デジタル遺言はいつから使える?制度開始時期と最新情報を解説
「デジタル遺言はいつから使えるの?」という疑問をお持ちの方へ。公正証書遺言のデジタル化は2025年10月1日から既に開始されており、自宅からオンラインで作成できるようになりました。
一方、自筆証書遺言のデジタル化は現在検討段階で、開始は早くても2026年以降の見込みです。本記事では、デジタル遺言の最新状況と、制度開始を待たずに今すぐできる対策について詳しく解説します。

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目次
デジタル遺言はいつから使える?【結論】

デジタル遺言の開始時期は、遺言の種類によって大きく異なります。公正証書遺言のデジタル化は2025年10月1日から開始されており、自宅などからオンラインで作成できるようになりました。一方、自筆証書遺言のデジタル化は検討段階にあり、具体的な開始時期は未定です。
デジタル遺言制度の導入は、日本における終活・相続対策の大きな転換点となります。令和2年の死亡者数約137万人に対し、自筆証書遺言は約31,000件(約2%)、公正証書遺言は約7%に過ぎません。遺言書の利用率は極めて低い状況です。デジタル化により、この状況が改善されることが期待されています。
それぞれの状況を詳しく見ていきましょう。
公正証書遺言のデジタル化:2025年10月1日開始(決定済み)
公正証書遺言は、令和5年6月の公証人法や民法等の一部改正により、令和7年(2025年)中のデジタル化開始が決定しました。予定通り、2025年10月1日から公正証書の作成手続きのデジタル化が正式に開始されています。
この改正は約20年ぶりの大規模な制度改革です。これまで公証役場に出向く必要があった手続きが、一定の要件を満たせば自宅などからオンラインで完結できるようになりました。高齢者や身体が不自由な方、遠方に住んでいる方にとって大きなメリットがあります。
デジタル化された公正証書遺言は、Web会議システムを利用した本人確認や電子署名により、従来と同等以上の信頼性を確保しています。手数料も見直されており、ひとり親家庭や身寄りのない高齢者など特に支援が必要な方向けに、一定条件で軽減される制度が設けられました。
自筆証書遺言のデジタル化:未定(検討段階)
自筆証書遺言については、法務省が法制審議会を立ち上げ、令和6年4月16日の第1回会議以降、議論を進めています。2025年7月には法制審議会で遺言制度見直しの中間試案がまとめられ、公開されました。しかし、現時点では具体的な制度設計や開始時期は決定していません。
自筆証書遺言は全文を自筆で書くことが要件とされています。これが高齢者にとって大きな負担となっていました。「全文を自筆しなければならない」という厳格な方式が高いハードルとなり、書くのを躊躇する人が多く、せっかく書いても無効になるケースも少なくありません。
ただし、デジタル化にあたっては本人確認や真意の確認方法について慎重な検討が必要です。遺言は遺言者の死亡後に効力を生じるという特殊性があります。生前に本人の真意を確実に確認できる仕組みの構築が不可欠です。そのため、実際に制度が始まるのは早くても2026年以降になると見込まれています。2027年以降にずれ込む可能性も十分にあります。
現在の状況(2025年11月時点)
2025年11月時点で、公正証書遺言のデジタル化は既に運用が開始されており、実際に利用可能です。公証役場によってはリモート方式での作成にも対応しています。Web会議システム(Microsoft Teams)を利用して、遠方に住んでいる方や外出が困難な方でも遺言作成が可能になりました。
現在は制度開始直後であり、各公証役場での対応状況にばらつきがある可能性があります。リモート方式を利用したい場合は、事前に管轄の公証役場に問い合わせて対応可能か確認することをお勧めします。利用にあたっては、パソコンやタブレット、安定したインターネット環境、Webカメラやマイクなどの設備が必要です。
