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10代の若者の終活を考える!デジタル世代がやるべきことを徹底解説

2012年の新語・流行語大賞に選出されて、はや10年。「終活」という言葉は、すでに社会に浸透し市民権を得ています。人生の最期について考えるのは、10代の若者にとってはまだまだ遠い未来に感じるかもしれません。

とはいえ年齢に関わらず、終活を進めることに損はありません。むしろ10代の若者だからこそ、やっておいた方がいいこともあります。

この記事では、10代で終活を始めるメリットや始め方について解説します。最後まで読めば、若いうちから終活を始める重要性を理解できるでしょう。

目次

終活とは?

終活とは?(辞書をめくる人)

一般的に、終活とは「人生の終わりを迎えるにあたってお葬式や相続の事を準備すること」です。しかし、終活という言葉が生まれてから10年以上が経過し、その認識は変わりつつあります。高齢者だけではなく若いうちから終活を考える方も増加してきました。

  • 10代に終活は早すぎる?
  • 終活は自分の死を考えることだけではない

以下で順番に説明します。

10代に終活は早すぎる?

もともと、終活は、遺品の整理や遺産相続、お墓・葬儀のことを生前に準備することを指していましたが、徐々に「人生の後半をよりよく生きるための活動」に変化してきました。

「残りの人生をよりよく生きる」ことは年齢に関わらず重要な課題です。

文部科学省が下記の定義に基づいて高校生を指導するほど、人生全体を考えることは重要視されています。

男女が共に仕事と家庭、コミュニティ活動に参画し、活躍できるような社会の実現を目指し、生涯を見通して、主体的に生涯の生活を設計したり、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現できる」よう高校生のキャリア形成を支援する

終活を「残りの人生をどう生きるかを考えること」と捉えれば10代であっても重要な問題でしょう。

終活は自分の死を考えることだけではない

亡くなるまでの残りの人生を考えることに加えて、家族の人生を考えることも重要です。

自分の終活を進めると、人生の後半を迎えている両親や祖父母の終活も一緒に考えるきっかけになります。終活をネガティブに捉えるのではなく、前向きに考えて家族と話し合うきっかけにしましょう

10代から終活をはじめるメリット3つ

10代から終活をはじめるメリット3つ(ノートパソコンを前にディスカッションする3人)

終活を10代ではじめるメリットは3つあります。

  1. 将来を考えるきっかけになる
  2. 身のまわりを整理できる
  3. 親や祖父母の終活を考えるきっかけになる

順番に説明します。

①将来を考えるきっかけになる

終活は人生の最終地点を考える活動ですが、それだけにはとどまりません。今までの人生を振り返り、今後どのような人生を歩んでいきたいのかを描くことが重要です

この考えは、10代がライフプランニングを構築するのと何ら変わりません。最終ゴールを思い描くことによって、スムーズに将来設計を考えられるでしょう。

②身のまわりを整理できる

身のまわりの不要な物を処分するだけでなく、モノへの執着を捨てて生活することも断捨離と呼ばれます。断行・捨行・離行の3つのヨガの考え方が名前の由来です。

終活では、遺族が最も苦労する遺品整理のたいへんさが叫ばれるため、若いうちから所有物を増やさないライフスタイルを続けると人生を通して快適な生活を送れます

③親や祖父母の終活を考えるきっかけになる

10代であれば、親は40~50代、祖父母の世代は60代後半から70代。親や祖父母が今後やりたいこと、葬儀やお墓に関する意向などを話し合うきっかけにもなります

親世代は、自分の死後の不安感を子供に与えないために、終活の話題を避けているかもしれません。子供や孫の方から、積極的に自分の終活について話すことによって、両親や祖父母の思いや考えがわかるでしょう。

10代の終活でやること7つ

10代の終活でやること7つ(ブランコを漕ぐ若者)

同じ終活でも、60代・70代で行う終活と10代や20代で行う終活では内容は違います。10代の終活でやるべきことは主に以下の7つです。

  1. 将来の目標を立てる
  2. 目標を実現するための具体的な計画を立てる
  3. 不要なものを断捨離する
  4. デジタルデータを整理する
  5. エンディングノートを作成する
  6. ライフログをつける
  7. もしものときに備える

人生の終わりを意識せずに、将来の生活やいざという時にどうするかの視点で解説します。

①将来の目標を考える

最も重要なことは「将来の目標を考える」ことです。すでになりたい職業や将来の夢があるかもしれません。もし、まだはっきりとしたイメージがないのであれば、今まで歩んできた人生を振り返ってこの先の未来を想像してみましょう。

「バケットリスト」という考え方があります。「死ぬまでにやりたいこと」を書くノートです。実現可能かどうかや、お金がいくらかかるのかなどは考えずに、まず自分の本当にやりたい夢や希望を紙に書いてみましょう

「バケットリスト」については、下記の20代の終活の記事でも詳しく説明しています。

②目標を実現するための具体的な計画を立てる

次に、その目標を実現するには具体的にどのようにすればいいかを考えます。

現在、文部科学省が高校生に対して、就職だけではなく結婚・出産・育児などのライフイベントを総合的に考えられるようなライフデザイン構築の学び(「ライフプランニング」)を推進しています

