【例文あり】葬儀のお礼状とは?送るべき相手と書き方マナーを解説!
葬儀では親族を中心に故人とゆかりのある方など、さまざまな方が参列します。さらには香典や弔電、供物をもらうこともあるでしょう。
そこで必要になるのがお礼状です。
「お礼状には何を書けばいいのか」
「お礼状の書き方のマナーとか礼儀はあるのか」
こんな疑問を持つ方は、多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では例文付きで、葬儀のお礼状の書き方やマナーを解説します。最後まで読めばお礼状の書き方やマナーや内容がわかり、参列した方に感謝の気持ちが伝わるでしょう。
目次
葬儀のお礼状とは
葬儀のお礼状は、式に参列してくれた方や香典や弔電を送ってくれた方に渡すもの。口頭で伝えるお礼の代わりとなるもので、お礼状と呼ばれています。
お礼状の役割は、主に次の3点を伝えることです。
- 香典や弔電などの心遣いの感謝を伝える
- 参列できなかった方に葬儀が無事に終わったのを伝える
- 当日の葬儀の進行などのお手伝いの感謝を伝える
基本的に葬儀後に、香典返しと一緒に送ります。最近では葬儀の当日に手渡しで香典返しも渡す場合が多く、同時にお礼状も添えるスタイルが多いです。
葬儀のお礼状の例文6選
葬儀のお礼状の例文を紹介します。送る相手別に全部で6つ。
- 故人が生前お世話になった方へ送るお礼状
- 故人の仕事関係の方へのお礼状
- 遠方から参列した方へのお礼状
- 香典・弔電を送ってくれた方へのお礼状
- 弔辞へのお礼状
- 葬儀委員長をしてくれた方へのお礼状
順番に1つずつ紹介します。
故人が生前お世話になった方へのお礼状の例文
故人が生前にお世話になった方は、遺族も面識がある場合も多いでしょう。また故人との年代が近かったり、年長者の方の可能性もあります。
より丁寧な文面で、感謝と今後も変わらぬお付き合いをお願いするのが良いでしょう。
謹啓
先般 亡父〇〇の葬儀に際しましては 過分のご配慮を賜わり誠にありがとうございます
また生前父が何かとお世話になりましたことを 父に代わりまして心から厚く御礼申し上げます
お陰様で父も心おきなく旅立つことができたものと思います
生前父からあなた様のことは数多く話しにあがり 親しくして頂いていたことを改めて感謝申し上げます
くれぐれもお身体を大切になされ 末永くご健勝にお過ごしくださいますよう心からお祈り致しております
これからも亡き父同様よろしくご指導ご鞭撻くださいますよう お願い申し上げます
敬白
令和5年〇月〇日
喪主 〇〇
故人の仕事関係の方へのお礼状の例文
故人の仕事関係の方へは、故人が仕事中にお世話になったお礼の言葉を添えましょう。香典や弔電を頂いている場合もあるので、感謝の気持ちも忘れずに伝えましょう。
謹啓
このたびは亡父〇〇の葬儀に際しましては ご丁重なご配慮を賜り厚く御礼申し上げます
また故人の就業中におきましては多大なるご厚誼を賜りましたことを故人に代わりまして 心より感謝申し上げます
お心に掛けて頂きまして 亡き父も喜んでいることと思っております
くれぐれもお身体を大切になされ 末永くご健勝にお過ごしくださいますよう心からお祈り致しております
これからも亡き父同様よろしくご指導ご鞭撻くださいますよう お願い申し上げます
敬白
令和5年〇月〇日
喪主 〇〇
遠方から参列した方へのお礼状の例文
遠方より参列した方は、故人のために時間とお金を使っています。故人と関係性が深い可能性が高いでしょう。
遠くから参列してくれた感謝の気持ちを、お礼状に書きます。
謹啓
亡父〇〇の葬儀に際しましては 御多忙中にもかかわらず遠路より足をお運びいただき 誠に有り難く厚く御礼申し上げます
亡き父もあなた様の参列に際し 喜んでいることと存じます
本来なら拝趨し御礼申し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中をもちまして御礼の御挨拶を申し上げます
くれぐれもお身体を大切になされ 末永くご健勝にお過ごしくださいますよう心からお祈り致しております
これからも亡き父同様よろしくご指導ご鞭撻くださいますよう お願い申し上げます
敬具
令和5年〇月〇日
喪主 〇〇
香典・弔電を送ってくれた方へのお礼状の例文
香典や弔電を送ってくれた方は、参列ができなかった方です。感謝を添えて書きましょう。
謹啓
先般 亡父〇〇の葬儀に際しましては ご鄭重なるご香料をお託け賜わりましてまことに恐縮いたしております
ご芳志の程 ありがたく亡父〇〇の霊前に供えさせていただきました
早速御礼申し上げるべきところ 取り込んでおりましてごあいさつが遅れたことを深くお詫び申し上げます