一方、自筆証書遺言については引き続き従来通りの方式(全文自筆、署名押印)での作成が必要です。デジタルでの作成は認められていません。パソコンやスマートフォンで作成した遺言書は、現行法では無効となるため注意が必要です。ただし、法制審議会での議論は着実に進んでおり、今後の法改正により自筆証書遺言のデジタル化も実現する可能性があります。
公正証書遺言のデジタル化|2025年10月1日スタート

令和5年6月に「民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」が成立しました。これにより、公正証書契約に関連する手続きがデジタル化されることになりました。公正証書遺言もその対象です。
デジタル化の背景には、高齢化社会の進展により遺言書作成のニーズが高まる一方で、公証役場への来訪が困難な高齢者が増加しているという社会的課題があります。これまで公正証書遺言は、公証役場に出向き、証人を立てて作成する必要がありました。高齢者や遠方の方にとっては大きな負担となるケースも少なくありませんでした。2025年10月1日から新制度がスタートしたことで、こうした課題の解決が期待されています。
何が変わるのか
新制度では、公正証書の原本が電子データとして作成・保管されるようになりました。一定の要件を満たせば自宅からオンラインで遺言を作成できるリモート方式も利用可能です。これは公正証書制度始まって以来の大きな変革といえます。
対面不要のオンライン作成
これまで必須だった公証役場への来訪が不要になりました。Web会議システム(Microsoft Teams)を利用して公証人とオンラインで面談できます。遺言者は自宅や介護施設など、都合の良い場所から遺言作成に参加できます。
電子署名の導入
本人の署名・押印についても、電子ペンでディスプレイ等に手書きする形式の電子署名での意思表示が可能になっています。従来の押印が不要となり、タブレット端末などを使用した電子的な署名で法的効力が認められます。本人確認の厳格性は従来以上に重視されており、顔認証技術などを用いたeKYC(オンライン本人確認)が導入されています。
柔軟な受け取り方法
公正証書の受け取り方法も、以下の3つから選べるようになりました。
- 電子データを出力した書面
- インターネットからメールで受信(クラウド経由でダウンロード)
- USBメモリ等を使ってデータで受け取る
遺言公正証書の正本・謄本の電子データでの提供は1通2,500円、紙での交付には1枚あたり300円の手数料が必要です。利用者のニーズに応じて、最適な方法を選択できます。
手数料の見直し
公正証書の作成手続のデジタル化に併せて、手数料が見直されました。少額の契約でも利用しやすいよう、財産額や契約金額が少ない場合の手数料体系が見直されています。経済的に困窮している方への支援制度も拡充されており、より多くの方が公正証書遺言を利用しやすくなっています。
開始までのスケジュール
公正証書遺言のデジタル化に向けたスケジュールは、法律の成立から施行まで計画的に進められてきました。令和5年6月14日に公証人法が改正され、令和7年12月13日までに施行予定とされました。実際には、システム開発や公証人の研修、運用マニュアルの整備などが順調に進み、2025年10月1日に施行されています。
施行前には、全国の公証人を対象とした集中研修が実施されました。Web会議システムの操作方法、オンラインでの本人確認手法、電子署名の取り扱いなどについて徹底的な教育が行われました。システムのセキュリティ対策も万全を期し、個人情報の保護や改ざん防止の仕組みが構築されています。
現在は運用が始まったばかりの段階ですが、各公証役場での運用事例が蓄積されることで、より円滑な手続きが可能になると期待されています。法務省や日本公証人連合会では、利用者からのフィードバックを収集し、必要に応じて運用の改善を図る方針です。
利用できる手続き
デジタル化により利用可能となった手続きには、いくつかのパターンがあります。リモート方式では、列席者の参加形態にいくつかのパターンが想定されています。各自が自分のPCから参加する方法、公証役場外の場所から1台のPCで参加する方法、列席者の一部が公証役場で公証人用のPCを利用して参加し残りの列席者がリモート参加する方法などがあります。
