終活はおひとりさまにこそ必要!自分の幸せのためにやること4選!
終活は遺された家族が困らないようにするのが目的だと考えられがちです。しかし終活の一番の目的は、自分の人生をより豊かにすることです。終活に取り組むことで、人生設計が立てられます。
2020年に実施された国勢調査の統計では、おひとりさま世帯が全体の40%近くを占めると発表されています。おひとりさまに対する制度も充実してきているため、公的な制度も有効利用して終活をすすめましょう。
終活で得られるメリットや人生設計に役立つ終活の方法を解説します。あなたの終活の参考にしてください。
目次
おひとりさまが終活するメリット3つ
おひとりさまが終活で得られるメリットは3つあります。
- 自分の人生と向き合う機会ができる
- これからを楽しく生きられる
- 信頼できる人に後を託せる
1つずつ順番に解説します。
自分の人生と向き合う機会ができる
なんとなく生きていると、自分の人生をしっかりと見つめる機会はありません。終活は自分が死んだ後のことを考えるだけでなく、過去・現在・未来を見通す作業です。
今一度あなたのルーツを調べてあなたが生きるエネルギーにつなげましょう。両親をはじめ親族にも思いを寄せられます。現在力を入れていることをこれからどう展開させていきたいか考えることも終活の1つです。自分が死んだ後どうしてもらいたいかも決められます。
これからを楽しく生きられる
終活に取り組むと、例えばお世話になった人に感謝を伝えたり再会したい思いを伝えたりできます。おひとりさまだからこそ、今あなたがやりたいことを思うように実行できるかもしれません。
終活で不要な荷物や人間関係を整理すると、自身の気持ちや環境がすっきりします。
ところで、あなたは自分の全財産を把握していますか?預貯金、有価証券、不動産、生命保険、自動車、物品など全てが財産です。自分が苦労して貯めてきた財産をたくさん残す必要はない反面、長生きして足りなくなるのも困ります。
自分の財産を確認して、自由になる額を割り出しましょう。これからの人生を楽しく生きることにつながるはずです。
信頼できる人に後を託せる
自分が死んだら財産はどうなるのか、葬式は出してもらえるのか、お墓は…と考え始めると不安ばかりです。しかしあなたの意思が伝われば、それに従って周囲は動いてくれます。
たとえば財産の場合、何も意思表示しなければ最終的には国に帰属します。誰かに相続する、どこかに寄付するなどの考えは明らかにしなくては、あなたの思いは伝わりません。
終活でエンディングノートや遺言を書いてはじめて、信頼できる人にあなたの思いや財産を託せます。
おひとりさまが終活するデメリット3つ
おひとりさま終活のデメリットをまとめました。
- 時間がかかる
- 気持ちが落ち込む
- 終活詐欺に合う可能性がある
デメリットの内容を詳しく説明します。
時間がかかる
身の回りの不要な物を片付けること、エンディングノートを書くこと、財産に関すること、医療に関すること、葬式やお墓のこと…やるべきことはたくさんあります。
手間も時間もかかる作業をひとりで進めるのは大変なので、デメリットと言わざるをえません。しかし今はじめるのが、長い目で見れば時間をたっぷりと使うことにつながるでしょう。
気持ちが落ち込む
終活になかなか踏み出せないのは、自分の死について考える躊躇でしょう。未知のことであり、恐怖や不安が伴うのは当然のことです。終活が原因で、気持ちが落ち込んでしまうことは確かにあります。
しかし、真摯に自分の死をとらえると、恐怖心を克服できることも。気持ちの落ち込みを少なくするために、できるだけ早く終活に取り組みましょう。可能であれば、仲のよい友達と語り合いながら終活するのがおすすめです。
終活詐欺に合う可能性がある
多くの詐欺が報道されていますが、終活をターゲットにした詐欺も存在します。
私の身近に起こったことを紹介します。おひとりさまに電話がかかってきて、言葉巧みに不要品を買い取る話を持ちかけられました。終活をしていたので、簡単に不要品を買い取ってくれると聞いて思わず頼んでしまいました。訪問してきた人に不要品以外の宝石や着物を出させられて、結局とても安い金額で買い取られてしまったというのです。
他にも、終活セミナーに参加したら高額健康食品を売りつけられたという話もあります。
