葬儀費用の積立とは?費用・方法・メリット・注意点まで解説
葬儀費用は一般的に数十万円から数百万円と高額になるため、事前に準備しておくことが重要です。しかし、葬儀費用の積立についてよく分からないという方もいるでしょう。
この記事では、葬儀費用の積立に必要な基本情報から、おすすめの積立方法、積立額の目安まで、葬儀の準備を体系的に解説します。
葬儀費用の積立を早めに始めることで、突然の出費に備えることができ、ご家族の精神的・経済的負担を軽減できます。後悔しない葬儀を実現するためにぜひ参考にしてください。
目次
葬儀費用の積立とは?
葬儀費用の積立とは、将来の葬儀に備えてあらかじめお金を準備しておく取り組みのことです。一般的な葬儀では、数百万円の費用がかかることが多く、事前の備えが重要視されています。
葬儀費用の積立が必要な理由は、主に以下の2点です。
- 突然の出費に備え、遺族の経済的負担を軽減する
- 高額な葬儀費用を事前に準備しておくことで、後悔のない葬儀を行える
積立の仕組みは、主に以下の3つの方法があります。
- 銀行預金での積立
- 生命保険の付帯サービスを利用した積立
- 葬儀互助会への加入による積立
それぞれのメリット・デメリットがあるため、自身の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。
そもそも葬儀費用はいくらかかる?内訳と費用の目安
葬儀にかかる費用は決して安くありません。 形態や規模、地域による風習や施設の違いで大きく変わってきます。一般的な葬儀費用の目安は以下の通りです。
- 一般葬(家族葬含む)の相場:約200万円
- 家族葬のみの相場:約100万円
- 直葬の相場:約40万円
また、葬儀費用の内訳を見ると、以下のようになります。
- 基本料金(葬儀一式):約70万円
- 飲食代(会食・おもてなし):約20万円
- 返礼品代(会葬者への品):約22万円
このように、葬儀には場合によって100万円以上の費用がかかることがわかります。
葬儀費用の積立はなぜ必要?
人生の最期を迎える時期は誰にも分かりません。そのため、いつ葬儀を行う必要が生じるかは予期せぬことです。
葬儀に必要な費用を事前に準備しておくことで、万が一の場合でも経済的な心配がなく、落ち着いて故人を送り出すことができます。
特に、計画的に積み立てを行えば、急な出費にも対応できるため、精神的にも経済的にも余裕を持って葬儀を執り行えます。
葬儀費用を積立する3つの方法とは?メリットとデメリットを比較
葬儀費用の積立には、主に次の3つの方法があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分に合った方法を選ぶ必要があります。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
銀行預金 | 手軽に始められる | 金利が低い |
生命保険 | 死亡保障と積立がセット 保険料控除の対象になっている | 中途解約時の返戻率が低い |
互助会 | 掛金の積立で葬儀サービスを受けられる | 解約時の返戻金が少ない |
銀行預金:手軽に始められる
銀行預金は、誰でも簡単に始められる葬儀積立の選択肢の一つです。定期預金などに資金を積み立てることで、計画的に葬儀費用を準備できます。
しかし、近年の低金利環境下では、預金の運用利回りが低いことがデメリットです。元本は保証されますが、インフレの影響で実質的な資産価値が目減りする恐れがあります。
生命保険:死亡保障と積立がセット、保険料控除も受けられる
生命保険は、死亡保障と積立がセットになった商品です。 保険金受取時に、支払保険料の一部が所得控除の対象となる「生命保険料控除」制度が利用できます。
生命保険料控除には、以下の3種類があります。
- 一般生命保険料
- 個人年金保険料
- 介護医療保険料
それぞれ一定の要件を満たせば、所得税が控除されます。
控除を受けるには、確定申告時に「生命保険料控除証明書」など必要書類を添付し、適切に申告する必要があります。
