葬儀のお布施の書き方は?渡し方や注意点からマナーまでを徹底解説!
「葬儀のお布施はどうすればいいだろうか」
「お布施のお気持ちってどれくらいだろう、お布施の常識がわからない」
そんな悩みを持っている方は多いのではないでしょうか。
葬儀は、数多く経験するものではありません。またお布施は本来お寺のビジネスではなく、あくまで仏教における実践徳目の1つとされていて料金表などもないです。
しかし、実際には金額相場やマナーがあるのもまた事実。
そこでこの記事では、葬儀のお布施の書き方やマナーを解説します。お布施費用を安く抑える方法も紹介するので、正しくお布施の知識を学び実際の場で慌てないようにしましょう。
目次
葬儀のお布施の書き方
まずは、葬儀のお布施を出すときの書き方です。書き方によってはマナー違反になってしまうので、気を付けましょう。
お布施を渡す袋の書く場所によって3つにわかれます。
- 表書き
- 裏書き
- 中袋
順番に1つずつ紹介します。
表書きの書き方
お布施の表書きは、渡すときに最初に目に触れる部分なので気を付けましょう。ただし、市販で販売されている袋には「御布施」と印字されているので書く必要はありません。
自分で書くときは、「お布施」または「御布施」と袋の正面中央に書きます。
裏書きの書き方
お布施の裏書きは、中袋がない場合に書く必要があります。つまり中袋がある場合は、裏書きは不要と覚えておきましょう。
書く位置は、裏面の左側に以下の項目を書きます。
- 住所
- 氏名
- お布施金額
本来、お布施は労働対価ではないため金額の記載は不要と考えられています。
しかしお布施と記載してあると、宗教活動に伴うお金と認知され非課税になります。お寺側にとって都合がよいので、記載しておきましょう。
中袋の書き方
お布施の中袋の書き方は裏面ではなく、表面に書きましょう。
書く場所は表面の中央から少し右よりに金額を、左側に住所と名前を書きます。
宗教によるお布施の表書きの違い
お布施の表書きは、宗教によって違います。ここでは主要な3宗教を見てみましょう。
- 仏教
- 神道
- キリスト教
なお、同じ宗教でも宗派・教派によって変わってくる場合もあるので注意が必要です。
仏教のお布施の書き方
仏教では、表書きに一般的に「お布施」「御布施」「御礼」と封筒の中央の上半分に書きましょう。氏名を書く場合は、同じく中央の下半分に書きます。
ただし、浄土真宗では「御礼」は使用しません。浄土真宗でお布施は、阿弥陀如来様への心付けと考えられているからです。
神道のお布施の書き方
神道のお布施は、「御礼」「御祭祀料」と書きます。神職に対して祭祀をやってもらったお礼の意味で、感謝を表すお礼のお金だからです。仏教と神道は親和性があることから、お礼をする側面では仏教の場合と意味合いが近いかもしれません。
ちなみに「御祭祀料」は、七五三や厄除けなどの行事で包む際にも使用されます。
キリスト教の書き方
キリスト教では、主な宗派のカトリックとプロテスタントを紹介します。メインの考え方はお布施は神様への感謝の気持ちを表し、教会に捧げる考え方です。
カトリックの場合は「献金」「御礼」「御ミサ料」ですが、プロテスタントは「献金」と記載します。プロテスタントはミサを行わないので、「御ミサ料」は使いません。
葬儀のお布施の名前の書き方
お布施の名前の書き方は、出すときの状況によって違います。
- 家名の場合
- 喪主・施主の場合
- 会社の場合
順番に1つずつ紹介します。
家名を書く
葬儀を実施した家名を書く場合は、表面に「〇〇家」と書きます。「〇〇」の部分が重複するときもあり、裏面に喪主・施主のフルネームを書いておくのが良いでしょう。
地域によっては苗字が多いエリアもあるので、フルネームを書くのがよりていねいな対応です。
喪主・施主を書く
喪主・施主の名前を書く場合は、苗字でもフルネームでも問題はありません。苗字のみ書いたときは、混乱を避けるため裏面に住所などの情報を書いておくのがていねいです。
連絡先で電話番号などを入れる場合もあります。
