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葬儀費用を払えないときはどうする?解決法やコストダウンを解説!

「葬儀費用を今すぐ払えないけど何か良い方法はないか」

「葬儀費用の負担は経済的にもかなり大きい、できるだけ安く抑える方法はないか」

そのような悩みを持っている方が、多くいるかもしれません。

この記事では、葬儀費用が払えないときの解決法や安く抑える方法などを解説します。

本記事を読むことで読めばいざ葬儀費用が払えなくても慌てず、解決法が見つかり対処できるでしょう。

目次

葬儀費用を払えないときの解決法5選

葬儀費用を払えないときの解決法5選

葬儀費用を払えないときの解決法は、次の5つです。

  • 葬祭扶助制度を利用する
  • 加入している保険や自治体の給付金制度を利用する
  • 葬儀ローンを利用する
  • 故人の死亡保険金を利用する
  • 預貯金の仮払い制度を申請する

順番に解説します。

葬祭扶助制度を利用する

葬祭扶助制度とは、法律で定められた生活保護制度です。生活保護制度は経済的に困窮し、最低限度の生活が送れない方を対象としています。葬祭扶助制度の要件や中身は、以下の通りです。

葬祭扶助制度内容
申請条件・生活が困窮していて最低限度の葬儀が執り行えない方
・葬儀を行える親族がいなく、施設長や病院長や民生委員が葬儀を行う場合
扶助される主な費用死亡診断書発行費用
遺体搬送費
枕飾り一式
お別れ用の花束
仏衣一式
棺用布団
遺体保管関連費用(ドライアイスなど)
棺や白木位牌などの費用
火葬費用
骨壺など納骨費用
給付金額12歳以上の場合は206,000円以内
12歳未満の場合は164,000円以内
※自治体ごとに上限あり
申請方法葬祭扶助申請書
申請先申請者が親族の場合は申請者の自治体
施設長や病院長や民生委員などの場合は故人の住所地の自治体
注意点通夜や告別式を行わない直葬のみ
僧侶による読経や戒名などは対象外
申請は葬儀前に必ず実施
香典を受け取るのはOK

生活保護制度は出産や介護などのあらゆる扶助がありますが、葬祭扶助もその内の1つです。受給は状況によっても変わってくるので、対象の方がいれば必ず自治体に相談しましょう。

加入している保険や自治体の給付金制度を利用する

故人が加入していた保険によって、葬祭費または埋葬料の形で給付を受けられます。国民皆保険の制度上、全ての日本国民が加入しているのでしっかり活用しましょう。

主に自営業の方が加入する国民健康保険と、会社員や公務員の方が加入する健康保険で違いがあります。

国民健康保険健康保険
対象者個人事業主
農業や漁業従事者
パート・アルバイト
会社員・公務員とその扶養家族
支給される給付金葬祭費埋葬料
申請先自治体の窓口健康保険を運営する各組合
給付金額1~7万円5万円(組合によっては追加もあり)

どちらも申請期限が葬儀を終えてから2年以内なので、忘れずに申請しましょう。

葬儀ローンを利用する

葬儀ローンは葬儀費用を金融機関などから借りて分割で支払うサービスです。貸し出しには審査が必要で、年齢や職業、他からの借入金などの信用調査をします。

ローンには金利がつくので、あくまで借金である認識を持ちましょう。メリットとデメリットは以下の通りです。

葬儀ローンのメリット

  • 現金の準備に時間的余裕が生まれる
  • 予算以上の葬儀ができる
  • 葬儀代の管理がしやすい

葬儀会社への支払いには多額の現金を準備しておく必要がありますが、ローンを組めば差し当たっての支払に困らないでしょう。またローンを組めば自分が持っている金額以上の葬儀ができるのもメリットです。支払いは後から分割払いしてでも、故人のために葬儀を立派にしたい方にはおすすめかもしれません。

また葬儀ローンの範囲内で執り行えば、葬儀代の管理がしやすいのもメリットです。

葬儀ローンのデメリット

  • 金利が発生する
  • 審査に時間が掛かる
  • 審査が通らない場合がある

デメリットは、やはり支払い金利が発生する点です。借入先は銀行や信販会社、カードローン会社などですが5%~18%と高金利なので注意しましょう。また審査に関しても信用調査なので時間も掛かりますし、状況によってはローンが通過できない場合もあります。

ローンに依存するのでなく、手段の1つとして考えておきましょう。

故人の死亡保険金を利用する

葬儀費用を、故人が加入していた保険金を当てる方法もあります。生命保険は亡くなったときの保険金の受取人を事前に決めているので、受け取った方が葬儀費用を支払うのはよくあるケースです。

