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【完全版】終活とは?メリットや終活準備でやるべきこと10選!

少子高齢化や社会生活の多様化を背景に「終活」という活動が、最近注目を集めています。なかには、家族に迷惑をかけないために、始めてみる方も多いようです。

「最近よく耳にするけど、そもそも終活って何?」

「具体的にどんなことをするの?」

上記のような疑問から、なかなか挑戦できていない方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、終活とは何かについて紹介します。この記事を読めば、終活のメリットや具体的にやるべきことが明確にわかるでしょう。

目次

「終活」とは?

ベンチに座る 老夫婦

「終活」とは「人生の終わりのための活動」の略で、人生の最期を迎えるにあたっての準備や、総括を行う意味の言葉です。自分の老後や死後を想定して、身の回りの整理や財産の相続準備などを計画的に行います。

この終活という言葉は、2010年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートをきっかけに広く知れ渡り、人々の関心を高めました。

最近では、少子高齢化による単身世帯の増加や、看護、看取りを担う人材が不足しています。そうした状況を背景に、高齢者自らが自分の老後や死後に備える活動として、終活に関心が集まりました。

終活が必要な理由

仲良く歩く 老夫婦

ほとんどの方が家族に迷惑をかけないために終活をしています。身の回りの整理や相続準備、葬儀関係を自身が亡くなる前に行うことで、家族の心身の負担を減らすことが可能です。

しかし、終活の目的はそれだけではありません。自分の人生を振り返り、これからの余生を前向きに生きるために行動することが真の目的です。

「死」という言葉は、古くから縁起が悪いとされており、死に向き合うことはマイナスイメージがあります。しかし、終活をすることで死に対する不安を払拭し、残りの人生を前向きに生きる活力になるでしょう。

これまでの人生を総括し、これからの余生を謳歌するために終活は必要な活動です。

終活を始めるタイミング

手を繋ぐ 老人

終活は65歳から始める方が多いですが、具体的になタイミングは決まっていません。

  • 結婚して子供が生まれた
  • 定年退職した
  • 家族が亡くなった
  • 家族や自分の健康が心配になってきた

上記のようなきっかけがあって、始める方もいます。特に早すぎると考える必要はなく「思い立った時」が、終活を始めるベストタイミング。むしろ体力があるうちに、早めに始めておくのがおすすめです。

人生の総括は時間がかかるため、思い立った時に余裕を持って始めましょう。

終活をするメリット5つ

笑い合う 老夫婦

次に、終活をするメリットを5つ紹介します。

終活に不安を抱えている方が多いかもしれませんが、メリットがわかれば前向きに進められるでしょう。

  1. 死に対する不安の解消につながる
  2. これまでの人生を振り返られる
  3. 家族への負担を軽減できる
  4. 遺産相続などのトラブルを防げる
  5. 残りの人生を前向きに生きられる

ぜひ、参考にしてください。

①死に対する不安の解消につながる

終活は、死に対する不安の解消につながります。

死に関する話題は、古くから縁起が悪いとされるため、不安が増すだけではないかと疑問に思う方もいるでしょう。しかし、終活に取り組むことで「自分自身の気持ちの整理ができた」「先の不安が解消できた」という意見が多く聞かれます。

終活は、身の回りを整理しながら、今後の自分や家族に必要なものを選別する作業です。その中で不安な気持ちを解決できる点が、終活のメリットと言えます。

また終活を通して抱えている不安を解消できれば、余生をよりよく生きるきっかけにもなるでしょう。自分の最期や家族のこれからを考えながら終活準備を進めることで、死に対する不安を解消できます。

②これまでの人生を振り返られる

終活をすることで、これまでの人生を振り返れます。

終活は物品や資産の整理だけではなく、生い立ちや交友関係、思い出などこれまでの人生を振り返る貴重な機会です。実際に終活をした方からは「今までの人生を思い出すいい機会になった」という声もありました。

またこれまでの人生を振り返ると、自分がまだやり残したこと、これからやるべきことが明確になります。思い出の整理と同時に、まだやり残していたことが見つかれば、それがこれからの人生の生きがいになるでしょう。

