終活でやることリスト10選!始める前のポイントや注意点を徹底解説!
「終活」という言葉は、今ではすでに幅広く認知されています。2022年6月に燦ホールディングスグループが行った「終活に関する意識調査」では、95%の人が「終活」という言葉を知っていました。
しかし、実際に終活をしたことがある人はわずか7%。「終活をしたいけど何から始めればいいかわからない」「きっかけがない」といった理由で実行できていない方も多いようです。
そこで今回は、終活でやることリストを解説します。後半では、終活になかなか踏み出せない方が取り組みやすいよう、「いつ」「何から始めるか」にも言及するので、ぜひ最後までお読みください。
目次
終活前に考えるポイント4つ
まず、終活前に考えるポイントは以下の4つです。
- これからの人生をどう過ごしたいか
- もしもの時どうするか
- 亡くなった時どうしてほしいか
- 亡くなった後どうしてほしいか
1つずつ順番に解説します。
①これからの人生をどう過ごしたいか
最初に、この先の人生をどう過ごしたいか、何をやりたいか考えてみましょう。
もしあなたが40代であれば、「定年まで今の会社で勤めたい」「資金を貯めて起業したい」といった夢があるかもしれません。定年間近の年齢であれば、「定年後は再就職したい」「早期退職して故郷に戻って農業をやりたい」といった希望もあるでしょう。
今後の人生計画によって、終活の方針は大きく変わります。
②もしもの時どうするか
誰しもが、不慮の事故に遭う可能性があります。突然不治の病にかかるかもしれません。
治療や告知の方法を決めるとともに、いざという時に備えて生命保険・医療保険も含めた資金計画も検討しましょう。
③亡くなった時どうしてほしいか
近年では、葬儀に関する考え方が多様化しています。もし葬儀に希望があれば、家族に伝えておかなければなりません。
家族は「生きてるうちから葬式の事を考えるなんて縁起でもない」と敬遠するかもしれませんが、死は誰にでも必ず訪れるもの。
きちんと話し合うことが、故人や残される家族にとって大切です。
④亡くなった後どうしてほしいか
最後に考えるのは、自分が死んだ後のことです。残された家族に伝えることや遺産相続、埋葬方法などが重要な問題となってきます。
死後の手続きについても考えておかなければなりません。健康保険や住民票、税金などの公的な手続きや銀行口座の解約など、残された家族の負担は相当なものです。
これらの手続きの中には、期限が定められているものもあります。自分しか知りえない情報をリスト化して、死後家族が速やかに処理できるようにしましょう。
終活のためのやることリスト10選
前項を踏まえて、終活でやること10項目をリストアップしました。
- エンディングノートをつける
- 老後にやりたいことを考える
- 資産の確認・整理をする
- 持ち物を整理する
- デジタルデータを整理する
- 医療や介護について考える
- 遺言書を作成する
- 葬儀の準備をする
- お墓の準備をする
- 家族と情報を共有する
10の項目について詳しく解説します。
①エンディングノートをつける
まずは、エンディングノートを作成しましょう。自分でオリジナルノートを作ることもできますが、市販の物には必要な情報が網羅されています。たくさんの項目があるので、書ける部分から少しずつ書いてみてください。
エンディングノートは、安いもので1,000円程度です。
注意点として、エンディングノートは遺言書のように法的効力はありません。遺産の分配などの意思表示をしたい場合は、後述する遺言書を作成する必要があります。
最近ではスマホ版の「終活ノートアプリ」もあるので、合わせて検討してみてください。
②老後にやりたいことを考える
この先の人生をどう過ごしたいか、やりたい事は何かについて考えてみてください。
例えば、次のようなことが思いつくでしょう。
- “仕事が忙しくなってからはなかなかやる機会がなくなった趣味をまた始めたい”
- “定年退職して時間ができたら夫婦でゆっくりと旅行をしたい”
- “老後は田舎でのんびりと暮らしたい”
今後の生きがいを見つけることで、資金計画を含めて終活でやるべき事が具体化し、スムーズに次の行動へうつれます。
③資産の確認・整理をする
お金の面では、まずは全資産を洗い出してリストアップしなければなりません。不動産・預貯金・証券・クレジットカード・保険・ゴルフの会員権など、資産にもさまざまな種類があります。
資産と合わせて、年金などの収入についても長期的に見通しましょう。資金に余裕があるなら、旅行や趣味にお金を使うなど充実した生活を送れます。