完全リモート方式
遺言者、証人、公証人がそれぞれ別の場所からWeb会議システムで参加し、完全にオンラインで遺言を作成する方式です。遺言者は自宅、証人も各自の自宅や職場、公証人は公証役場からそれぞれ参加します。移動の負担が一切なく、最も利便性が高い方式といえます。
ハイブリッド方式
一部の列席者は公証役場に来訪し、一部はリモートで参加する方式です。たとえば、遺言者と証人の一人は公証役場に来訪し、もう一人の証人はリモートで参加するといった形態が可能です。対面とオンラインの利点を組み合わせた柔軟な方式といえます。
従来の対面方式
従来通り全員が公証役場に集まって作成する方式も引き続き利用可能です。デジタル機器の操作に不安がある方や、対面での手続きを希望する方は、この方式を選択できます。
ただし、すべてのケースでリモート方式が認められるわけではありません。公証人は、遺言者の本人確認や真意の確認を厳格に行う必要があるため、ケースバイケースで対面での手続きが必要と判断される場合もあります。遺言内容が複雑な場合や、遺言者の判断能力に疑義がある場合などは、対面での慎重な確認が求められることがあります。
証人についても同様で、状況に応じて公証役場への来訪が求められることがあります。証人には、遺言者の本人確認と真意の確認という重要な役割があるため、公証人が必要と判断した場合には対面での立ち会いが必要となります。いずれの方法を利用する場合でも、事前に公証役場に相談し、自分の状況に適した方法を確認することが重要です。

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自筆証書遺言のデジタル化|検討段階

自筆証書遺言は、遺言者が一人で作成できる最も手軽な遺言方式として広く利用されています。証人が不要で、費用もかからないというメリットがある一方で、全文を自筆で書く必要があるなど厳格な要件があります。高齢者には負担が大きいという課題がありました。
また、方式の不備により無効となるケースも多く、せっかく作成した遺言書が法的効力を持たないという問題も指摘されています。こうした背景から、デジタル技術を活用した新たな方式の導入に向けた検討が進められています。
現在の検討状況
法務省は「デジタル遺言制度」の導入に向けて法制審議会を立ち上げ、令和6年4月16日の第1回会議以降、議論を進めています。令和6年10月末までに6回の検討を重ね、2025年7月には法制審議会で遺言制度見直しの中間試案がまとめられ、公開されました。
中間試案では、自筆証書遺言のデジタル化に関する複数の選択肢が提示されています。主に「文字情報に係る電磁的記録を遺言とする方式(甲案)」と「プリントアウトした書面を遺言とする方式等(乙案)」の両方が検討されています。甲案は完全にデジタルデータとして遺言を作成・保管する方式です。乙案はデジタルで作成した内容を紙に出力して遺言とする方式です。
現在は、この中間試案に対するパブリックコメント(国民からの意見募集)の結果を踏まえ、さらに具体的な制度設計に向けた議論が行われている段階です。法制審議会では、デジタル技術を活用しながらも、従来の自筆証書遺言と同程度の信頼性を確保できる方式について慎重に検討を重ねています。特に重視されているのは、遺言者本人が作成したことの確実性と、遺言者の真意に基づくものであることの担保です。
議論されている主な内容
デジタル遺言制度の導入にあたっては、以下の3点が主な争点となっています。
- 本人確認を含めた遺言の真正性および正確性の担保
- 文書以外の方式(映像など)の遺言を認めるか否か
- 遺言書のデータを法務局で保管・交付できるようにするか否か
本人確認と真意の確認
最も重要な論点は、デジタルで作成された遺言が確実に本人によるものであり、本人の真意に基づくものであることをどのように担保するかという点です。電子署名やブロックチェーン技術が活用されることが予想されます。
また、遺言作成にあたって証人の立ち会いと録画を要件にすることで、自筆での記述や押印を不要にするという案も検討されています。録画により作成過程を記録することで、後日の紛争を防止し、遺言の真正性を担保しようという考え方です。
