終活サービスとは?安心で快適な老後を送れるサービスを徹底解説
近年、終活という言葉も定着してきましたが、「何から始めていいかわからない」「相続の手続きなど難しすぎてわからない」という方も、まだまだ多いようです。
女性誌で部数No.1を誇る「ハルメク」の調査では、「終活は必要だと思う」人の割合は79.0%であるにもかかわらず、実際に「終活を始めている」のは 38.3%と約半数にとどまっています。専門的な知識がないまま、さまざまな事柄を決めるのはとても大変です。
この記事では、そのような方におすすめの「終活サービス」について解説します。最後まで読めば、終活を始めるにあたって最適な終活サービスが見つかるでしょう。
目次
終活サービスとは?
「終活」という言葉は聞いたことがあっても「終活サービス」とは何かよくわからない方もいるのではないでしょうか?
終活サービスとは、終活のさまざまな手続きをサポートしたり、ときには代行してくれるサービスです。多くの企業や団体がサービスを提供しています。
終活サービスは、大きく分けると「生前のサポートするサービス」と「死後の手続きをするサービス」の2つ。
生前の終活サービスには、介護のサポートや、おひとりさまで身近に身元保証人がいない場合に、入院などの身元保証をするサービスなどがあります。死後の終活サービスは、亡くなった後のさまざまな手続きを生前に取り決めていた通りに代行してくれるサービスです。
生前の終活サービス4つ
生前の終活サービスは、主に4つに分類されます。
- 介護をサポートする
- 安否を確認する
- 終の棲家を紹介する
- 財産を管理する
順番に詳しく説明します。
介護をサポートする
入院や介護施設への入所には、通常、身元保証人が必要です。ひとり暮らしで親族もいない高齢者の場合、身元保証をしてくれます。
また、身のまわりのことが自分でできなくなった場合、生活をサポートしたり通院時の付き添いや診察時の説明に同席するサービスもあります。健康に不安のある高齢者の方は、早めにこのようなサービスを検討してください。
安否を確認する
ひとり暮らしの高齢者が増えるにつれて、社会問題化しているのが孤独死です。
安否確認サービス、あるいは見守りサービスと呼ばれるものでは、室内にセンサーを設置して、一定時間動きがないとスタッフが駆けつけます。具合が悪くなった時に、自らボタンを押して体調悪化を知らせるサービスもセットになっているケースが多いようです。
大手の警備会社が、安否確認や緊急時駆けつけサービスを提供しています。たとえ現時点では健康でも、ひとり暮らしの高齢者にとっては介護サポートなどがあったほうが安心でしょう。
終の棲家を紹介する
どこに住むか、どのような住居に住むかは、快適な老後生活を送るうえで誰しも気になるテーマでしょう。
高齢者の住居には、いくつかの選択肢があります。老人ホーム以外に、サービス付高齢者向け住宅やシニア向け分譲マンションなど。
それぞれ、介護の充実度や費用などが異なります。また、同じタイプの住居であっても個々の物件によってサービス内容はさまざまです。終活サービスでは、本人の要望に基づき、適切なアドバイスや住居の紹介をします。
財産を管理する
「体の自由が利かなくなって預金の出し入れが不便」「高齢になって正常な判断ができるか不安」と考えている方に対して、財産を管理してくれるサービスです。
預金通帳やキャッシュカードを預けて、現金の出し入れや各種支払い・契約を代行してもらいます。ただし、財産を預けるので信頼のおける業者を選ばなければなりません。
死後の終活サービス5つ
本人が亡くなった後に実施する終活サービスは、主に以下の5つです。
- 葬儀の希望をかなえる
- お墓の希望を叶える
- 相続手続きをサポートする
- 残った財産・家財を整理する
- 各種手続きを代行する
1つずつ順番に説明します。
葬儀の希望をかなえる
近年、葬儀の形態は多様化する傾向にあります。音楽葬などの無宗教葬も人気です。家族に迷惑をかけないように、事前に自分の葬儀内容を決める方が増えています。
終活全般をあつかう事業者だけではなく、葬儀社に相談すれば、本人の希望を確実に実行できるでしょう。
お墓の希望をかなえる
葬儀と同様に、埋葬方法も多様化しています。海洋散骨や樹木葬などは、従来のお墓とはまったく異なる形態です。終活サービスであれば、確実に希望する埋葬方法を叶えられます。
また、おひとりさまの場合、自分がなくなったあとに、葬儀や埋葬がどうなるかは気になるでしょう。埋葬を頼める人がいなかったり、そもそもお墓がない人にも安心のサービスです。
相続手続きをサポートする
遺言書の作成は難解で、書類に不備があった場合無効になるケースもあります。生前に相続の準備をして遺言書を作成するには専門家のサポートが必要です。
また、相続に関しては税務の知識も必要になってきます。相続手続きや遺言書の作成は、終活の中でも最も専門家に相談するべき分野といえるでしょう。
残った財産・家財を整理する
亡くなった人の財産や家財をどう処理するかは、残された家族にとっても大きな問題でしょう。生前に財産や持ち物の処分の方法をあらかじめ決めておき、不要なものは廃棄してもらうと家族の負担が軽減できます。
ひとり暮らしの場合、死後に残された住まいの清掃や不動産の処分をするサービスもあります。
各種手続きを代行する
死後の役所への各種届出、預金口座やさまざまなサービスの解約手続きを代行するサービスです。年金などの役所の手続きには、届出の期限が決められているものがあります。期限を過ぎると、さらに面倒な手続きをしなければならないので、速やかに処理しましょう。
終活サービスを利用するメリット・デメリット
終活サービスにはメリットとデメリットがあります。
それぞれをよく理解したうえで、終活サービスの利用を検討してください。
終活サービスを利用するメリット
