夫婦でエンディングノートを1冊にまとめても良い?メリットや作成方法を解説
エンディングノートは個人で書くものと思われがちですが、夫婦で1冊にまとめる選択肢もあります。
しかし、二人で作ると便利なのか、別々のほうがいいのかと迷う方も多いのではないでしょうか。
夫婦で作成することで、お互いの考えを共有できる一方で、デメリットや注意点もあります。
とくに、秘密にしておきたいことがある、離婚したらどうなるのかといった疑問を持つ方もいるでしょう。
本記事では、夫婦でエンディングノートを作成するメリット・デメリット、書き方のポイントを詳しく解説します。
最適な方法を選び、夫婦の未来をより安心できるものにしていきましょう。
目次
夫婦でエンディングノートを1つにまとめても良い?

エンディングノートは、夫婦で1冊にまとめて作成できます。
1冊にまとめることは、夫婦間での想いや考えを共有でき、情報を整理する上で有益です。
ただし、夫婦合作でエンディングノートを作成する際には、メリットとデメリットの両方を考慮しましょう。
たとえば、夫婦間で秘密にしておきたい情報がある場合や、離婚のリスクを考慮する必要があります。
メリットとデメリットを比較した上で、夫婦で1冊のエンディングノートを作成するか、別々に作成するかを検討することが推奨されます。
夫婦でエンディングノートを1つにまとめるメリット

夫婦でエンディングノートを作成することには、いくつかのメリットがあります。
二人で取り組むことで、普段あまり話さない将来のことについて考える機会が増え、より具体的な準備ができるようになります。
また、財産やライフプランについて共有することで、お互いの考えを理解しやすくなるのも利点です。
個別に作成するよりも情報整理の負担が軽減されるため、スムーズに進めやすいでしょう。
さらに、エンディングノートの作成を夫婦で協力しながら進めることで、より意義のあるものにすることができます。
夫婦間での想いや考えを共有できる
夫婦でエンディングノートを共同作成することは、二人の想いや考えを共有する良い機会となります。
共同作成を通じて、普段の生活ではなかなか話し合うことのない将来の希望や不安について、深く語り合うことができるでしょう。
結果として、夫婦間のコミュニケーションが活性化し、相互理解が深まります。
さらに、意見交換をしながらエンディングノートを作成することで、情報の精度が向上します。
お互いの意見や知識を持ち寄ることで、より詳細で正確な内容を記録することができ、将来のトラブルや混乱を防ぐ助けとなるでしょう。
ライフプランの見直しができる
夫婦でエンディングノートを共同作成することは、資産状況を明確に把握し、将来のライフプランを見直す絶好の機会となります。
エンディングノートには、預貯金や不動産などの財産情報を詳細に記載することが推奨されています。
夫婦間で現在の資産状況を共有し、今後の生活設計や資産運用の計画を立てやすくなるでしょう。
また、財産情報を整理することで、将来の相続に関するトラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。
さらに、エンディングノートの作成を通じて、夫婦で将来の目標や希望を再確認し、より現実的なライフプランを策定できます。
別々に作成するより負担が少ない
夫婦でエンディングノートを共同作成することは、重複する情報を一つにまとめることで、作成の手間を軽減する効果があります。
たとえば、緊急連絡先や医療情報など、夫婦で共通する項目を一度に記載できるため、別々に作成するよりも効率的です。
また、保険や金融資産の情報をまとめることで、どちらかに万が一のことがあった際にもスムーズに手続きを進められる利点があります。
さらに、夫婦で協力しながら作成することで、記入漏れを防ぎ、より充実した内容のエンディングノートを完成させられるでしょう。
二人で協力した方が始めやすい
エンディングノートの作成は、一人で取り組むと大変ですが、夫婦で協力して作成することで、お互いにサポートし合いながら進められるため、始めやすくなります。
また、共同作業はモチベーションの維持にもつながり、エンディングノートの完成度を高められるでしょう。
さらに、夫婦で作成することで「どのような情報を残せばいいのか分からない」といった悩みも軽減できます。
意見を交換しながら進めることで、より明確な方向性を持ってエンディングノートを作成できます。
夫婦でエンディングノートを1つにまとめるデメリット

