50代から終活を始めよう!おひとりさまでも安心できるコツも解説
終活を始めたくても、いつから始めればいいのかわからないとお悩みではありませんか?
2022年6月に燦ホールディングスが発表した調査では、終活を始めるべき年齢について、70代が35%、60代が26%という結果が出ていますが、徐々に「終活=シニア」のイメージが崩れつつあります。
終活を始めるのに、早すぎることはありません。できれば体力・気力の充実している50代から始めるのがおすすめです。
この記事では、50代から終活を始めるメリット・デメリットや注意点、さらにはおひとりさまでも安心して終活を始めるコツを紹介しています。ぜひ、終活を始めるうえでの参考にしてください。
目次
終活とは?

「終活」とは「人生の終わりのための活動」の略です。単に、人生の最期を迎えるための準備だけではなく、いきいきとした老後を送るためにするべきことの意味も含まれます。
具体的には、断捨離・財産の見直し・葬儀やお墓の準備・エンディングノートの作成など。決めなければならない事項がたくさんあるので、余裕をもった早めの準備が重要です。体力や気力・判断力が十分に備わっている50代以前から準備しましょう。
50代から終活を始めるメリット4つ

終活を50代から始めるメリットは4つです。
- 50代なら十分な体力・気力がある
- 50代なら十分な判断力がある
- 50代ならさまざまなことに備える余裕がある
- 50代ならセカンドライフの計画を立てやすい
順番に説明します。
50代なら十分な体力・気力がある
終活としてまず思い浮かべることに断捨離があります。不要なものを捨てるには相当の体力が必要です。捨てるか・捨てないかを決めるには判断力も要求されます。
また、財産の整理や遺産相続などは頭を使う作業です。60代、70代になると何をするにも億劫になってしまいます。さまざまな決断や行動を行うには、まだ気力が低下していない50代の頃から始めましょう。
50代なら十分な判断力がある
財産の整理や遺産相続をどうするかはとても頭を使う作業です。時には専門家への相談も必要になってきます。それだけではなく、自分の死後もめないように、早いうちから家族の理解を得る努力もとても重要です。どの財産をだれに相続させるかを決めるには、高度な判断力が要求されます。
複雑な問題を頭の中で整理して、適切な判断を行うには若いうちから始める方がいいでしょう。
50代ならさまざまなことに備える余裕がある
50代は、現在の年収や貯蓄額、ローンの残額、老後の年金受給額などが明確になって来る頃です。
現在の資産状況と将来の収入・支出を予測してみると、資金が足りなくなる可能性も考えられます。若い頃であれば、老後に必要な資金を余裕を持って貯蓄することが可能です。必要に応じて節約をしたり、定年後の再就職を検討するなど無理のない老後の資金計画を構築できます。
50代ならセカンドライフの計画を立てやすい
50代のうちに老後にどのような生活を送りたいか、何をやりたいかを考えておくとそれに合わせたプランを立てやすくなります。
若い頃やっていた山登りを定年退職後にまた始めたいと思っても、体力を必要とするので簡単ではないでしょう。また、新たな仕事に挑戦するためには資格が必要となるかもしれません。
50代のうちから徐々に準備をすれば、スムーズに思い通りのセカンドライフを始められます。
50代から終活を始めるデメリット3つ