但し、以下の2点には注意しましょう。

  • 家族間でトラブルにならないように話し合っておく
  • 保険金の支払いには時間が掛かる

保険金を遺産相続として受け取った遺族が、現金を手元に残したい気持ちから葬儀費用にほとんど使わなかったといったトラブルがあります。相続した金額や葬儀の規模・内容など家族間で争いにならぬように話し合っておくのが良いでしょう。

また保険金の支払いには書類の提出や申請など手続きが多いので、時間が掛かります。

預貯金の仮払い制度を申請する

預貯金の仮払い制度は、2019年(令和元年)に民法改正で新設された制度です。故人の遺産分割の協議前でも、申請をすれば預貯金を一定額引き出せます。

従来は不正出金を防ぐために、故人の資産を凍結して公平な財産分与をするのが目的でした。しかし残された遺族が生活費や葬儀費用など必要出費を下ろせずに困窮してしまう事態になり、預貯金の仮払い制度ができました。

この制度を利用すれば手元にお金がなくても、故人の預貯金を葬儀費用に当てられます。出金の上限額や注意点を確認しましょう。

出金の限度額

出金できる限度額は、以下のいずれか低い方の金額です。

  1. 故人の預貯金残高×法定相続分×3分の1
  2. 150万円

基本的には、これ以上の金額の引き出しはできません。しかし仮払い制度以上の金額が必要なときは、家庭裁判所へ申請し認められれば法定相続分までの金額を受けられます。

仮払い制度の注意点

仮払い制度を申請する上で、注意する点は2点です。

  • 一度仮払いで受け取ると相続放棄できなくなる
  • 仮払いをしていない親族と揉める可能性がある

制度を利用すると相続放棄ができません。遺産相続は財産はもちろん故人が残した負債、借金も引き継がなくてはいけません。家庭の事情や負債を考えて、相続放棄を検討している方は十分注意しましょう。

また仮払い制度は現金の授受なので、事前に親族とよく相談しておかないとトラブルになります。葬儀に使ったときの領収書を取っておき、私的には使わないようにしましょう。

葬儀費用の相場は140万円~200万円程度

葬儀費用の相場は140万円~200万円程度

通常の通夜、告別式を含む一般葬の場合は、140万円~200万円程度の費用がかかります。ただし、葬儀費用は規模や参列者の人数、地域によっても変わりますので注意しましょう。近年は葬儀の形も1日葬や家族葬などさまざまですが、簡素化をすれば安く抑えることも可能です。

故人の思いと、家族間で相談しながら葬儀を執り行いましょう。

葬儀で必要な費用3つ

葬儀で必要な費用は以下の3つです。

  • 葬儀を執り行うのに掛かる費用
    40万円~80万円程度
  • 寺院や僧侶へのお礼・お布施の費用
    20万円程度
  • 参列者への飲食・返礼品の費用
    20万円~40万円程度

順番に解説します。

葬儀を執り行うのに掛かる費用:40万円~80万円程度

葬儀を執り行うのに掛かる費用は、会場や祭壇の代金や故人に関わるものがあります。以下の通りです。

内訳内容金額
斎場代葬儀を執り行う会場の施設利用料公営斎場:5万円~8万円
民間斎場:5万円~10万円
祭壇代故人が眠る祭壇の費用(祭壇・供花・供え物など)白木祭壇や花祭壇あり:10万円~100万円
位牌代戒名や没年月日・享年が記されたもの1万円~5万円
※位牌のグレードで違いあり
遺影代祭壇に飾る故人の写真1万円~3万円
※大きさや写真の精度で違いあり
枕飾り代故人の枕元に飾る祭壇一式1万円~3万円
※お供えものの種類で違いあり
棺代故人を収める棺(棺桶)の料金3万円~100万円
※素材や大きさ、装飾でグレード差あり
遺体搬送代病院などの搬送先から自宅まで運ぶ料金1.5万円~
※距離や遺体搬送時の備品も含む
遺体保管代遺体を自宅に運ぶまで安置しておく費用1万円~3万円/1日あたり
納骨代菩提寺などで故人の遺骨を永代供養してもらう費用10万円前後
火葬代遺体を火葬する代金10万円~30万円
※公営か民間かで違いあり

葬儀の規模や装飾品のサイズなどで料金が変わるので、葬儀会社に納得いくまで相談しましょう。

寺院や僧侶へのお礼・お布施の費用:20万円程度

供養をしてもらうお寺や僧侶へのお礼、お布施も葬儀に掛かる大きな費用です。20万円程度が相場と言われています。仏教式ではお布施、神式では神饌料、キリスト教では献金と呼んでいますが、中身は同じです。

また交通費に当たる車代、故人に贈られる戒名などもお礼として費用が掛かります。

参列者への飲食・返礼品の費用:20万円~40万円程度

葬儀参列のお礼や無事行えた感謝として当日の飲食、精進落としや直会(なおらい)があります。ちなみにキリスト教には、葬儀後の飲食の慣習はありません。参列者の人数によって金額は変わって来ますが、20万円~40万円と言われています。