会社名を書く
お布施で、会社や企業名で出すときも考えられます。この場合は正式名称で書く、もしくは会社の代表者名も一緒に書きましょう。
お布施は、その会社の顔ともなります。マナーに沿って書いてください。
葬儀のお布施の書き方の注意点
お布施の書き方にも細かく注意点があります。お布施のマナーの1つなので、しっかり覚えておきましょう。
主なものは以下の3点です。
- 金額は旧字体で書く
- 筆は濃墨の毛筆を使う
- 名前や住所を書く
順番に1つずつ紹介します。
金額は旧字体で書く
お布施に金額を書くときは、旧字体を使います。漢字の改ざんを防ぐためです。
金額の頭には、「金~」最後は「~也」で締めます。
漢字は以下の通りで使用しましょう。
通常の漢字 | 使用する漢字 |
---|---|
一・二・三・四・五 | 壱・弐・参・四・伍 |
六・七・八・九・十 | 六・七・八・九・拾 |
百・千・万 | 百・仟・萬 |
円 | 圓 |
例えば、1万円だと「金壱萬圓也」10万円だと「金壱拾萬圓也」です。
普段使わない旧字なので、間違わないように気を付けましょう。
筆は濃墨の毛筆を使う
筆は薄い墨ではなく、濃い墨を使って書きます。本来は毛筆を使うのが習わしですが、市販の筆ペンが便利です。
ペンを選ぶ時は、薄いものを選びましょう。親族などに渡す香典は、薄い墨で書くのがマナーなので注意してください。理由には、「葬儀に墨をする時間がなく、薄い墨の状態で駆け付けた」「悲しみで墨がにじんでしまったから薄い墨」といった説があります。
一方のお布施は僧侶などへのお礼の意味なので、しっかり準備をしていますとの意味を込めて濃い墨で書くことが大切です。
最近では厳格な違いがなくなりつつありますが、マナーの1つなのでぜひ覚えておきましょう。
名前や住所を書く
最後は、名前や住所を書きましょう。名前や住所がないともらった側が、後でわからなくなります。
重複を避けるために、フルネームや住所を書くのがていねいな気遣いでしょう。
お布施の包み方と入れ方のマナー
お布施の包み方やお札の準備、入れ方にもマナーがあります。
お布施で準備する封筒はいくつか種類もあり、それぞれに包み方も違いがあるので、事前に確認をしておきましょう。
- 奉書紙に包む
- 白封筒に包む
- 新札で向きに注意する
順番に1つずつ紹介します。
奉書紙に包む
お布施は奉書紙(ほうしょがみ、ほうしょし)に包むのが、一般的なやり方です。
奉書紙は和紙の種類の1つで、室町時代には幕府の公式文書で使われていたほど由緒あるもの。習字でよく使う和紙とは違い、厚めでしっかりした和紙です。御朱印帳や色紙にも使われています。
包み方はまず、半紙を準備します。紙幣の人物画を上向きにして、半紙で包みましょう。半紙で包んだ紙幣をさらに、奉書紙で包むスタイルです。
奉書紙には裏表もあり、つるつるした方が表側でざらざらした方が裏側です。奉書紙で包むときは、ざらざらした裏側にさきほどの紙幣を置いて奉書紙で包みましょう。
白封筒に包む
白封筒も、お布施でよく使われます。使うときは、郵便番号欄やデザインがあるものは避けましょう。
二重になっている封筒もありますが、不幸が重なることを連想させるため不適切です。
新札で向きに注意する
準備をした心遣いを表すために、お布施で渡す紙幣はなるべく新札を準備しましょう。ちなみに葬儀は突然の知らせなので、新札は使わないのがマナーです。
紙幣を入れる向きにも作法があります。紙幣の人物画が封筒を開いたときに、1番最初に見られるように入れるのがマナーです。
葬儀のお布施の渡し方
お布施の渡し方も、大切なマナーの1つです。普段の買い物のように、渡す場所やタイミングが指定されているわけではありません。適切な方法とタイミングを知っておきましょう。
大切な点は以下の3つです。
- 袱紗に包む
- 渡すタイミングに注意する
- 一言感謝を添えて渡す
順番に1つずつ紹介します。
袱紗に包む
お布施の渡し方の作法として、お布施の袋を直接渡すのはマナー違反です。本来は切手盆(きってぼん)と呼ばれるお盆に乗せて渡すのが、作法です。