お陰様にて葬儀も滞りなく終えることができました
今後ともよろしくご交誼賜りますようお願い申し上げます
敬具
令和5年〇月〇日
喪主 〇〇
弔辞へのお礼状の例文
弔辞を依頼した方は、故人ととても関係の深い方です。生前の感謝と、当日の弔辞の準備を含めて時間と手間を使ってくれたことに感謝しましょう。
謹啓
亡父〇〇の葬儀に際しましては 御多忙にかかわらず御参列いただきましたうえ ご丁寧なご弔辞を賜り心から感謝申し上げます
亡父にかわりまして謹んで感謝を申し上げます
今後とも生前と変わらぬお付き合いを賜りますよう御願い申し上げます
本来であれば拝眉の上ご挨拶申し上げるところですが 書中をもちまして御礼にかえさせていただきます
敬具
令和5年〇月〇日
喪主 〇〇
葬儀委員長をしてくれた方へのお礼状の例文
葬儀委員長をお願いした方には、葬儀が決まってから当日式が終わるまで時間と手間を割いて頂いています。また故人との関係性も深く、今後もお世話になるでしょう。
丁寧な文面を心掛け、お礼状を書きましょう。
謹啓
先般 亡父〇〇の葬儀に際しましては ご多忙の中で大切なお時間をお割きくださり 葬儀委員長をお引き受けいただきまして誠にありがとうございました
お陰様で立派な葬儀を執り行っていただき亡父も喜んでいることと思います
遺族を代表し深く感謝申し上げます
本来であれば拝眉の上ご挨拶申し上げるところですが 略儀ながら書中をもちまして御礼の御挨拶を申し上げます
敬白
令和5年〇月〇日
喪主 〇〇
葬儀のお礼状で書くポイント3つ
葬儀のお礼状で書くべきポイントは3つです。
- 故人の名前を入れる
- 差出人の名前を入れる
- 参列や香典・弔電のお礼を入れる
順番に1つずつ解説します。
故人の名前を入れる
お礼状の冒頭に故人の名前を記載しましょう。差出人から誰の葬儀かは察しが付きますが、故人の名前を入れるのがマナーです。
書き方は「故〇〇」「亡父〇〇・亡母〇〇」と俗名でも問題ありません。また戒名がある場合は一緒に記載しておくとよいでしょう。
差出人の名前を入れる
お礼状には誰からのものかわかるよう、差出人の名前を入れます。「喪主〇〇」と書くのが一般的です。
故人しかわからない方も、中にはいるので、故人と喪主の関係性や続柄を書いておくとより丁寧な文面に仕上がるでしょう。
参列や香典・弔電のお礼を入れる
お礼状には参列や香典・弔電など行って頂いたものの感謝の言葉を添えましょう。お礼状の多くは、参列や香典・弔電に対して送るものです。
故人に対して時間を作って参列してくれた方、参列ではなく香典や弔電を送ってくれた方、準備も含めて弔辞をしてくれた方などさまざまです。そうした方々にお礼状を送ります。
葬儀のお礼状を送る相手とは
葬儀のお礼状を送る相手は主に6つです。
- 故人が生前お世話になった人
- 喪主の会社関係の人
- 遠方からの参列者
- 香典・弔電を送ってくれた人
- 弔辞をしてくれた人
- 葬儀委員長
順番に1つずつ解説します。
故人が生前お世話になった人
まずは故人が生前お世話になった方へ送ります。お世話になった方は友人や恩師、仕事やプライベートなどさまざまです。故人がお世話になったのはもちろん、今後遺族にとっても精神的に頼りになったり、生活面でも支えになってもらえるかもしれません。
これからも引き続きお付き合いをお願いすることも含めて、生前お世話になった方へお礼状を書きましょう。
喪主の会社関係の人
家族の葬儀になると葬儀準備や葬式、相続の手続きなどで会社を休む場合も考えられるでしょう。葬儀では会社から香典や弔電を頂くケースもあります。
それに対してお礼状を送るのが、良識ある行動といえます。香典や弔電をもらったお礼や会社へ迷惑を掛けたお詫びを、一言添えて書くのもおすすめです。
遠方からの参列者
葬儀に参列する方の中には、遠方から交通費を掛けて参列する方もいます。
本来は直接お礼を述べるべきですが、難しいときはお礼状に感謝の言葉を書きましょう。はるばる時間を掛けて葬儀に参列してくれた方は、故人とのつながりも強いはずです。今後のお付き合いをお願いする一言も添えて、お礼状を書きましょう。
香典・弔電を送ってくれた人
葬儀当日に参列できなかった方から、香典や弔電を頂く場合があります。もらった方にお礼を直接伝えるのは難しいので、香典返しと一緒にお礼状を添えましょう。
葬儀が無事行えたことや、香典や弔電を頂いた感謝を伝えてお礼状を書きます。
弔辞をしてくれた人
弔辞を読んでくれた方は、原稿の準備や練習などの時間を取っています。故人との関係性も、多くの参列者の中で特に深い縁がある方です。