また香典返しも、葬儀費用のプランに含まれている場合が多いです。参列者の人数と返礼品の金額、送る品物で大きく金額が変わるので葬儀社へ確認をしましょう。

葬儀費用を安く抑える方法5選

葬儀費用を安く抑える方法5選

葬儀費用を安く抑える方法は、主に5つあります。

  • 複数社から見積りを取る
  • 市民葬や区民葬を利用する
  • 1日葬、家族葬を利用する
  • 無宗教の葬儀を選択する
  • 火葬のみで葬儀をしない

順番に解説します。

複数社から見積りを取る

まずは見積りの基本、相見積りを取ります。少なくとも2~3社から見積りをもらい、同条件で比較しましょう。

病院などから紹介される葬儀会社は、高い場合が多いです。今はインターネットで見積り比較サイトや見積りが明記されているサイトも多いので、情報はしっかり取りましょう。

市民葬や区民葬を利用する

市民葬や区民葬は、葬儀を安く抑えられる自治体サービスの1つです。価格を抑えるために公共の斎場を使い、葬儀の装飾やサービスが基本的なものをベースに提供されます。

市民葬や区民葬の相場は50万円程度で、一般葬の140万円~200万円程度に比べて値段は安いです。

ただし、自治体によっては制度がなかったり、給付金を支給するなど補助はさまざまなので事前に確認しましょう。

1日葬、家族葬を利用する

通常の葬儀はお通夜から告別式、火葬と2日間に渡って行われます。また参列者も親族はもちろん友人や会社関係、故人とゆかりのある方など数多く参列します。それぞれの特徴を確認しましょう。

一般葬1日葬家族葬
費用140万円~200万円50万円~70万円60万円~80万円
参列者親族・友人・会社関係など多数一般葬と同様、特に制限なし家族中心
お通夜の有無ありなしあり

近年は生活様式の変化や葬儀の個性化から1日葬や家族葬が増えています。生前から家族と相談し、納得いけば1日葬や家族葬は葬儀代を安く抑えられるでしょう。

無宗教の葬儀を選択する

無宗教の葬儀では、供養をしてくれる僧侶へのお布施や戒名などお礼代が掛かりません。また決まった葬儀形式もないので、喪主や家族が自由に葬儀の形を決められます。相場は80万円~150万円と言われてますが、形式次第で大きく変わるでしょう。

注意点は家族や遺族への事前の相談と、菩提寺への相談です。納骨だけ菩提寺にお願いするのは失礼にあたるので、注意しましょう。

火葬のみで葬儀をしない

火葬のみの葬儀は、火葬式や直葬と言われています。相場は15万円~30万円で、一般葬140万円~200万円と比べて大幅に安いです。さらに時間も短く済ませられます。また火葬場も自治体が運営する公共施設を利用すれば、さらに安くできるでしょう。

注意点として、菩提寺がある場合は必ず事前に伝えておきましょう。場合によっては納骨をしてもらえない可能性もあります。基本納骨は読経供養と戒名授受をしてもらうのが仏教的マナーであり、しきたりです。

しきたりと仏教的マナーを考慮すると、僧侶へは心付けをして納骨をしてもらうなどの配慮が必要でしょう。

葬儀費用のトラブルを未然に防ぐために

葬儀費用のトラブルを未然に防ぐために

大きなお金が必要な葬儀費用で、トラブルを未然に防ぐための2点を紹介します。

  • 家族で葬儀費用について話し合っておく
  • 親の葬儀の希望を聞いて資産を把握しておく

順番に解説します。

家族で葬儀費用について話し合っておく

家族で事前に葬儀費用について、話し合っておきましょう。誰が支払うのか、葬儀代をどこから捻出するのかなど出金先や葬儀の内容や香典返しなど認識の違いが起きないようにします。

親兄弟や親族など関係のある人には相談しましょう。

親の葬儀の希望を聞いて資産を把握しておく

最近では葬儀にも個性があり、自分らしい葬儀をしたいと考える方が増えています。親の葬儀の希望を聞いておけば、双方に満足感のある葬儀ができるでしょう。また親の資産を把握しておけば、葬儀に当てられる費用があるかや、払えない場合にどうするかなど解決策を考えられます。

親との葬儀に関するコミュニケーションは絆を深め、考えも理解できメリットが大きいです。

まとめ:葬儀費用を払えないときは賢く制度を利用しよう

別れを迎えた遺族にとって葬儀費用を準備するのは、精神的にとても辛いでしょう。葬儀費用は支払い内容が多く、場合によっては払えない状況があるかもしれません。しかし葬儀費用が払えなくても、国や自治体の制度や保険金などあらゆる方法でまかなうのは十分に可能です。

誰にでも訪れる別れに対して費用を心配せず、使える制度や安くできる方法を実践し故人を安らかに送り出してあげてください。