文部科学省では、キャリア形成を支援するための教材「高校生のライフプランニング」を作成しているため、ぜひダウンロードしてみてください。

③不要なものを断捨離する

終活と言えばまず断捨離のイメージがあります。楽天インサイトの「終活に関する調査」では、「終活」でやってみたいことは「家の中の荷物整理(断捨離)」が約6割でトップでした。

しかし、10代では、それほど大掛かりな断捨離は必要ありません。もう着られない衣類や子供のころ使っていた不用品を処分してください。

「モノを捨てる」ことよりも、「モノを増やさない」ように日頃から心がけて行動しましょう

④デジタルデータを整理する

株式会社パズルリンクの「人生のラスト(終活)に関する意識調査」では、各種パスワードの管理方法で「記憶している」と答えた割合は、10代が最も高く38.5%でした。「特に管理していない」と合わせると10代のうち6割以上が、本人にもしものことがあった時のデジタル情報の管理に不安を抱えていることになります。

若い世代は、TwitterやFacebookなどのSNSをはじめ、スマートフォンの各種アプリやサブスクリプションサービスなどたくさんのアカウントを所有しています。

さまざまなリスクを考慮して、すべてのアカウントとパスワードを管理しておかなければなりません。終活の面からだけでなく、セキュリティの面からも常日頃からデジタルデータをきちんと整理し、いざというときに備えておきましょう

Facebookでは、本人が亡くなったあとにそのアカウントの管理を委任する「追悼アカウント管理人」を指名するサービスが追加されました。

Facebookの「追悼アカウント管理人」設定画面
Facebookの「追悼アカウント管理人」設定画面

エンディングノートに指名した人の名前やアカウント情報を記録しておけば、追悼アカウント管理人が追悼メッセージを故人のプロフィールに掲載したり、他の人からの故人を偲ぶメッセージを受けたりできます。

⑤エンディングノートを作成する

エンディングノートとは、自分の終末期に備えて考え方や家族に対する思いを書き記しておくノートです。お墓や葬儀に関する希望、終末期の医療方針や遺品の処分の仕方なども項目に含まれます。

ただし、遺言書と違い法的効力はありません。

国境なき医師団が実施した「終活と遺贈に関する意識調査2017」では、「遺贈に前向き」の割合がもっとも高かったのは全世代の中で10代男性でした。

10代男性の82%が「大きな資産を保有していたら、社会の役に立てるために、将来、遺贈をしたいと思うか」との質問に「遺贈したい」あるいは「遺贈してもよい」と回答。若い世代の社会貢献に対する意識の高さがうかがえます。

たとえ今資産がなくとも、将来資産ができたときを想定して遺贈先をエンディングノートに書き留めておくとよいでしょう。

⑥ライフログをつける

「ライフログ」とは生活の記録をデジタルデータとして残すこと。いわば日記のデジタル版です。もともとは紙のノートに記録する形態でしたが、現在ではTwitterやFacbookもライフログのツールとして捉えられています。

エンディングノートには、たいてい過去の自分史のような項目がありますが、ライフログはその役割を担っているといえるでしょう。

自動で生活のさまざまなデータを記録できるライフログアプリもあるので、手軽にライフログが導入可能です。終活アプリにも「ライフログ機能」を備えているものがあります。なるべく手間をかけずに継続するためにも有効なツールですので、利用を検討してください

⑦もしものときに備える

若いといえども、大きな病気にかかったり、交通事故や災害に遭遇する可能性は十分あり得ます。

例えば、脳死状態になったときにどうしてほしいのか?15歳になると臓器を提供できるようになります。

臓器移植の意思表示については、意思表示カードや運転免許証がよく知られていますが、インターネットでも登録可能です。インターネットで意思を表示していた場合、そのことをエンディングノートに記録しておけば家族がきっとあなたの希望を叶えてくれるでしょう

10代からの終活は家族と一緒に進めよう

10代からの終活は家族と一緒に進めよう(海と山と夕焼け)

終活はそもそも「自分の死後のことで家族に迷惑をかけたくない」との思いから、多くの方が取り組みはじめています。しかし、本人が亡くなった後、子や孫がエンディングノートを見てはじめて故人の葬儀やお墓の希望を知るよりも、元気なうちに家族で相談しながら終活を進めるのが理想です

もし、あなたのご両親やおじいさん・おばあさんが終活にあまり関心がないようであれば、ぜひ今すぐ一緒に終活をはじめましょう。

まとめ

まとめ(バイクでジャンプ)

終活は高齢になってからはじめるイメージがありますが、何歳からはじめてもかまいません。若いうちからはじめたほうが、スムーズに進められます。

10代の終活では、あまり人生の終末期のことは意識せずに今後の明るい人生をどうやって実現していくかを想像しながら取り組みましょう

この記事を参考に、ぜひ10代からの終活を考えてみてください。