。家族の将来の安心のために、今日から一歩を踏み出してみてください。