葬儀の祭壇とは?種類や費用相場・選び方のポイントを徹底解説!
「葬儀の祭壇にはどういう意味がある?」
「葬儀の祭壇の種類が知りたい」
「葬儀の祭壇を選ぶときはどんな点に気をつければいい?」
本記事では上記の疑問や要望などにお応えします。
急な葬儀を迎えた方の中には、祭壇の選び方や費用の目安などがわからず困っている方もいるでしょう。葬儀の祭壇の種類や選び方などを理解すれば、故人への思いやりで溢れた葬儀会場を作りやすくなります。
そこで今回は、葬儀の祭壇の特徴や種類、選び方などを解説。最後まで読めば、葬儀の祭壇選びで迷うことはなくなります。
目次
葬儀の祭壇とは?
葬儀の祭壇は葬儀にかかせないもので、以下の2点が特徴です。
- 故人を供養するために設ける壇のこと
- 本来は祭礼用品を並べるために利用されていた
ここから具体的に解説します。
故人を供養するために設ける壇のこと
葬儀の祭壇とは、故人を供養するために設置する壇のことで、葬儀壇ともいわれてきました。式場の正面に設置するのが一般的で、遺影やお供え物などを飾るのが特徴。
葬儀場内では最も目立つ位置に設置することから、参列者の印象に残りやすく、見栄えのよいものを選ぶことが望ましいです。
家族葬が主流になりつつある現代では、豪華な印象を与える祭壇よりも、故人らしさを演出する祭壇のほうが好まれます。
本来は棺を祀り祭礼用品を並べるために利用されていた
もともとは、棺を祀り祭礼用品を並べる目的で、葬儀の祭壇が利用されていました。故人を土葬していた時代では、棺が納めてある輿を担ぎ、埋葬先へ向かう「葬列」が行われていたとされています。
現代でも使われる遺影や位牌などの祭礼品は、葬列で使われていました。
時が経ち土葬から火葬に移り変わる中で、机が大きくなったり壇が増えたりなどの変化が見られています。
戦後になると「立派な祭壇を設けることが故人の弔いにつながる」という考えが普及したことから、祭壇の大型化が進みました。
葬儀の祭壇の種類6つ
葬儀の祭壇の種類は以下の6つです。
- 白木祭壇
- 生花祭壇
- 神式祭壇
- 折衷祭壇
- キャンドル祭壇
- オリジナル祭壇
ここから具体的に解説します。
白木祭壇
葬儀の祭壇の種類としてあげられるのは白木祭壇です。白木祭壇とは伝統的な祭壇で、仏式の葬儀では一般的とされています。
白木とは「汚れのない新しさ」を意味しており、新仏に対して利用する点が特徴です。白木を使うことで「急な葬儀で漆を塗る時間がなかった」ことを表すともいわれています。
白木祭壇の特徴は以下の通り。
- 輿:屋根についた神輿のようなもので、土葬時代の慣習の名残となっている
- 六灯竜:魔除けとしての意味合いがある竜のモチーフになっている
袖部分を変更することで、さまざまな宗教の葬儀に対応できます。
葬儀会場の大きさに合わせ、葬儀会社からレンタルするのが一般的です。
生花祭壇
葬儀の祭壇の1つとして、生花祭壇があげられます。生花祭壇とは花で彩られた祭壇のことで、近年多くの人気を集めている祭壇です。
もともと、生花祭壇はライン祭壇といわれており、菊の花を飾るのが主流でした。
現代では、個人の好きなお花や季節の花を飾るようになってきており、故人への思いが込もった祭壇を作りやすい点が人気の理由です。
祭壇に生花を使うことで以下のメリットがあります。
- 花のよい香りで斎場が包まれる
- 故人のイメージに合う祭壇を作りやすい
生花祭壇の他に造花祭壇も選べ、傷みにくいことから扱いやすい点が特徴です。造花の生産技術の進歩により、本物の花のように見えるケースもあります。
神式祭壇
葬儀の祭壇の1つは神式祭壇です。
神式祭壇とは神式の葬儀で利用される祭壇のことで、以下の特徴があります。
- 三種の神器が置かれてある(八咫鏡、八尺瓊勾玉、天叢雲剣)
- 祭壇の中央にお供え物がある
- 焼香台の代わりに玉串案がある
- 最上部には神輿といわれる神社のようなものがある
- 生花を飾るのではなく、榊を利用する