50代からの終活には、以下のようなデメリットもあります。
- 制度が変更される可能性がある
- 自分の考え方が変わる可能性がある
- 自分を取り巻く環境が変化する可能性がある
順番に紹介します。
制度が変更される可能性がある
老後の生活では、年金・介護・医療などの制度が深くかかわってきます。将来、年金受給額が変わることは十分ありうるでしょう。介護サービスや医療を受けるときの自己負担額が増える可能性も考慮する必要があります。
また、消費税の増税や物価の上昇も気になるところです。50代から終活を始めても、10年後、20年後の社会制度や経済環境が現在とは大きく変わってしまった場合、計画を見直さなければなりません。
自分の考え方が変わる可能性がある
早いうちから老後の計画を立てていても、自分の考え方が変わることは十分予想されます。
定年退職後は、生まれ故郷に戻って余生を過ごそうと思っていても、都会の便利な生活を捨てられないかもしれません。あるいは、家族の反対もありえます。状況に応じて計画の見直し・変更を行いましょう。
自分を取り巻く環境が変化する可能性がある
老後の生活では、若い頃には考えてもみなかったことが起こる可能性があります。特に、身体は年を取るにしたがって衰えるでしょう。体力的にきつくなって、予定していた再就職が難しくなるかもしれません。
また、同居していた子供が仕事の都合などで家を離れれば生活は大きく変わります。終活を始めるときには、そのような状況の変化も頭の隅に置いて取り組みましょう。
50代の終活でやるべきこと5つ

続いて、50代から始める終活でやるべきことを5つ紹介します。
- 身のまわりの物を整理する
- 財産を管理する
- エンディングノートを作成する
- デジタルデータを整理する
- 医療・介護の事を考える
順番に説明します。
身のまわりの物を整理する
終活と言うと、断捨離を思い浮かべる方も多いでしょう。
まず、手始めとして身のまわりの物の整理から始めてみてはいかがでしょうか。しかし、無理に物を捨てる必要はありません。押し入れや物置の中を確認して何が眠っているかの確認から始めましょう。その中で、はっきりと必要ないものがあれば廃棄します。
断捨離は時間を要する作業です。体力も要求されます。捨てるものによっては、家族の理解も必要になるかもしれません。慌てずに、ゆっくりと進めてください。
財産を管理する
次に保有する資産を全て洗い出します。整理をしているうちに、何年も引き出しに眠っていた預金通帳が見つかるかもしれません。
住宅や自動車のローンなど負の資産についても、返済計画を改めてチェックしましょう。株式や、貴金属・骨董品なども資産の一部です。特に骨董品などは、処分の仕方をあいまいにすると家族が遺品整理の時に苦労するケースがよくあります。
エンディングノートを作成する
エンディングノートの作成も、終活の第一歩としてはおすすめです。エンディングノートとは、これまでの人生を振り返り、自分の考えや家族へ伝えたいことを書き記したノートです。
エンディングノートには、以下のような情報を記載します。
- 自分の基本情報
- 過去の自分の出来事(自分史)
- 今後の目標
- 家族・親族・友人の情報
- 医療や介護について
- 葬儀やお墓について
- 財産の管理や相続について
- 家族や友人などへのメッセージ
ただし、エンディングノートには、法的な効力はありません。遺産相続や葬儀の希望などは、遺言書を作成したり死後事務委任契約を結ぶ必要があります。
デジタルデータを整理する
死後、パソコンやスマートフォンに残されたデジタルデータがどうなるかも気になる問題です。ハードディスクやUSBメモリなどの記憶媒体に保存している情報とともに、SNSやメールのアカウントも一度整理しましょう。
さらに最近では、電子マネーやサブスクリプションサービスも普及してきました。サブスクリプションサービスは、死後解約手続きをせずに放置すると利用料金の引き落としが続くので注意が必要です。
デジタルデータの情報は、エンディングノートにまとめて記録しておきましょう。その際、パスワードは別の保存の仕方・場所を考えなければなりません。
医療・介護の事を考える
医療や介護も重要な問題です。がんなどの重い病気の告知をどうするのか、延命治療を希望するのか・緩和ケアだけは受けるのかなど、健康なうちに考えましょう。
また、不慮の事故や災害に襲われる可能性もあります。そのような時に備えて、持病やかかりつけ医、アレルギーなどの医療情報も普段からきっちりと管理しなければなりません。
さらに、認知症にかかった時に誰にどこで介護してもらうかも重要な問題です。
50代独身でも安心できる終活のコツ3つ