終活をすることで、これまでの人生を振り返られるのと同時に、余生の過ごし方も見えてきます。

③家族への負担を軽減できる

終活をすることで、家族の負担を軽減できます。

ご自身が亡くなった、あるいは病気などで動けなくなったときに、残された家族は以下のような場面で精神的・肉体的負担が大きいです。

  • 荷物の整理
  • 医療・介護
  • お墓・葬儀の準備
  • 保険などの手続き関係

終活をしていないと、いざという時に手付かずの状態になったままなので、家族の負担はより大きくなるでしょう。

また終活準備を進めるときは、以降で紹介する「エンディングノート」に希望を書いておけば、それに従って葬儀などの段取りを進めることが可能です。実際に、エンディングノートがあって助かったという声もありました。

あらかじめ終活準備を進めて、自分の思いを形にすることで家族の負担は十分に減らせるでしょう。

④遺産相続などのトラブルを防げる

終活をすると、遺産相続などのトラブルを防げます。

死後は遺産相続などのトラブルが起きやすく、これまでの家族仲が拗れてしまうケースも少なくありません。自分の死後に、これまで仲が良かった家族関係が崩れてしまっては悲しいですよね。

終活では、遺産の相続も具体的に検討できます。あらかじめ遺言書を作成しておけば、家族間のトラブルも防げるでしょう。

⑤残りの人生を前向きに生きられる

終活をすることで、残りの人生を前向きに生きられます。先ほども紹介した死に対する不安や、心配事などが解消できるからです。

また自身のこれまでを振り返り、最期に向けて終活準備をする過程で、やり残していることやしたいことが明確になります。それらがこれからの余生をどう過ごすかの指針になるのです

残りの人生を前向きに生きられるように自分の道を明確に示すことも、終活の重要な目的と言えます。

終活をするデメリット4つ

悩む 人形

次に、終活をするデメリットについて紹介します。

  1. 気持ちが暗くなる
  2. 詐欺にあう可能性
  3. 家族との気持ちのすれ違い
  4. 遺言書や相続などの法律問題

順番に解説していきます。

①気持ちが暗くなる

終活をすると、気持ちが暗くなってしまうことがあります。

「気持ちが整理できて不安が解消できた」という意見があった一方で「自分の死について考えたら気持ちが暗くなった」という声もありました。

自分の死について考えると、不安や恐怖心を招いてしまうのは当然のことです。そのため、終活準備をしている最中に心身の不調を起こしてしまう方も少なくありません。

終活を進めるうえで大切なのは、1人で抱え込まないこと。不安な気持ちは抱え込まずに、家族や専門家に相談しましょう。

悩みや不安はしっかり解消して、前向きな未来に向けて準備を進めてください。

②詐欺にあう可能性

終活をしていると、詐欺に遭う可能性があります。近年は、終活を考えている高齢者をターゲットにした「終活詐欺」が増えているようです。

  • お葬式の内容が本来のものと違う
  • 後から高額な請求を受けた
  • 保有資産を不当な金額で買い取られた

上記のような悪徳業者や詐欺行為が増えているため、被害に合わないように注意しましょう。

このような悪徳業者や詐欺に遭わないためには、1人で判断しないことが大切です。1人で決めてしまうと、自身の死後に「本人の意向です」と悪徳な行為を押し切られてしまう可能性があります。

終活を進める際は、家族や専門家と話し合って検討を重ねましょう。

③家族との気持ちのすれ違い

終活を進めるなかで、家族との気持ちのすれ違いが起きる可能性もあります。

例えば、骨は埋葬しない自然葬を自身は希望していても、家族は先祖代々のお墓に入る納骨を希望している場合など。

葬儀の方法やお墓の決定は、世代によって希望が異なることが少なくありません。また家族の意見を聞かずに自分の希望だけを残してしまうと、かえって残された家族の負担になる場合もあります。

終活を進めるうえで大切なのは、自分1人だけではなく家族の希望も聞くこと。お互いの意見を擦り合わせて、双方に負担がかからない道を模索しましょう。

④遺言書や相続などの法律問題

本人の死後は、遺言書や相続などの法律問題が発生しやすいです。「遺言書の作成が面倒」「自分の死を考えたくない」と終活を先延ばしにすると、後になって家族間のトラブルに発展してしまいます。