弔辞を読んで頂いた感謝の気持ちと、今後のお付き合いをお願いする内容を含めてお礼状を書きましょう。
葬儀委員長
葬儀委員長をお願いする方は、葬儀が決まってから多くの時間を葬儀のために費やしてくれています。また故人と深い関係性があり、今後のお付き合いも続いていくと考えられます。
葬儀委員長をして頂いた方には多くの時間を使って頂いた感謝の気持ちと、これからもお付き合いをして頂く内容のお礼状を書きましょう。
葬儀のお礼状の書き方マナー5つ
葬儀のお礼状の書き方マナーは5つです。
- 故人の名前と間柄を記載する
- 書き出しと結びの言葉を入れたほうが良い
- お礼の言葉から書き始める
- 句読点を使用しない
- 忌み言葉や重ね言葉を使用しない
順番に1つずつ解説します。
故人の名前と間柄を記載する
お礼状の冒頭部分は故人の名前を記載しましょう。お礼状を受け取った方は差出人から誰の葬儀のお礼状か察しが付きますが、故人の名前を書くのが通例です。
書き方は「亡父〇〇・亡母〇〇の葬儀」「故〇〇儀」と俗名を書いても、マナー違反ではありません。「〇〇」の名前の部分はフルネームで書きます。また戒名があれば一緒に記載しておくのがよいでしょう。
書き出しと結びの言葉を入れたほうが良い
葬儀のお礼状の書き出しには「謹啓」「拝啓」、結びの言葉には「敬具」を使います。「謹啓」「拝啓」「敬具」ともに、つつしんで申し上げる意味の手紙で使われるあいさつ言葉です。
「拝啓」より「謹啓」の方がより丁寧な言葉づかいで、結びの「敬具」は共通で使われます。葬儀のお礼状では季節のあいさつ、いわゆる時候のあいさつは必要ありません。
お礼の言葉から書き始める
お礼状の内容の書き出しはお礼の言葉から始めます。参列してもらった、香典や弔電を頂いたなどしてもらった内容に対して、お礼の言葉を述べます。
その後に、葬儀を無事に終えられた報告や今後の引き続きのお付き合いをお願いするあいさつなどを書きましょう。書き言葉は尊敬語や謙譲語を使用し、やや堅めの文章で書き上げるのがマナーです。
句読点を使用しない
葬儀のお礼状には通常、句読点は使いません。句読点は「縁を切る」「物事を区切る」などの意味もあると言われています。縁起を重んじる、葬儀を滞りなく執り行われるようにとの意味から、句読点を使わないのがマナーです。お礼状では句読点の代わりにスペースを空けたり、改行をしたりして文章を書きましょう。
最近では句読点を入れるお礼状もありますが、さまざまな世代の方に渡すお礼状なのでしきたりにのっとって、句読点を使わないほうがよいでしょう。
忌み言葉や重ね言葉を使用しない
葬儀の場では縁起の悪い、使ってはいけない忌み言葉や不幸が重なることを連想させる重ね言葉は使いません。これらはお礼状でも同様で、使うのは避けましょう。
- 重ね言葉 まだまだ、ますます、引き続きなど
- 繰り返し・継続・強調の言葉 再度、これから、追伸など
- 不吉なイメージの言葉 大変、消える、苦しむ、落ちるなど
普段使っているものが該当するので気を付けないとつい、使ってしまうので注意しましょう。
葬儀のお礼状に関するよくある質問
葬儀のお礼状に関して、よくある質問をまとめました。
具体的に解説します。
お礼状の代わりとしてメールを使うのはマナー違反?
日常でメールを多用する現在、葬儀のお礼もメールでも良いのではと思う方もいるかもしれません。しかし、お礼状を送るのが本来のマナーです。
お礼状は全ての参列者に返礼品を持参してあいさつに行くのが難しいため、その代わりに使われています。お礼状を書かないでメールで代用するのはマナー違反になるので、注意しましょう。
お礼状で使う用紙や封筒は?印刷でも大丈夫?
お礼状の用紙は奉書紙、略式のカードタイプがあります。奉書紙がより正式なものですが、現在では略式のカードタイプが多いです。封筒は必須ではありませんが、入っている方がよりていねいな印象を与えます。
またお礼状で一番ていねいなのは毛筆での自筆ですが、全てを手書きにするのは負担が大き過ぎます。現在は印刷で対応するのは、マナー違反ではありません。
直接書いて気持ちを伝えたいなどの思いがある場合は、手書きと印刷を併用するのもよいでしょう。
まとめ:葬儀のお礼状のマナーを知って感謝の気持ちを込めて送りましょう
葬儀のお礼状は参列や香典、弔電を頂いた感謝や今後のお付き合いのお願いをする遺族と参列者をつなぐ大事なものです。本来は会ってお礼を伝える必要があるものを、お礼状の形で代用しています。
お礼状を書く機会は少ないですが、書き方のマナーやポイントをしっかり理解しておくのが大切です。数多くの方に支えられて葬儀は執り行われるので、感謝の気持ちを込めてお礼状を書きましょう。