怪しいと思ったら断る勇気をもってください。場合によっては警察に相談することも念頭におきましょう。
おひとりさまが終活するポイント4つ
終活で押さえるべき4つのポイントを紹介します。
①お金の管理と相続を考える
まず自分の財産を書き出して把握しましょう。
- 預貯金、株式、その他有価証券
- 貴金属、美術工芸品、会員権など
- 保険
- 不動産
- 年金
- 借り入れなど
これらの財産をだれに相続するか考えてみましょう。あなたがおひとりさまなら、生前親切にしてくれた人に譲渡したり、団体に寄付したりする方法も考えられます。
財産については、エンディングノートに記録するのがおすすめです。同時に遺言書で意思表示すれば、確実にあなたの石を伝えられるでしょう。
②身の回りを片付けて今の生活を充実させる
長年同じ家に住んでいると、とりあえず保管したものがたくさんあるはず。何年も着ていない洋服や靴、以前夢中になった趣味の道具、いつか使うかもと思ってしまい込んだ家電類など探せば驚く量が見つかるはずです。終活の一環として身の回りを片付けてすっきりさせましょう。
「いつまでにこの部屋を片付ける」とタイムリミットを設定して、持ち物を処分すると片付けは進みます。「今後その品物を使うか?」を処分の判断基準にしてください。
不要品を片付けると、身の回りには必要な物だけが残ります。愛着のある使いやすい物に囲まれて暮らすのはとても幸せなこと。収納場所がすっきりして、必要な物がすぐに取り出せるのでストレスも軽減できます。
亡くなった後の整理をする人にとっても、気持ちよく作業ができる家になるのはありがたいです。
③葬儀とお墓について自分の意志をもつ
亡くなった後の葬儀やお墓についての希望がはっきりとしていると、周囲の人は迷わずやるべきことを進めてくれます。生前に葬儀を予約と支払いができる「生前契約」というシステムもあり、利用者は年々増加しています。自分のための葬儀を、はっきりと決めておくことが大切です。
葬儀するならば、参列してもらいたい人の連絡先をわかりやすく整理しておくと確実に連絡がされるので安心でしょう。お墓については、永代供養付きのお墓を契約する方法以外に樹木葬、納骨堂など多くの選択肢があります。
④関連制度をチェックする
財産管理や死後の手続きを専門家である弁護士や行政書士に任せる制度の利用もおひとりさまには特におすすめです。どのような制度があるか解説します。
財産管理契約
判断能力があるうちに管理を任せたいときには「財産管理委任契約」を利用します。
信頼できる相手を選び希望を伝えて管理を任せる制度で、死後の事務手続きも合わせて依頼できます。しかし公的な監督者がいないので、管理を任された人の不正をチェックするシステムがないところが難点です。
任意後見制度
「任意後見制度」は、判断能力があるうちに依頼する任意後見人や委任する事柄を公正証書によって契約しておく制度です。判断能力が不十分になったら依頼された人が動いてくれます。
任意後見人は、家庭裁判所が弁護士、司法書士、社会福祉士、福祉に関わる法人などから選出任命します。
死後事務委任契約
司法書士や行政書士などの専門家に死後手続きをしてもらうには「死後事務委任契約」を利用します。必要な死後手続きは以下の通りです。
- 役所に死亡届を提出する
- 健康保険や年金の資格抹消届を出す
- 火葬や直葬、納骨、埋葬に関する事務手続きを行う
- 医療機関への入院費用等の清算を行う
- 家の光熱費や入居していた施設の利用料の精算、退去手続きを行う
SNSやブログなどを閉鎖したり死亡の告知や退会の処理などの手続きも依頼できます。
おひとりさまの終活にエンディングノートは必須
考えたり準備したりしたことをエンディングノートに書き留めておくことはとても大切です。エンディングノートがあなたの意思を周囲の人に確実に伝えてくれます。
1冊のノートを用意して書くこともできますが、既製のエンディングノートも販売もされています。項目全部を書こうとせずに、あなたに必要なところから書きましょう。
書く内容はあなたの「過去」「現在」「未来」です。詳しく解説します。
過去について記録しておきたいこと
過去について書くのは、終活のイメージと少し違うかもしれません。しかし、エンディングノートに自分のことを書き留めていくと、過去を確認できます。
- 仕事の経歴や趣味の履歴
- 自分史、家系図、お世話になった人