特に相続などの金銭トラブルは、家族仲を引き裂いてしまう原因になる可能性が高いです。そのため元気なうちに、金銭関係はしっかりと決めておく必要があります。

また、法律問題で注意したいのが「エンディングノート」と「遺言書」の違いです。エンディングノートは、あくまでこれまでの人生の振り返りや本人の希望を綴るものなので、法的な効力がありません。

そのため、相続などの法律が関係するものは「遺言書」に残す必要があります。ただ遺言書を作成しても、書類の不備によって無効になる場合もあるので、専門家に相談しながら作成しましょう。

終活準備でやるべきこと10選

ノートを持つ 老人の手

終活準備を進めるにしても、具体的に何をすればいいかわからないという方もいるのではないでしょうか。

そこで最後に、終活準備でやるべきことを10個紹介します。

  1. エンディングノートを書く
  2. 身の回りの整理を行う(生前整理)
  3. 医療・介護の意思表示
  4. 交友関係の整理
  5. 財産整理
  6. 相続の準備
  7. 葬儀の予約
  8. お墓の準備
  9. 遺言書を作成する
  10. 余生の過ごし方について考える

順番に見ていきましょう。

①エンディングノートを書く

終活準備を進める際は、エンディングノートを書きましょう。エンディングノートとは、自身の希望や家族に伝えておきたいことを書き残せるノートです。

  • 自分の個人情報
  • 交友関係
  • 医療や介護に関すること
  • 資産に関すること
  • 葬儀やお墓に関すること

など、自分の希望を記しておけます。

エンディングノートの書き方に特に決まりはなく、自由に書きたいことを残せる万能なノートです。自分が死去したとしてもエンディングノートがあれば、その内容に従って葬儀やお墓の準備などを進められるので、家族の負担が軽減できます。

またエンディングノートを書き進めるうちに、自分の考えや思いを整理することも可能。今後の人生を考え直すきっかけにもなるのでおすすめです。

ただし、エンディングノートはあくまで自身の希望を書くノートで、法的な効力はありません。相続に関する項目については、法的効力がある「遺言書」を忘れずに作成しましょう。

②身の回りの整理を行う(生前整理)

終活準備の際は、身の回りの整理「生前整理」を行うことも必要です。

身内の死後に行う「遺品整理」は、遺族が苦労する作業の1つ。家族の負担を軽減するためにも、元気なうちに身の回りの物品整理や処分しましょう。

身の回りの整理は、家族の負担を減らすだけでなく、心がスッキリして快適な余生を過ごすことにもつながります。

また身の回りの整理をする際は、毎日少しずつ進めることがポイントです。自身の負担やストレスにならないように、無理のない範囲で着実に進めましょう。

③医療・介護の意思表示

終活準備の際は、医療や介護に関する意思表示もしましょう。自身が動けなくなった場合は、家族に医療方法や介護に関する選択が迫られます。

  • 余命がわずかになった時に、本人に伝えてほしいか
  • 延命治療を希望するか
  • 介護が必要になった時に、どのようなサービスを利用したいか

など、あらゆる場面で選択を迫られるので、家族の精神的な負担は非常に大きいです。

あらかじめ自分の希望を伝えたりエンディングノートに記載したりすれば、家族の精神的な負担が軽くなります。医療や介護に関する希望は、なんらかの方法で家族に伝えましょう。

④交友関係の整理

交友関係の整理も、終活準備に必要な作業です。

主に自分が最期を迎えるときに、誰に連絡してほしいかを明確にします。誰に連絡を取ればいいかわからないと、必要な人に連絡が行き届かず、葬儀の参列などが叶わないという事態を招いてしまうからです。