神式の葬儀の場合、白木を利用するのが一般的です。
神式の葬儀の場合、故人は先祖の霊とともに家に留まり、家族を守り続けると考えられています。
折衷祭壇
葬儀の祭壇の1つは折衷祭壇。折衷祭壇とは、白木祭壇と生花祭壇のよいところを組み合わせた祭壇のことで、伝統的な白木祭壇に生花の華やかさを加えている点が特徴です。
折衷祭壇を選ぶメリットは以下の通り。
- 木と花で作られており、環境に優しい
- 見た目が豪華になる
対して、白木祭壇に比べると費用のかかりやすい点がデメリットです。
葬儀会社によっては、供花を用意する代わりに、祭壇の生花を設置してもらえるケースもあります。
キャンドル祭壇
葬儀の祭壇の1つはキャンドル祭壇。キャンドル祭壇とは、キャンドルの灯りと生花が用いられている祭壇のことです。キャンドルの灯りにより幻想的な雰囲気を醸し出せる点が特徴で、無宗教の葬儀で選ばれる傾向に。
キャンドルを水に浮かべるなどの演出も選べることから、オリジナリティを出しやすいといえます。他の祭壇と比べて安い点も特徴で、費用を抑えたい方に向いている祭壇です。
オリジナル祭壇
葬儀の祭壇の1つとしてあげられるオリジナル祭壇。オーダーメイドで作り上げる祭壇のことで、最も思い通りの祭壇を作りやすいといえます。
オリジナル祭壇の活用事例は、下記の通りです。
- バスケットボールが好きだった故人のために、バスケットボールやゴールを再現する
- 画家として活躍した故人のために、祭壇上に作品を配置する
葬儀会社によって要望に応じられる範囲は異なりますが、相談するのも1つの方法。
無宗教のみならず、故人の宗教に合わせた葬儀をできる点も特徴です。
葬儀の祭壇の飾り方4つ【宗教別】
宗教別に葬儀の祭壇の飾り方は異なり、具体的には以下の4点。
- 仏教
- 神式
- キリスト教
- 無宗教
ここから具体的に解説します。
仏教
葬儀の中で最も一般的な仏教の場合、中央に遺影を配置し、周辺に生花を飾るのが特徴。
仏教の葬儀の場合、祭壇に飾るものは以下の通りです。
- 輿:屋根のついている部分
- 遺影台:遺影を置くための台で、近年は設置されないケースもある
- 位牌台:位牌を置くための台
- 供物台:供物を置くための台
- 灯籠:龍の彫刻を施してあるケースが多い
- 儀式用品:僧侶が使用するための香炉など
前述の通り、仏教の葬儀では白木祭壇を選ぶのが一般的になっています。
神式
神式の葬儀の場合は三種の神器や、仏教の葬儀ではNGとされている生ものなどを飾る点が特徴。
中央の祭壇から向かって右側、左側の順番で序列が低くなり、お供え物を供えるときは注意が必要です。
以下の意味を持つ神饌や幣帛といわれるお供え物を、神式の葬儀では祭壇に備えます。
- 神饌:お米・お神酒・餅・魚介類・菓子・水など
- 幣帛:絹・木綿・麻製の赤い織物など
お神酒は瓶子といわれる瓶に入れ、米や塩などは白い小皿に盛るのが一般的です。
キリスト教
キリスト教の場合、祭壇にお供え物をするという風習がなく、祭壇の飾り方はシンプルな点が特徴。
教会にもともと設置してある祭壇を利用し、祭壇の中央に遺影を配置、周囲に生花を飾る傾向にあります。
生花の種類として使えるのは白い花のみで、胡蝶蘭や百合、カーネーションなどが最適。
教会での葬儀が一般的ですが、葬儀会場で葬儀を実施することも可能です。
無宗教
無宗教の場合、祭壇がないケースもあります。
参列する方の人数が少ない傾向にあり、棺の周辺を囲むことにより故人を弔えるためです。
祭壇がない葬儀の場合、棺の周りに遺影やお供え物を置くための台を設置するのが一般的。
僧侶を呼ぶケースでは、ろうそくや香炉などを置くための台を用意する必要があります。
無宗教の場合、各宗教に応じて必要な葬礼品はなく、自由度の高い葬儀を実現しやすい点が特徴です。
葬儀の祭壇を選ぶときのポイント2つ
葬儀の祭壇を選ぶときのポイントは以下の2点。
- 葬儀会場の広さに合わせる
- 個人の意向や宗教に合わせる