作成方式の選択肢
デジタル化の具体的方法としては、以下のような方式が議論されています。
- タブレット上でデジタルタッチペンを用いて書く方法
- パソコン上でワープロソフト等を利用して書く方法
- ウェブサイトにアクセスして遺言の内容を入力する方法
それぞれの方式には長所と短所があります。利用者のITリテラシーや身体状況に応じて選択できる柔軟な制度設計が求められています。
タブレットとデジタルペンを使う方式は、手書きに近い感覚で作成できるため高齢者にも受け入れられやすい一方、機器の準備が必要です。パソコンでのワープロ入力は効率的ですが、操作に不慣れな方には難しい面があります。ウェブサイトのフォーマット入力方式は、項目に従って入力するだけで形式面の不備を防げるメリットがありますが、細かな表現を盛り込みにくいという課題があります。
映像・音声による遺言の可否
2つ目のポイントは、遺言のデータ形式について、文書だけでなく映像や音声記録を使用した方法も認めるか否かです。映像や音声が認められれば、遺言者は自分の意思をより多様な方法で表現できるようになります。文字入力が困難な方にとっては有効な手段となる可能性があります。
一方で、映像や音声による遺言を認める場合、内容の特定性や明確性をどのように担保するか、後から編集・加工された可能性をどう排除するかなど、技術的・法的な課題も多く指摘されています。
法務局での保管・交付制度
3つ目のポイントは、遺言書のデータを法務局で保管して、必要になった際に電子交付できるようにするか否かです。現状でも、自筆証書遺言の原本および画像を法務局で保管する仕組みがあります。2020年7月から始まった自筆証書遺言書保管制度を拡充し、デジタル遺言にも対応させることで、紛失や改ざんのリスクをさらに減らし、相続手続きの効率化を図ることが検討されています。
開始時期の見通し
自筆証書遺言のデジタル化については、現時点で具体的な開始時期は決まっていません。法制審議会では、令和6年4月の第1回会議から令和6年10月末まで6回の検討を重ねており、2025年7月には中間試案が公表されました。
今後のスケジュールとしては、パブリックコメントの結果を踏まえて最終案がまとめられ、法制審議会から法務大臣への答申、国会での法改正審議を経て施行されることになります。
このプロセス全体を考慮すると、実際に制度が始まるのは早くても2026年以降になると見込まれます。法改正後も、システムの構築や運用体制の整備に一定の期間が必要となるため、実際に利用できるようになるまでにはさらに時間がかかる可能性があります。
ただし、本人確認の方法や真意の確認手段など、解決すべき技術的・法的課題も多く、慎重な議論が必要とされています。そのため、2027年以降にずれ込む可能性もあります。デジタル技術の急速な進化に対応しながら、長期的に安定した制度を構築する必要があるため、拙速な導入は避けられるべきとの意見もあります。
制度の導入を検討されている方は、法務省や法制審議会の最新情報を定期的に確認することをお勧めします。法務省のウェブサイトでは、法制審議会の議事録や配布資料が公開されており、議論の進捗状況を把握できます。
現行法ではデジタルで作成した遺言書は無効

現在の民法では、遺言書の作成方式が厳格に定められており、その方式を満たさない遺言書は法的効力を持ちません。これは「方式主義」と呼ばれる原則で、遺言の有効性を明確にし、紛争を防止するために設けられています。パソコンやスマートフォンで作成した遺言書については、現行法では原則として無効とされるため注意が必要です。
重要な注意点
現行法では遺言書のデジタル化は原則的に認められていません。オンライン上で作成した遺言書を遺しても、相続人がその遺言書通りに遺産相続を行う法的な拘束力は得られません。この点は実務上非常に重要であり、誤解している方も少なくありません。
自筆証書遺言の要件
自筆証書遺言の場合、民法第968条により、以下の要件を満たす必要があります。
- 遺言者が、遺言書の全文(財産目録を除く)を自書すること
- 日付を自書すること