- 病歴
現在について記録しておきたいこと
あなたの現在を記録します。既製のエンディングノートを使う場合も、自分にとって必要な項目があるか確認しながら書き込みましょう。
- 現在の趣味や好きな物、所属しているところを含めたプロフィール
- 資産や借り入れ、年金、保険などお金に関すること
- 支えてくれている人
- もしものときに連絡してほしい人の連絡先
- 医療、介護関係のこと
- 現在の健康状態やかかりつけ病院
未来について記録しておきたいこと
未来については多岐にわたります。書くとやるべきことが見えてきます。少しずつ完成に向かっていくイメージで取り組みましょう。
<楽しく生きるために>
- これからやりたいこと、行きたい場所
- お金の使い方
<体調が悪くなったときのために>
- 入院の事態に陥ったとき、手続きに必要な保証人などの手配状況
- 入院等で自宅を留守にする場合の管理やペットの世話などについて
- 介護や告知、延命治療についての意思
- 認知症になってしまった場合の財産管理や日常生活の進め方の方針
<亡くなったときのために>
- 亡くなったことを伝える相手と連絡先は
- 役所への届け出などの事務手続きや財産や不動産、遺品についての意思
- 利用していたガス、電気、インターネット等の解約手続きなど事務処理の方針
- 葬儀やお墓について
遺言について
エンディングノートは、あなた自身の頭の中や心の整理にとても役立つものです。その意味で終活の第1歩としておすすめです。ただし、あなたの「お願い」としては受け止めてもらえますが、法的な力はありません。確実に伝えて実行してもらいたいことは遺言書を作成する必要があります。特にお金に関することはトラブルの原因となるので遺言書で考えを示しておくことをおすすめします。
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」と3種類があります。
一番多く利用されているのが「自筆証書遺言」です。紙、ペン、封筒があれば誰でも簡単に作成でき、2019年からは財産については代筆やパソコンでの作成もみとめられるようになりました。
遺書が発見されなかったり発見者に改ざんされたりする恐れや、家庭裁判所の検認を受けなくてはならないなどの煩雑さをなくすために2020年から「自筆証書遺言保管制度」という制度が導入されました。自筆証書遺言を法務局で保管してもらえます。
遺言を作成するときは、本人が法務局に行けば手続きをすることが可能です。
おひとりさまの終活では人間関係を大切にしよう
生活している地域のコミュニティに所属していることは、おひとりさまに限らずとても大切なことです。災害時にも住んでいる地域が助け合い、人間関係が基盤となります。
同じ環境で生活している人と交流を持つように日頃から心がけましょう。人間関係を構築できる場面を具体的に解説します。
地域とつながりをもつ
趣味のサークルなどで、地域のつながりを深めるのがおすすめです。共通の趣味をもつ友人が見つかるでしょう。できるだけ多くの人と日常的につながりましょう。知り合った人同士「最近顔を見ないけれども元気かしら?」とお互い気にかけているだけでも大切なつながりになります。
自治体によって違いはありますが、見守りサービスや自分ではできない力仕事などを手伝ってくれる制度があります。一人暮らしであることを自治体に知らせれば、役に立つこともあるはずです。
訪問してくれるサービス利用の準備をする
訪問サービスというと、訪問介護や訪問看護を思い浮かべる方が多いでしょう。それらも大切な候補ですが、定期的に食材を配達してくれる宅配サービスなどもあなたを気遣ってくれる訪問サービスになります。意識的に訪問してくれるサービスを利用しましょう。
また、セコムやクロネコヤマトなどの見守りサービスもあります。本人以外の連絡先が必要ですが、場合によっては介護サービス先も連絡先として認めてもらえます。終活を機に利用を考えてください。
まとめ
おひとりさま終活について、全体像が見えてきましたね。
終活は1日2日で行うものではありません。身体が健康で判断力も気力もあるときにはじめましょう。必要があれば修正を加えればよいのです。
終活を進めながら見えてきたあなたの生きがいややりたいことを存分に楽しんでください。より充実した毎日が待っています。