ここから具体的に解説します。
葬儀会場の広さに合わせる
葬儀の祭壇を選ぶときは、葬儀会場の広さに合わせるのがポイント。会場の大きさに対して祭壇の大きさが大きすぎたり小さすぎたりする場合、参列者に違和感を覚えさせる原因になるためです。
葬儀の祭壇の大きさを選ぶときは、参列者の人数や会場の大きさなどに合わせることが望ましいです。参列者の人数を大まかに把握しておき、適切な大きさの葬儀会場を選ぶのがポイントになります。
故人の意向や宗教に合わせる
葬儀の祭壇を選ぶときのポイントは、故人の想いや宗教に合わせること。遺族側が盛大に見送りたいと考えている場合でも、故人にとっては望ましい形ではない可能性もあったり、宗教上の理由から制限されたりするケースもあるためです。
特に神式の場合は装飾品が決められており、オリジナル性の高い葬儀を実現しにくいといえます。
仏教やキリスト教の場合は比較的自由度が高いものの、派手な葬儀をする場合は菩提寺や教会の意見を聞くことが望ましいです。
葬儀の祭壇を作るときの注意点2つ
葬儀の祭壇を作るときは、以下の点に注意が必要。
- 最近撮影された写真を遺影にする
- 後祭り祭壇を置く方角や期間に注意する
ここから具体的に解説します。
最近撮影された写真を遺影にする
葬儀で祭壇を作るときの注意点としては、なるべく最近撮影した写真を遺影にすること。数十年前の写真などを利用する場合、故人の面影を感じにくくなるためです。
故人の意向により、若いときの写真を遺影にするケースもありますが、基本的には避けるほうが無難になります。
写真選びのポイントは以下の点。
- 元気な様子が伝わるか
- 人柄を感じられるか
後世まで残ることから、遺影の写真選びは慎重に行いましょう。
後祭り祭壇を置く方角や期間に注意する
葬儀で祭壇を作るときは、後祭り祭壇を置く方角や期間に注意が必要になります。後祭り祭壇とは、火葬後に遺骨の安置を目的とする祭壇のことで、自宅に設ける点が特徴です。
後祭り祭壇を配置するとき、北か西に向かい手を合わせる位置にするのがポイント。
宗教によっても後祭り祭壇を設置する期間は異なり、具体的には下記の通りです。
- 仏教:四十九日法要が終わるまで
- 神式:五十日祭が終わるまで
- キリスト教:明確に決まっていないものの、カトリックの場合は追悼ミサまで、プロテスタントの場合は昇天記念日までが目安
期間や方角に注意し、後祭り祭壇は正しく設置しましょう。
葬儀の祭壇の費用相場
大きさや種類などにより、葬儀の祭壇の費用は変わる点が特徴。
葬儀の祭壇の費用相場は以下の表の通りです。
祭壇の種類 | 費用相場 | 特徴 |
---|---|---|
白木祭壇 | 約10万円から | 生花を加えると10万円以上高くなるケースもある |
生花祭壇 | 約30万円から | 生花を使うことで、費用が高くなりやすい |
オリジナル祭壇 | 約30万円から | デザイン料が発生し、割高になりやすい |
祭壇の種類にもよりますが、一般的な葬儀の場合、人件費や生花料金などを含めると30万円から80万円が目安。
大きい会場で参列者が300人を超える場合、祭壇費用で100万円を超えるケースもあります。
参列者が10人から50人程度の家族葬の場合、費用を20万円から50万円程度に抑えることも可能に。
費用を掛けると立派な祭壇にできますが、葬儀の規模や故人の意向などに応じたものにすることが望ましいです。
まとめ
ここまで、葬儀の祭壇の特徴や種類、選び方のポイントなどを解説してきました。
葬儀の祭壇とは、故人への感謝の思いを表す場所として重要な役割を果たします。値段も重要ですが、どのようにすれば故人への思いを伝えやすくなるのかを考えることが重要です。
故人への愛や感謝などに溢れた祭壇を作ることで、遺族にとっても参列者にとっても忘れられない葬儀になります。
葬儀の祭壇を選ぶポイントや注意点などを理解すれば、納得できる祭壇を作ることが可能です。
故人を深く偲ぶ葬儀にできるでしょう。