- 氏名を自書すること
- 押印すること
遺産分割協議書であれば全文をパソコンで印字したものでも有効です。しかし、自筆証書遺言の場合には、パソコンで全文を印字したり、日付けや氏名の記載が漏れてしまったら、民法に定める方式を満たしていないとして遺言が無効となってしまいます。
よくある無効事例
- パソコンで本文を作成し、署名のみ自筆にしたケース
- 日付の記載がないケース(例:「令和7年吉日」など特定できない表記)
- 押印を忘れたケース
- 訂正方法が適切でないケース
これらはいずれも、せっかく作成した遺言書が無効となり、遺言者の意思が実現されないという結果を招きます。
公正証書遺言のデジタル化と混同しない
公正証書遺言については2025年10月1日からデジタル化が開始されましたが、それ以前に作成されたものは従来の方式(対面・書面)によるものに限られます。
さらに重要な点として、公正証書遺言のデジタル化は「作成手続きのデジタル化」であり、自筆証書遺言をパソコンで作成できるようになったわけではありません。この点を混同しないよう注意が必要です。
民間のデジタル遺言サービスとの違い
近年、ウェブ上やスマートフォンアプリで遺言書を作成できるサービスが増えています。これらのサービスは便利ですが、その法的位置づけを正しく理解することが重要です。
「デジタル遺言サービス」とは、死後に家族や周囲の方に伝えたい内容をデジタルデバイスやオンライン上に残しておくサービスです。遺言といっても法的拘束力がないので、デジタル上に残すエンディングノートのようなものだと捉えてよいでしょう。
民間サービスの役割
これらのサービスは、遺言の下書きや準備には便利です。具体的には以下の用途に適しています。
- 遺言の内容を整理し、何を誰に相続させるか考えをまとめる
- 財産目録を作成し、資産の全体像を把握する
- 家族へのメッセージや想いを記録する
- 専門家に相談する際の資料として活用する
しかし、そのまま法的効力を持つ遺言書にはなりません。
法的効力を持たせるための手続き
最終的には、民法で定められた方式に従って、自筆証書遺言として紙に書き直すか、公正証書遺言として公証役場で正式に作成する必要があります。ただし、デジタル遺言サービスで入力した内容を所定通りの形式で紙に書けば、有効な遺言書を作成することが可能です。
民間サービスを活用する際は、あくまで下書きや内容整理のためのツールとして利用し、最終的には法的効力のある形式で作成することを忘れないでください。サービスによっては、専門家への相談サポートや、公正証書遺言の作成支援サービスを提供しているものもあるので、そうした機能を積極的に活用することをお勧めします。
デジタル遺言サービスを選ぶ際のポイント
- 今後のデジタル遺言制度に対応予定かどうか
- セキュリティ対策が十分かどうか(データの暗号化、バックアップ体制など)
- 専門家のサポートを受けられるかどうか
- 家族への通知機能があるかどうか
- サービス提供会社の信頼性(運営実績、資本金、倒産リスクなど)
これらの点を確認した上で、自分に合ったサービスを選択することが重要です。
デジタル遺言が使えるようになるまでの対応
デジタル遺言の制度が本格的に始まるまでには、特に自筆証書遺言については、まだ時間がかかります。しかし、遺言書は「いつか書こう」と先延ばしにしていると、突然の病気や事故で書けなくなる可能性もあります。人生における万が一は予測できないため、デジタル化を待つのではなく、今できる方法で遺言書を作成しておくことが重要です。
今できること
現在利用できる遺言書の作成方法は、主に自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類です。それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。
自筆証書遺言
全文を自筆で書き、日付と氏名を記載して押印すれば作成できます。費用もかからず手軽に作成できますが、方式の不備により無効になるリスクがあります。保管場所によっては紛失や改ざんの危険性もあります。