互助会:掛金の積み立てで葬儀サービスを受けられる
互助会は、会員が毎月一定額の掛金を積み立てることで、 将来の葬儀サービスを受けられる制度です。
掛金を出し合う「相互扶助」の精神に基づき、 葬儀の際の費用負担を分散させるのが特徴です。
実際、全国の葬儀の約4割が互助会によって行われています。 高齢化が進む日本で、互助会は葬祭事業の中心的な役割を担っています。
葬儀積立はいくら必要?年齢・プラン別の目安と計算方法を紹介
葬儀費用の目安は約100万円ですが、地域や葬儀の形式により大きく異なります。例えば、都心部では200万円を超える場合もあります。年齢別の目安としては、以下の通りです。
- 40代〜:約100万円
- 60代〜:約150万円
- 80代〜:約200万円
ただし、これはあくまで目安の金額です。健康状態、家族構成、希望する葬儀の規模などを考慮し、自分に必要な金額を把握することが重要です。
そのためには、シミュレーションツールを活用して具体的な見積もりを立てることをおすすめします。
事前に葬儀費用を見積もり、計画的に積立を行えば、将来への備えになります。
葬儀費用の全国平均と地域差
葬儀費用の全国平均は127万円と言われています。しかし、葬儀の形式によって費用は大きく異なり、一般葬が200万円、家族葬が100万円、直葬が40万円と差があります。
また、地域差も大きな要因です。 一般葬の平均費用は、北海道・東北地方が約180万円、関東地方が約200万円以上と高額になる傾向にあります。
つまり、自分に合った葬儀プランを選ぶ際には、地域性や葬儀形式による費用の違いを十分に把握しておく必要があります。
年齢・プラン別の積立額目安
葬儀費用の目安は約100万円前後ですが、年齢や希望するプランによって必要な積立額は変わってきます。若い頃から少しずつ積み立てていくことが重要です。
一般的な葬儀の内訳は以下の通りです。
- 基本料金:約70万円
- 飲食代:約20万円
- 返礼品代:約20万円
この内訳を踏まえ、目安としては以下の積立額が必要となります。
年齢 | 一般的な葬儀 | 簡素な葬儀 |
---|---|---|
20代 | 月4,000円 | 月2,500円 |
30代 | 月6,000円 | 月4,000円 |
40代 | 月1万円 | 月6,000円 |
葬儀費用シミュレーションで自分に必要な金額を把握
葬儀費用は様々な要素によって変動するため、初めての方には把握しづらい金額です。しかし、オンラインで簡単に葬儀費用をシミュレーションできるサービスがあり、自分に合ったプランの費用を事前に確認できます。
例えば、簡単な質問に答えるだけで標準的な葬儀費用の見積もりが作成できるサイトもあります。所要時間はわずか2分と手軽であり、葬儀の形式や必要な費目を選択することで、適切な金額を把握できるでしょう。
このようなシミュレーションサービスを活用することで、事前に自分に必要な葬儀費用を算出し、計画的な積立を行うことが可能です。
葬儀積立を選ぶ上での注意点
葬儀積立を選ぶ際は、契約内容の確認が欠かせません。 解約手数料や返戻率など、細かな条件をしっかり確認しましょう。また、運営会社の信頼性もポイントです。 経営状況や実績を調べ、安心して任せられる事業者を選びましょう。
さらに、自分のライフプランの変化にも注意が必要です。 葬儀のニーズが変わった場合は、積立方法を見直すよう心がけましょう。具体的に確認したいポイントは、以下の3点です。
- 契約内容の確認
解約手数料、運営会社の信頼性 - 経営状況
自分のライフプランの変化への対応、返戻率 - 実績
契約内容の確認:解約手数料や返戻率に注意
葬儀費用の積立を検討する際は、契約内容を入念に確認することが重要です。 特に注意が必要なのが、解約手数料と返戻率です。
互助会や生命保険の多くは、途中解約時に積立金の15~20%程度の解約手数料が差し引かれます。 つまり、満額の返金はされません。 解約手数料が高額な場合、大きな損失を被る可能性があります。