しかし事前の準備が難しいので、袱紗(ふくさ)がこの切手盆の代わりになります。袱紗には気持ちを載せて運ぶ意味も込められていて、故人の弔いに対する感謝を届ける気持ちから袱紗が用いられるようになりました。
渡すタイミングに注意する
お布施を渡すタイミングは、葬儀の始まる前から終わった直後に渡しましょう。直接手渡しをするのが、マナーです。
別の人に渡すように託したり、置いて帰るなどはマナー違反です。受付がある場合は、始まる前に受付に渡します。
一言感謝を添えて渡す
お布施は、式を行ってもらう感謝を表すものです。渡すときは「本日はありがとうございます。お納めください」と、一言添えて渡すのがいいでしょう。
一言添えることで、お互い気持ちよく葬儀を執り行えます。
葬儀のお布施の相場金額とは
お布施の相場は決まっていません。これは法要が僧侶への対価ではなく、あくまで遺族側からの感謝の気持ちを表すものだからです。確認をしても「お気持ちで結構です」と返ってくるのが、ほとんどでしょう。
しかも法要によってや、宗派や地域によっても相場は変わるもの。多く包んでも少なくしても失礼ですし、難しいです。ここでは法要による違いや相場を解説します。
法要による金額の違い
法要によって、金額の差があります。またお布施では、だめな金額はありません。結婚式などでは奇数はNGとよく言われますが、お布施ではそうしたNGな金額はないです。包む金額はまさに自由。
しかしある程度の相場があるのも事実です。そこで法要ごとの相場を紹介します。
法要の種類 | 金額の相場 |
---|---|
葬式 | 3~20万円 |
初七日法要 | 3~5万円 |
四十九日法要 | 3~5万円 |
百箇日法要 | 3~5万円 |
一周忌法要・三回忌法要、それ以降 | 3~5万円 |
戒名料 | 15~50万円 |
納骨 | 1~5万円 |
ここに示したのは、あくまで相場です。地域や宗派によっても異なってきます。お寺や僧侶との今後の良好な関係を築くためにも、失礼のないようにしましょう。
お布施とは別に準備するもの
地域や状況によってお布施以外に、「お車料」「御膳料」を渡す場合もあります。
「お車料」は自宅へ来てもらったときの交通費、「御膳料」は、会食に参加できない僧侶への代わりのお礼です。お布施とは別の封筒に入れて準備します。
それぞれ5千~1万円くらいが相場です。両方ともに発生しない状況なら、無理に払う必要はありません。
「お車料」も「御膳料」も状況に応じて、包みましょう。
葬儀のお布施費用を抑える方法
葬儀のお布施の相場を見ても、かなり幅広いものです。恥をかかないように、失礼のないようにとつい多めに包んでしまうかもしれません。また、聞いても「お気持ちで」と結局わからない場合が多いです。
ここでは葬儀費用を抑える方法を2つ紹介します。マナーの範囲でお布施費用を抑えましょう。
- 葬儀会社や僧侶に聞いてみる
- 定額サービスを使う
順番に1つずつ紹介します。
葬儀会社や僧侶に聞いてみる
直接聞いてみるのを、まずは試しましょう。僧侶の方の中には「皆様これくらいは包んで頂けます」と、具体的に教えてもらえるかもしれません。
また、葬儀会社に聞くのもおすすめです。葬儀会社はプロですから、規模や状況に即した相場を教えてくれるでしょう。
定額サービスを使う
最近の傾向として、葬儀会社の定額サービスが浸透しています。そうした定額サービスでは、明朗会計で金額に悩む場面もありません。
しかも定額サービスの方が、安く収まる傾向にあります。安く安心に済ませたい、菩提寺など頼るところがない方は相談してみるのもいいでしょう。
まとめ:葬儀のお布施の書き方を学んで感謝とともに法要にのぞもう
葬儀のお布施は、書き方から渡し方や包みかたなどあらゆるマナーがあります。お布施は、法要を執り行ってもらうための感謝の気持ちを表すものです。
お互いに気持ちよく過ごせるようにしっかりお布施のマナーを学び、感謝の気持ちと供養の気持ちを持って法要にのぞみたいですね。