ただし、2020年7月から始まった「自筆証書遺言書保管制度」を利用すれば、法務局で遺言書を保管してもらえるため、紛失や改ざんのリスクを軽減できます。保管手数料は1通3,900円と比較的安価で、家庭裁判所での検認も不要になるというメリットがあります。
公正証書遺言
より確実性を求めるなら、公正証書遺言がお勧めです。2025年10月1日からは公正証書遺言のデジタル化が始まっており、自宅などからオンラインで作成できるようになりました。公証人が関与するため方式の不備で無効になる心配がなく、原本が公証役場で保管されるため紛失や改ざんの心配もありません。
公正証書遺言の作成費用は、相続財産の価額によって異なります。全体の財産が1億円以下のときは、算出された手数料額に1万3,000円が加算されます。これを「遺言加算」といいます。遺言によって与える遺産の総額が1,000万円〜1億円程度の場合の作成手数料は、5万円〜10万円前後が相場となります。
具体例として、財産が8,000万円で、配偶者へ4,000万円、2人の子どもにそれぞれ2,000万円ずつ相続させる場合を見てみましょう。
29,000円(配偶者分)+23,000円(長男分)+23,000円(長女分)+11,000円(1億円未満のため加算)=86,000円となります。
これに加えて、遺言公正証書の正本・謄本の電子データでの提供は1通2,500円、紙での交付には1枚あたり300円の手数料が必要です。証人を公証役場で紹介してもらう場合は、ひとりにつき10,000円前後かかります。
専門家(弁護士、司法書士、行政書士)に遺言書の作成をサポートしてもらう場合は、別途報酬が発生します。司法書士・行政書士は5万〜10万円、弁護士は20万〜100万円位かかります。ただし、専門家に依頼することで、内容面での不備を防ぎ、相続トラブルを未然に防ぐことができるというメリットがあります。
制度開始後の切り替え方法
現在作成した遺言書は、将来デジタル遺言の制度が始まった後でも書き換えることが可能です。遺言書は何度でも書き直すことができ、最後に作成した遺言書が有効となります(民法第1023条)。前の遺言と抵触する部分については、後の遺言で撤回したものとみなされます。
ですから、「今は従来の方式で遺言書を作成しておき、デジタル遺言の制度が始まってから内容を見直したり、より便利な方式で書き直したりする」という対応が可能です。公正証書遺言については、2025年10月1日から既にオンライン作成が可能になっており、遠方に住んでいる方や外出が困難な方でも比較的容易に作成できるようになりました。
書き換える際の注意点
既に自筆証書遺言を作成している方も、より確実性の高い公正証書遺言への書き換えを検討する価値があります。ただし、新しい遺言書を作成する際は、以下の点に注意が必要です。
- 新しい遺言書に「前の遺言を撤回する」旨を明記する
- または、古い遺言書を確実に破棄する
- 古い遺言書と新しい遺言書で内容が矛盾しないよう注意する
- 新旧の遺言書が混在することで生じる混乱を避ける
自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は、法務局に保管されている遺言書の撤回手続きも忘れずに行う必要があります。複数の遺言書が存在する場合、相続人が困惑したり、遺言の有効性をめぐって紛争が生じたりする可能性があるため、できるだけ明確な対応を取ることが重要です。
定期的な見直しの重要性
遺言書は一度作成したら終わりではありません。以下のような場合には、内容の見直しを検討すべきです。
- 財産の状況が大きく変わった場合
- 相続人に変動があった場合(出生、死亡、離婚など)
- 遺言者の気持ちや考え方が変わった場合
- 相続税法など関連法令が改正された場合
定期的(たとえば3〜5年ごと)に遺言書の内容を見直し、必要に応じて書き換えることで、常に最新の状況に対応した遺言を維持できます。
デジタル化を待たずに今すぐ作成すべき理由
「デジタル遺言の制度が始まってから作成しよう」と考えている方もいるかもしれません。しかし、遺言書の作成は先延ばしにすべきではありません。万が一の事態は予測できないため、できるだけ早く遺言書を作成しておくことが大切です。専門家の立場から見ても、遺言書作成の先送りには大きなリスクがあります。