具体的に何をしていいかわからない場合、終活サービスで的確なアドバイスを受けられます。
入院や介護施設の入所には、さまざまな手続きが必要です。死後は、行政の手続きや各種の解約・精算、残された財産や家財の整理などをしなければなりません。終活サービスを利用することで、煩雑で難解な事務作業から解放され、また死後の遺族の負担も軽減できるでしょう。
終活サービスを利用するデメリット
サービスを利用するうえで最も気になるのは料金ではないでしょうか?民間の終活サービス業者を利用する場合、当然ながら料金が発生します。
サービスの内容によって料金はさまざまですが、特に費用がかかるのは身元保証サービスです。通常、一時金だけで少なくとも数十万円かかり、別途入会金や月々の利用料が必要なケースもあります。
さらに、遺言の作成や死後の事務を委任する場合も、かなりの費用が必要となるケースがほとんどです。
また、多額の財産を預ける場合もあるので、業者が信頼できるのか、倒産のリスクはないのかも気になります。死後事務委任契約などを結ぶ場合、実際に依頼内容を実行してくれるのか、死亡した本人には確認できないことも懸念材料です。
終活サービスを選ぶポイント4つ
快適な老後を過ごすために、サポートを依頼する業者は、以下のポイントを参考にして慎重に選びましょう。
- 信頼できる会社か
- 必要なサービスを提供しているか
- 専門知識・専門資格を持つスタッフがそろっているか
- 料金体系は明確か
4つのポイントについて、順番に説明します。
信頼できる会社か
生前に財産管理をゆだねる場合、不正使用や倒産のリスクがないかはとても重要な問題です。
事業者だけではなく、サービス会社の担当者との相性も問題となってきます。場合によっては、個人情報やプライバシー、そしてもちろん大事な財産に深くかかわってきますので担当者と十分にコミュニケーションをとり、信頼関係を築かなければなりません。
事前に、会社の規模や評判などを調べてから問い合わせましょう。
必要なサービスを提供しているか
終活に関わる業務は、生前の身のまわりのサポートや身元保証から、死後の遺産整理、各種手続きなど多岐にわたります。事業主体も、葬儀会社や警備会社、司法書事務所などさまざまです。得意不得意があったり、希望するサービスを提供していないかもしれないので注意してください。
専門知識・専門資格を持つスタッフがそろっているか
遺言書の作成や相続手続きには、税金や法律に関する専門的な知識が必要です。
また、将来認知症による判断力の低下などが予想される場合は、任意後見制度を利用したり死後事務委任契約を結ばなければなりません。
事業者を選ぶ場合、必要とするサービスに精通した司法書士や行政書士、あるいは介護や医療、葬祭に関する専門知識を有するスタッフがそろっているかは重要なポイントです。専門家に相談することによって、終活活動はスムーズに進むでしょう。
料金体系は明確か
終活サービスの内容は多岐にわたります。また、事前に想定していなかった事態も起こるでしょう。
あとになって思わぬ追加費用を請求されないよう、サービスを受ける前に内容と料金をしっかりと確認しなければなりません。
自治体で受けられる終活サービスのサポート4つ
介護難民や孤独死などの危険性が高まっていることを背景に、終活を推奨しサポートする自治体が増えています。自治体が実施するサポートには以下のようなものがあります。
- エンディングノートの無料配布
- 安否確認・見守りサービス
- エンディングサポート
- 終活セミナー・相談窓口の設置
自治体が取り組んでいるサポートを順番に紹介します。
エンディングノートの無料配布
無料のエンディングノートが、たくさんの自治体で配布されています。
自治体が作成するエンディングノートは、市販のものとは違い、困った時の相談窓口など、その地域ならではの情報が記載されていることが特徴です。なかには、HPでデジタル版をダウンロードできるケースもあります。
安否確認・見守りサービス
多くの自治体が、ひとり暮らしの高齢者を対象に、安否確認や見守りサービスをしています。緊急時の通報装置の設置に補助金を出したり、安否確認を兼ねた高齢者宅への食事の配達など。
ほかにも、電話による安否確認や訪問活動など、安否確認は自治体が最も力を入れている分野といえるでしょう。
エンディングサポート
ひとり暮らしの高齢者にの方は、病気になった時、誰に頼ればいいのかが一番の不安材料ではないでしょうか?
身寄りのない住民のもしものときに備えて、生前契約や死後事務委任契約を支援するのがエンディングサポート事業です。
神奈川県横須賀市はいち早くエンディングサポート事業に取り組みました。横須賀市では、他にも「わたしの終活登録」というサービスを提供しています。生前に終活関連情報を登録して、万一の時に、病院・警察などの行政組織や、本人が指定した人に開示して、本人の意思の実現を支援する事業です。
終活セミナー・相談窓口の設置
神奈川県大和市は、専門の職員である「終活コンシェルジュ」が、終活の悩みや不安の相談に乗ってくれます。
そのほかにも、終活セミナーの開催など、各自治体が工夫を凝らして高齢者が安心・快適な生活をおくれるように取り組んでいます。
お住まいの自治体でどのような終活サポートをしているか、いちど調べてみてはいかがでしょうか。
まとめ
終活に興味はあるけれども始め方や進め方がよくわからない人には、終活サービスはおすすめです。ひとり一人の要望や不安に合わせて専門家が的確なアドバイスとサポートを実施します。
終活のサービスは多岐にわたるので、会社ごとに提供できるサービスが異なります。お墓や葬儀についてのサービスに強みを発揮したり、身元保証サービスに特化している会社など、さまざまです。また、利用者の窓口となって、相談をしながら必要なサービスを紹介する事業者もあります。
ご自分に合った終活サービスを選んで、快適な老後生活をおくってください。