夫婦でエンディングノートを作成することには利点がある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
デメリットを理解した上で、夫婦合作で作成するかどうかを検討することが大切です。
秘密にしておきたい情報は書きにくい
夫婦でエンディングノートを共同作成すると、個別に伝えたいメッセージを残すことが難しくなります。
本来、エンディングノートは残されたパートナーに向けた最後の言葉や感謝を記すことができますが、夫婦で1冊にまとめると、事前に内容を共有することになり、サプライズ的なメッセージが伝えられなくなります。
また、財産や家族関係に関するデリケートな情報も、夫婦合作のエンディングノートでは隠すことができません。
個別の想いを伝えたい場合は、エンディングノートとは別に手紙を用意するか、個々にノートを作成することを検討すると良いでしょう。
熟年離婚のリスクもある
夫婦でエンディングノートを共同作成する際には、将来的な熟年離婚のリスクを考慮する必要があります。
厚生労働省の「離婚に関する統計の概況」によると、同居期間が20年以上の夫婦の離婚件数は2020年では21.5%となっており、熟年離婚が増えていると言えるでしょう。
※引用元:厚生労働省「令和4年度離婚に関する統計の概況」
長期間連れ添った夫婦の離婚が増加している背景には、女性の社会進出や離婚時年金分割制度の導入、高齢化社会の進行などが挙げられます。
そのため、夫婦で1冊のエンディングノートを作成しても、離婚によりその内容が意味を成さないリスクがあります。
エンディングノートは個人の意思や希望を記すものであるため、将来の変化を見据えて、各自が個別に作成することも検討すると良いでしょう。
他の人から見ると夫婦どちらの情報なのか判別しにくい
夫婦でエンディングノートを共同作成する際、第三者が内容を確認したときに、記載された情報が夫婦のどちらに関するものか判断しづらいというデメリットがあります。
たとえば、訃報を連絡するリストを作成する際に、連絡先が夫の関係者なのか妻の関係者なのかが明確でないと、連絡ミスや混乱を招く可能性があります。
そのため、各情報が夫婦のどちらに関連するものかを明確に記載することが重要です。
また、夫婦であっても互いの親戚関係について詳しく分かっているとは限りません。
名前、連絡先、年齢など、自分の死後に残されたパートナーが困らないように、個別の親戚関係の情報を詳細に記載することが推奨されます。
夫婦でエンディングノートを作成する場合の書き方

夫婦でエンディングノートを作成する際は、お互いの意向をすり合わせながら進めることが重要です。
老後の生活や終末期の希望について話し合い、どのような内容を記載するか決めましょう。
正式に記入する前に、試し書きを行い、それぞれの意向を整理すると認識のズレを防ぐことができます。
とくに市販のエンディングノートを使用する場合は、コピーを取って下書きをしておくと安心です。
その後、正式なノートに記入し、内容をお互いに確認しながら仕上げていきます。
作成後は定期的に見直しを行い、最新の情報に更新することが大切です。
変更がある場合は必ず夫婦で確認しながら進めるようにしましょう。
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①夫婦で話し合う
夫婦でエンディングノートを作成する際には、まずお互いの考えや希望を共有するための話し合いが重要です。
財産、医療、葬儀などに関する意向を確認し合い、相互理解を深めることができるでしょう。
話し合いを進める中で、夫婦間での認識の違いや新たな発見が生まれることもあり、今後の生活設計や終活の方向性をより明確にできます。
また、エンディングノートの作成は、夫婦間のコミュニケーションを活性化させる効果もあります。
共通のテーマについて話し合うことで、日常生活では触れない深い話題に踏み込むきっかけとなり、絆を深められるでしょう。
②お互いに書きたい内容をメモに洗い出す
夫婦でエンディングノートを作成する際は、事前にそれぞれが書きたい内容を整理し、情報の抜けや漏れがないようにすることが大切です。
ノートやパソコン、スマートフォンのメモ機能などを活用し、記載すべき情報を洗い出しておくと、スムーズに進められます。
とくに、財産や医療・介護の希望、葬儀の方針など、重要な項目についてはお互いにしっかり確認しながら進めることが必要です。
事前に話し合い、必要な情報を整理した上で正式なノートに記入することで、より実用的なエンディングノートを作成することができます。
③正式なエンディングノートに記載する
正式なエンディングノートに記載する際には、事前に話し合いと情報整理をしっかり行うことが重要です。
まずは試し書きを行い、記入漏れや認識のズレがないかを確認します。
市販のノートを使用する場合はコピーを取る、パソコンで作成する場合はフォーマットを活用するなどして、記載内容をすり合わせていきましょう。
正式なノートに記入する際は、夫婦それぞれの意向が反映されているかを再確認し、無理にまとめず必要に応じて空白のままにする項目があっても問題ありません。
完成後は見直しを行い、間違いや追加すべき情報がないかをチェックし、必要に応じて更新することが大切です。
完成したノートを見直す
完成したエンディングノートは、一度記入して終わりではなく、見直しを行うことが重要です。
夫婦で確認しながら、記載内容に誤りや抜け漏れがないかをチェックし、お互いの意向が正しく反映されているかを再確認しましょう。
とくに、財産情報や医療・介護に関する希望など、重要な項目については細かく見直すことが推奨されます。
また、エンディングノートは長期間にわたって保管し、状況の変化に応じて更新が必要となるため、夫婦で定期的に見直しの機会を設けると良いでしょう。
修正が必要な場合は、お互いの合意のもとで変更し、最新版をしっかり共有しておくことが大切です。
夫婦合作でエンディングノートを作成する場合の注意点