50代のおひとりさまが終活を始めるうえでのコツは3つあります。
- 早めに遺言書を作成しておく
- 万が一に備えて生前契約・死後事務委任契約を検討する
- 老後の住まいを考える
順番に解説します。
早めに遺言書を作成する
まだまだ体力・気力は充実しているとはいえ、50代はそろそろ身体の衰えを感じる年代です。生活習慣病やガンのリスクも増加し、急な病に倒れるかもしれません。
おひとりさまの場合、自分の財産を死後だれに相続するかはとても重要な問題です。なるべく早く遺言書を作成するように心がけましょう。
万が一に備えて生前契約・死後事務委任契約を検討する
親族がいない場合、けがや病気で入院するときは身元保証人を探さなければなりません。認知症にかかって判断能力がなくなった時のためには、信頼できる人との任意後見契約も選択肢のひとつです。
死後、さまざまな事務手続きや葬儀の執行・お墓への埋葬を行えるのは基本的には親族だけです。もし、身近に親族がいない場合、自分の思い通りの葬儀や埋葬を行ってもらうには、死後事務委任契約が必要になってきます。
親族がいない場合、いざという時に備えてさまざまな準備を考えておきましょう。
老後の住まいを考える
老後どんな場所に住むかも、あらかじめ考えなければなりません。家族がいる場合は、心身が衰えた場合でも身の回りの世話を家族に頼めます。おひとりさまの場合、高齢になると、ちょっとした家事や買い物でさえも大きな負担です。
また、室内で転倒したり、冬になるとヒートショックでお亡くなりになるケースも非常に増えています。広い家を売却して一人でも管理のしやすいマンションへの引っ越しも考えなければなりません。
サービス付き高齢者向け住宅なども選択肢のひとつです。サービス付き高齢者向け住宅とは、安否確認やさまざまな生活支援サービスを提供する賃貸住宅。「サ高住」とも言われており、最近数が増えています。「老人ホームはプライバシーがなかったり、自由に行動できない」「まだ介護をそれほど必要とはしないけど、ひとり暮らしは不安だ」という人のための住居です。
それぞれの施設や住宅にどのようなサービスがあり、料金はいくらくらいかかるのかを前もって把握して、資金の面も含めて老後に備えておきましょう。
50代から終活を始める注意点3つ

50代で終活を行ううえで注意しなければならないことがあります。
- 断捨離は慎重に行う
- 家族と相談しながら進める
- 当初の計画に縛られない
50代に限らず、どの年代にも当てはまりますので順に説明します。
断捨離は慎重に行う
断捨離については、「思いきって捨てる」ことを推奨しているネットの情報をよく見かけます。しかし、一度捨てたものは戻ってきません。また、家族とよく相談せずに捨ててしまって、あとでトラブルになるケースもあります。長年趣味で集めていたものを思いきって捨ててしまったために、老後の楽しみがなくなってしまっては本末転倒です。
50代のうちは、あまり捨てることにとらわれず、まずは身のまわりの物のチェックリストを作る感覚で始めてみてください。
家族と相談しながら進める
終活をする時には、家族とコミュニケーションを取りながら進めましょう。50代からでは、「まだ早いのではないか」と家族に不安に思われるかもしれません。しかし、終活は本人にとっても家族にとってもメリットがあることを説明して理解を得ながらあせらずに進めてましょう。
また、断捨離をする時に勝手に家族のものを捨てるのはトラブルのもとです。自分の物であっても、家族との思い出の品物は家族の了解を得てから廃棄しなければなりません。
当初の計画に縛られない
早めに終活を始めることは、とても大事です。しかし、先に述べたように残りの人生を過ごすうちに考え方が変わったり、経済状況や社会環境の変化もありえます。その時は当初の計画に固執せずに、柔軟に計画の変更を検討しましょう。
また、終活の計画やエンディングノートは定期的に見直してください。
まとめ

ここまで、50代から始める終活について、メリットやデメリット、注意点などを解説してきました。
将来予想されるさまざまなリスクを考慮して早めに準備することは、充実したセカンドライフをおくるうえでとても大切です。特に、おひとりさまにとっては一人で迎える老後の不安は切実な問題です。
いきいきとした老後を迎えるために、体力と気力の充実した50代から終活を始めましょう。