そのような事態にならないためにも、あらかじめ交友関係を整理しておく必要があります。

交友関係を整理する際は、

  • 相手の名前
  • 連絡先
  • 自分との関係

などをまとめて、リスト化しましょう。

また交友関係を整理することで、自分に必要な人脈を把握できます。残りの人生を本当に必要な人と過ごすためにも、交友関係の整理は必要です。

⑤財産整理

終活準備を進める際は、財産を整理しましょう。自身の死後は、遺族によってさまざまな手続きを行う場面が発生します。

その際に、遺族間で以下のような困りごとが発生しやすいです。

  • なんの保険に入っているかわからない
  • 通帳や印鑑が見つからない
  • 暗証番号やパスワードがわからない    

そうなると、必要な手続きをスムーズに進められず、家族の負担になってしまいます。そのため、財産整理をしっかりして、あらかじめ必要な情報を書面に残しましょう

⑥相続の準備

終活準備の際は、相続に関する準備も行います。遺族間で起こりやすいトラブルの1つが、相続などの金銭トラブル。財産の整理を行い、誰に相続するかをあらかじめ決めておかなければ、遺族間でトラブルに発展してしまいます。

自身の死後に金銭トラブルで、家族仲がこじれることになっては悲しいですよね。

どのような資産を持っていて、誰に相続するか決めたら忘れずに遺言書に記載しましょう。

その際に注意しておかなければならないのは、エンディングノートと遺言書の使い分けです。エンディングノートはあくまで自身の希望や思いを記載するもので、法的効力はありません。

使い方を間違えると、家族間のトラブルを招いてしまいます。そのため相続に関することは、法的効力がある遺言書に忘れずに記載しましょう。

⑦葬儀の予約

葬儀の予約も、終活準備に必要な作業です。最近は、葬儀の「生前予約」をする方法があります。生前予約とは、自分が生きているうちに葬儀の内容や規模、費用などを葬儀屋に予約できるシステムです。

自分自身の希望を反映できるので「自分らしい最期を迎えたい」「家族の負担を減らしたい」といった方におすすめ。

そして、葬儀の予約をする際は「信頼できる葬儀屋を選ぶ」ことが重要です。最近は、高齢者をターゲットにした「終活詐欺」が増えています。

そういった詐欺に遭わないように、家族や専門家と相談して葬儀の準備を進めましょう。

⑧お墓の準備

終活準備の際は、お墓の準備もしましょう。

最近は核家族化の影響で、お墓の維持が難しくなりました。また先祖代々のお墓だけでなく、共同墓や納骨堂、樹木葬墓地などお墓のあり方も多様化しています。

自分や家族はどうしたいのかを話し合って、家族にあったお墓を準備しましょう。

また、お墓というのは故人を偲ぶ心のよりどころです。自分の意見だけでなく、家族の思いも反映できるようにお墓の準備を進めましょう。

⑨遺言書を作成する

終活準備では、遺言書も作成しましょう。遺言書を作成する目的は、財産の相続を明確にすることです。法的効力がある遺言書を作成しておけば、家族間の金銭トラブルを防ぐことにつながります。

また遺言書は何度も書き直せるので、必要に応じて見直しましょう。

ただ、法的効力のある遺言書は、作成方法や内容、効力まで細かく決まっています。そのため、書き方を間違えてしまうと、作成した遺言書の効力が無効になってしまうので注意しましょう。

正しい書き方を守るためにも、遺言書を作成する際は専門家のアドバイスをもらうことがおすすめです。

⑩余生の過ごし方について考える

余生の過ごし方について考えることも、大切な終活準備です。家族の負担を減らすことを目的に終活を進める方が多いですが、残りの人生をよりよく生きることが終活の最終目的と言えます。

これまでの人生を振り返って、まだやり残していることや、してみたいことを考えましょう。これからの余生を楽しむ生きがいになります。

また終活準備で抱えている不安を解消できると、残りの人生に活力を持って生活できるでしょう。終活を前向きに捉えることが、大きな成果になります。

まとめ:終活とは、残りの人生をよりよく生きるための活動

仲がいい 老夫婦

終活とは、残りの人生をよりよく生きるために必要な活動です。

「死」を連想する言葉は、古くから縁起が悪いとされているため、終活に対してマイナスなイメージを持ってしまう方が多いでしょう。

しかし、終活をすることで抱いていた不安を解決し、これからの人生を考える良い機会になります。家族への負担の軽減にもつながるので、ご自身や家族にとってより良い活動となるでしょう。

また終活を始めるタイミングに決まりはなく、早すぎることもありません。今回紹介した内容を参考に、自身の思い立ったタイミングで、ぜひ終活を始めてみましょう。