一方、解約時の返戻率にも目を向ける必要があります。 返戻率が低ければ、支払った掛金に見合う金額が返ってこない恐れがあるためです。
運営会社の信頼性:経営状況や実績をチェック
葬儀積立を検討する上で、運営会社の信頼性は重要なポイントです。経営状況や過去の実績、財務情報などを入念にチェックし、安定した経営基盤を持つ企業を選ぶ必要があります。
信用力の低い会社に積立を任せると、以下のようなリスクがあります。
- 積立金の管理が不透明になる
- 将来的に支払いが滞る可能性がある
- トラブルに巻き込まれる恐れがある
安心して積立を続けられるよう、信頼できる運営会社を選ぶことが何より大切です。
自分に合ったプラン選び:ライフプランの変化も考慮
葬儀積立プランを選ぶ際は、ライフプランの変化を見据えることが重要です。結婚や出産など、人生の節目で必要な葬儀費用が変わる可能性があるためです。
そのため、現在の生活スタイルと将来の見通しを踏まえ、適切なプランを選択しましょう。例えば、今後家族構成が変わる場合は、より手厚い葬儀プランを検討するのがよいでしょう。
さらに、積立の中途解約にも目を向ける必要があります。解約時の返戻金や手数料などについて、プランの詳細を事前に確認しておくとよいでしょう。
葬儀積立に関するよくある質問:税金優遇や相続について
生命保険の葬儀積立は、一定の条件を満たせば死亡保険金の一部が非課税扱いとなり、税金対策としても活用できます。
一方、相続税の申告では、実際に支払った葬式費用を相続財産から控除可能です。 ただし、葬儀の前後にかかった費用が控除対象かは判断が難しい場合があります。
互助会への積立金も相続財産に含まれるため、適切に申告する必要があります。過去の判例なども参考に、専門家に相談することをおすすめします。
ここでは、葬儀費用の積立に関する質問をまとめていますので、参考にしてください。
生命保険の積立は税金対策になる?
生命保険の積立は、税金対策としての側面があります。払い込んだ生命保険料は、一定の条件の下で「生命保険料控除」の対象となり、所得から控除されるためです。
生命保険料控除を受けるには、確定申告時に必要事項を記入し、支払証明書類などを提出する必要があります。
控除の対象となる上限額や控除率は、契約の新旧により異なります。また、生命保険料控除は、所得控除の一種です。所得税や住民税の計算の際、課税所得から差し引かれます。
葬儀積立は相続財産になる?
葬儀費用の積立金は、基本的には相続財産に含まれます。ただし、相続発生後に実際に支払った葬儀費用は控除可能です。
つまり、事前に積み立てた葬儀費用は相続財産とみなされますが、実際に葬儀で使った分は控除対象となり、相続税の負担を軽減できます。
例えば、以下のような場合に注意が必要です。
- 積立金が多額で、使い残しが出た場合
- 葬儀費用を他の財産から支払った場合
このように、積立金と実際の支出額に差が出ると、その差額分が相続税の対象となってしまう可能性があります。そのため、事前の計画が重要でしょう。
積立中に解約したい場合は?
葬儀費用の積立を途中で解約する場合、解約手数料や返戻率に注意が必要です。
互助会では、通常、積立金の15~20%程度の解約手数料がかかります。また、互助会は提携する葬儀社でしか葬儀が行えず、料金が割高になるリスクがあるでしょう。
一方の生命保険は、解約払戻金が返金されますが、積立期間が短いほど返戻率が低く、損をする可能性があります。
つまり、解約時の手数料や返戻率は、積立方法によって大きく異なります。事前に内容を確認し、目的や必要性を見直した上で、慎重に判断することが重要です。
まとめ:後悔しない葬儀積立で将来への安心を
葬儀費用の積立は、平均100万円もの高額な費用を一括で支払うことなく、将来の不測の事態に備えるための大切な準備です。
互助会への加入や生命保険の活用など、自分に合った方法を選び、計画的に積立を続けることで、葬儀の際の経済的負担を軽減できます。
また、事前の備えにより、遺族の方々が精神的に落ち着いて最期を送れるよう、心配を減らすこともできます。後悔のない葬儀を行うには、早めの備えが重要です。