万が一に備えるべきケース
遺言書が特に重要となるのは、以下のようなケースです。相続人間でトラブルが予想される場合には、遺言書の有無が決定的な違いを生みます。
相続トラブルが予想されるケース
- 相続人の中に疎遠な人がいる場合:長年音信不通の親族がいる場合、遺産分割協議が困難になります
- 再婚して前妻との間に子どもがいる場合:複数の家族間での遺産分割は、遺言書がないと極めて複雑になります
- 相続人以外の人に財産を残したい場合:内縁の配偶者や、献身的に介護してくれた親族などに財産を残すには遺言が必須です
- 相続人間で経済格差がある場合:既に生前贈与を受けている相続人がいる場合など、公平性を保つために遺言が有効です
- 事業承継を考えている場合:会社の株式や事業用資産を特定の後継者に集中させる必要がある場合
遺言書の作成率の低さ
前述の通り、令和2年の死亡者数約137万人に対し、自筆証書遺言と公正証書遺言を合計しても1割にも満たない件数しか作成されていません。多くの方が遺言書を作成しないまま亡くなっているのが現状です。しかし、遺言書がないことで、残された家族が相続手続きで苦労したり、遺産分割で争いになったりするケースは少なくありません。
遺言書がない場合の問題点
- 相続人全員での遺産分割協議が必要となり、一人でも反対者がいると手続きが進まない
- 相続手続きに時間がかかり、預金の払い戻しや不動産の名義変更が遅れる
- 相続人間で意見の対立が生じ、家族関係が悪化する
- 弁護士を立てての調停や裁判に発展し、多大な費用と時間がかかる
財産や事業がある場合
事業を経営している方、不動産や株式などの財産を多く持っている方、特定の財産を特定の相続人に残したい方なども、遺言書を作成しておくことでスムーズな財産承継が可能になります。
特に事業承継においては、会社の経営権を確実に後継者に引き継ぐために、株式を後継者に集中させる必要があります。遺言書がない場合、株式が複数の相続人に分散してしまい、会社経営に支障をきたす可能性があります。
デジタル化後に書き換えも可能
遺言書は一度作成したら変更できないわけではありません。遺言者は、いつでも自由に遺言書を書き換えたり、撤回したりできます(民法第1022条)。これは「遺言の撤回自由の原則」と呼ばれ、遺言者の最終意思を尊重するための重要な原則です。
ですから、「今は従来の方式で作成しておき、将来デジタル遺言の制度が始まったら、より便利な方法で書き直す」という対応が十分に可能です。むしろ、「いつか書こう」と先延ばしにしているうちに、以下のようなリスクが顕在化する可能性があります。
先送りのリスク
- 認知症などで判断能力が低下し、遺言書を作成できなくなる
- 突然の病気や事故で、遺言書を作成する機会を失う
- 意思表示が困難な状態になり、自分の意思を伝えられなくなる
- 家族関係が悪化し、冷静な判断ができなくなる
特に認知症のリスクは年齢とともに高まります。厚生労働省の推計によれば、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症と言われており、今後さらに増加すると予測されています。認知症になってからでは、法的に有効な遺言書を作成することができなくなります。
今作成すべき理由

遺言書は、元気なうちに作成しておくことが何より重要です。公正証書遺言については2025年10月1日から既にデジタル化が開始されており、オンラインでの作成も可能になっています。体力や認知機能が十分なうちに、専門家のサポートを受けながらしっかりとした内容の遺言書を作成することをお勧めします。
まずは現在利用できる方法で遺言書を作成し、必要に応じて将来見直すという姿勢が、大切な家族のためにできる最善の備えと言えるでしょう。遺言書は、残される家族への最後の贈り物です。家族が円満に相続手続きを進められるよう、できるだけ早く遺言書の作成を検討してください。

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