夫婦でエンディングノートを作成する際は、情報の共有がしやすい一方で、管理や更新方法に注意が必要です。
とくに、一方が勝手に修正すると、もう一方が内容を把握できなくなる可能性があります。
また、個別に残したい情報がある場合や、法的な効力を持つ遺言書とは異なる点を理解しておくことも大切です。
夫婦それぞれが別のノートを持つ方が適しているケースもあるため、どのような形で作成するか慎重に検討しましょう。
遺言書は夫婦連名で作成できない
夫婦であっても、連名で遺言書を作成することは法律で禁止されています。
民法第975条では、「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない」と定められており、これに違反した遺言書は無効となります。
また、エンディングノートには法的効力がありません。
そのため、財産の分配方法などを記載しても、法的拘束力は持たず、遺族への希望やお願いにとどまります。
確実に自身の意思を反映させたい場合は、法的効力を持つ遺言書を個別に作成することが必要です。
定期的に更新が必要
エンディングノートは、定期的な更新が重要です。
情報の追加や修正が容易な形式で作成することで、最新の状況を反映しやすくなるでしょう。
たとえば、Excel形式のテンプレートを利用すると、デジタル上で管理でき、内容の編集や更新が簡単に行えます。
また、スマートフォン向けのエンディングノートアプリでは、項目ごとに入力するだけでノートが完成し、思い立ったときに手軽に更新できます。
デジタルツールを活用することで、手書きよりも効率的にエンディングノートを管理し、常に最新の情報を保つことが可能です。
夫婦でエンディングノートを作成する場合は「遺言ネット」がおすすめ

「遺言ネット」は、オンラインでエンディングノートを作成・管理できる無料の終活支援サービスです。
パソコンやスマートフォンから簡単にアクセスでき、預貯金の情報や医療・介護の希望、葬儀のプラン、大切な人へのメッセージなどを記録できます。
記載内容はいつでも更新できるため、状況に応じて柔軟に修正が可能です。
また、司法書士監修の遺言書作成ツールでは、遺言書の下書きをテンプレートに沿って入力して簡単に作成できます。
さらに、家族や友人へのメッセージを、指定したタイミングで開示できる機能もあり、万が一の際に大切な情報を適切な相手に伝えられます。
夫婦でのエンディングノート作成に関するよくある質問

夫婦でエンディングノートを作成する際、多くの方が「どのような形で作るべきか」や「パートナーとの関係性に応じて適した方法があるのか」といった疑問を持つことがあります。
とくに、事実婚や同性婚のカップルの場合、法的な手続きと絡めてどのように記録を残せば良いのか悩むこともあるでしょう。
また、夫婦で1冊にまとめて作成するべきか、それとも別々に作成するほうが良いのかは、各家庭の状況によって異なります。
ここでは、夫婦でのエンディングノート作成に関するよくある質問について解説していきます。
事実婚や同性婚でも作成できる?
エンディングノートは法的効力を持たないため、法律上の夫婦だけでなく、事実婚や同性婚のパートナー同士でも自由に作成できます。
エンディングノートは個人の意思や希望を記録するものであり、形式や内容に法的な制約がないためです。
ただし、エンディングノートには法的効力がないため、財産の相続など法的な手続きを確実に行いたい場合は、遺言書の作成が必要です。
特に、事実婚や同性婚のパートナーは法定相続人と認められないケースが多いため、遺言書を通じて相続の意思を明確にしておくことが重要です。
どのような夫婦はエンディングノートを共同で作成した方が良い?
夫婦でエンディングノートを作成する際、合作が向いているか、それとも別々に作成するほうが良いかは、夫婦の関係性や価値観によって異なります。
共通の希望を持ち、財産や医療に関する情報を共有しながら準備を進めたい場合は、1冊にまとめて作成することで効率的に情報を整理できます。
共同作業を通じて会話が増え、お互いの意思をより深く理解できるでしょう。
一方で、終末期医療や葬儀に関する希望が異なる場合や、個人的なメッセージを残したい場合は、別々に作成する方が適しています。
個人の意向を尊重しながら記録できるため、より自由度の高いエンディングノートになります。
どの方法が適しているかは夫婦ごとに異なるため、お互いの考えを尊重しながら最適な形を選ぶことが大切です。
まとめ
夫婦でエンディングノートを作成することは、将来の備えにつながります。
合作にするか、別々に作成するかは、夫婦の価値観や状況によって異なります。
情報を共有しながら効率的に作成したい場合は合作が適していますが、個別の希望を尊重したい場合は、それぞれ作成する方が良いでしょう。
また、エンディングノート自体には法的効力がないため、必要に応じて遺言書を作成することも検討する必要があります。
エンディングノートは一度作成したら終わりではなく、定期的に見直し、更新することが重要です。
夫婦で話し合いながら、お互いの意向を整理し、適切な形で残しておきましょう。