逆に、資金面で余裕がなければ、節約をしたり資産の売却も検討しなければなりません。
また、死後の遺産相続も避けては通れない問題です。誰に何を相続するかは、元気なうちにはっきりと決めておきましょう。
忘れてはいけないものに負の資産があります。持ち家のローンや借金、連帯保証人の契約などは死後のトラブルのもとです。必ず生前に明確にしておかなければなりません。
④持ち物を整理する
終活というと、真っ先に不用品の処分を思い浮かべる方も多いでしょう。実際に不用品を処分することから終活を始める方は少なくありません。
しかし、不用品の処分には体力と気力が必要です。無理をせずマイペースで進めることが長続きにつながります。一人でやろうとせず、家族に手伝ってもらうと精神的な負担を減らせます。
趣味で集めたコレクションは、思い入れが強くてなかなか処分できないかもしれません。そのような時は、無理に処分せずにいったん「保留」しましょう。
また、愛着のあるものを思いきって処分する時は、写真を撮っておくのも一つのアイデア。いつでも写真を見られるので、躊躇なく整理ができます。
持ち物ではありませんが、ペットを飼っている方は自分の死後にペットがどうなるのか気になるもの。自分がいなくてもペットが安心して暮らせるように、信頼できる引き取り先を考えておかなければなりません。
⑤デジタルデータを整理する
パソコンやスマートフォンにはさまざまなデジタルデータが保存されています。生活のあらゆるシーンで欠かせなくなったスマートフォンは個人情報の宝庫です。
SNSのアカウントや電子マネー・電子口座の情報は、日頃からきちんと管理しなければなりません。パスワードは、アカウントの情報とは別の紙に書いて、別の場所に保管するなど工夫しましょう。
最近では、スマホのアプリや動画配信サービスなど、毎月定額が引き落とされるサブスクリプションサービス(サブスク)に加入している方も増えてきました。死後、解約手続きをせずに放置しておくと、料金の支払いはそのまま続いてしまいます。どんなサブスクに加入しているか、解約方法とあわせて記録しておきましょう。
⑥医療や介護について考える
人生の最後をどう迎えるかはとても重要な問題です。不治の病に侵されたときに告知してもらうのか、延命治療を受けるのか、いざという時のために心の準備をしなければなりません。
また、不慮の事故や災害に襲われることもあります。そのような時に備えて、持病やかかりつけ医、アレルギーなどの医療情報も普段から準備しましょう。
さらに、認知症にかかった時にどうするかも重要な問題です。
⑦遺言書を作成する
死後の財産の相続について、遺族がもめないよう遺言書を作る必要があります。
遺言書は自分でも書けますが、法律上の解釈があいまいになったり、書き間違いなどで無効になる可能性も。確実に自身の考えを実行したいのであれば、専門家に相談するのがおすすめです。
⑧葬儀の準備をする
葬儀の希望を家族に伝えておきましょう。
最近では、葬儀の小規模化の傾向が顕著です。新型コロナ感染症の影響もあり、家族とごく親しい知人のみによる家族葬が増えています。葬儀の形式もさまざまで、従来の形式にとらわれない宗教色をなくした音楽葬などの自由葬も多いです。
葬儀はどのような形式にするのか、それとも葬儀はしないのか。ご自分の意思だけではなく残された家族の意向にも配慮しなければなりません。本人は簡素にしたいと思っていても、家族や親戚の年長者が反対するケースもよくあることです。
さらに、葬儀にだれを呼ぶのか、そして呼ばなかった人に葬儀後どのように伝えるのかなども家族と事前に相談しなければなりません。
祭壇に飾る遺影の準備も大事なポイントです。遺影はその後仏壇や仏間に飾られることも多いので、自分がお気に入りの写真を生前に準備しておいてください。
⑨お墓の準備をする
先祖代々のお墓がなかったり、あっても跡継ぎではないなどの理由で納骨できない場合は、死後の埋葬をどうするかを考えなければなりません。新たにお墓を購入するのか、他の方法で供養をしてもらうのか、最近は樹木葬や散骨を希望する方も増えています。
ただし、実際に供養をするのは残された家族です。自分の希望を家族に伝え、家族の意見も聞きながらどうするか決めましょう。
⑩家族と情報を共有する
もっとも重要なことは、これまでリストアップしてきた情報や計画・意思を家族と共有することです。
エンディングノートを作成したのであれば、保管場所を家族に伝えなければなりません。生前に見られることが気になるなら、封筒などに入れて密封しましょう。あるいは信頼できる第三者に預ける方法もあります。
終活はいつから始める?
終活を始める年齢には特に決まりはありません。元気なうち・若いうちに始めるほうが、体力も気力も充実していてスムーズに進められます。
とはいえ、現役世代のうちは仕事や家族の事・子育てなどに忙殺されるうえ、死後のイメージができないので最初の一歩を踏みだせないかもしれません。
現実的には、定年退職後や子供の独立後など生活環境が変わる65歳くらいから始める方が多いようです。また、健康面に不安を感じたり、身近な人がなくなった時も終活を始めるきっかけになります。
40~50代のうちに情報収集を始めておくと、親の終活にもアドバイスができるかもしれません。早すぎることないので、思い立った時にできることから始めてみましょう。
終活は何から始める?
たくさんやるべきことがあって、何から始めるか悩んでいる方も多いでしょう。
- できることから始めよう
- まずはエンディングノートをつけてみよう
まずは、上記の2つの視点から検討してみてください。
できることから始めよう
「終活を始めたいけど、何から始めるかわからない」という方はたくさんいます。その場合、手の付けやすい簡単なことから始めましょう。
例えば、親族が集まった時に、自分の葬儀の希望を伝えてみてください。また、年末年始に年賀状を整理する時、「葬儀に呼びたい人」「喪が明けた後に連絡してほしい人」などをリストアップするのもおすすめです。
まずはエンディングノートをつけてみよう
特にきっかけが思いつかない場合は、前述したエンディングノートを書いてみてください。
市販のエンディングノートには、終活でやるべきことが網羅されています。項目を埋めるうちに漠然としたイメージが具体的になり、今後やるべきことがはっきりするでしょう。
終活を始めるときの注意点3つ
終活をするときは、下記の3点に注意してください。
- 目的を見失わないようにしよう
- 楽しみながら進めよう
- 困ったときは専門家に相談しよう
1つずつ順番に解説します。
①目的を見失わないようにしよう
終活の目的は、あくまでも「残りの人生をよりよく生きること」、そして「自分の死後残された家族に負担をかけないこと」です。
死後に遺産相続を巡って争いが起きないように事前に話し合おうとしたところ、かえって家族の関係がぎくしゃくすることもありえます。
それでは本末転倒なので、時間をかけて関係者全員の理解を得ながら進めましょう。
②楽しみながら進めよう
よく終活では「優先順位をつけて計画的に進める」ことが重要だと言われますが、計画に縛られて苦痛になることもあります。計画通りに実行することは大事ですが、それよりも楽しむことが長続きのコツです。
例えば、写真やアルバムの整理は大変なので、途方に暮れることもあるかもしれません。整理だけに気を取られるのではなく、時には懐かしい写真を家族で見て、思い出話に花を咲かせることも楽しいひとときです。長い目で見ると、黙々と作業を続けるよりもはるかに有意義なのではないでしょうか。
③困ったときは専門家に相談しよう
老後の資産管理や遺産相続などは、専門的な知識が必要となります。資産管理であればファイナンシャルプランナー、遺言書であれば弁護士など、専門家に相談するのも手です。
最近では、終活カウンセラーという資格や終活全般のサポートを提供するサービスも存在します。困ったときは、専門家や多様なサービスをうまく活用しましょう。
まとめ
ここまで、終活でやることリスト10選と終活を始める前のポイントや注意点について解説してきました。
記事を参考にご自分に合った終活のやることリストを作成して、これからの人生をいきいきと過ごすきっかけになれば幸いです。