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【保存版】葬儀とは?葬式との違いやマナー・基本的な流れを詳しく解説

「そもそも葬儀って何?」

「葬儀の予定があるけど、何をするかわからない」

人生でそれほど多く経験する機会のない葬儀について、このような不安はありませんか?

葬儀には、昔からの古いしきたりが依然と存在している一方で、最近になって変化している部分もたくさんあります。

この記事では、葬儀についての基本的な知識やマナー、最近の傾向を解説します。最後まで読めば、安心して葬儀の場に臨めるでしょう。

目次

葬儀とは?

葬儀とは?(墓地での葬式)

葬儀とは、家族をはじめとする故人にゆかりのある人たちが集い、故人の死を悲しみ、見送る一連の儀式のことです。

2つの言葉の略語とされています。

  • 葬送儀礼
    亡くなる人を看取り、通夜・告別式などの行事、さらには四十九日や一周忌などの法要まで。死者を弔う一連の行事すべてを指す。
  • 葬儀式
    家族や近親者のみが集まり、僧侶が読経して故人の冥福を祈る宗教的儀式を指す。

なぜ葬儀をするのか?

なぜ葬儀をするのか?(教会の中の棺のアップ)

葬儀をする理由は、おもに4つに分けられます。

  • 物理的な理由
  • 心理的な理由
  • 社会的な理由
  • 宗教的な理由

順番に説明します。

物理的な理由

遺体をそのまま放置すると腐敗が進行します。

死者を尊び、衛生面も考慮して土葬や火葬という埋葬方法が昔から行われてきました。

心理的な理由

葬儀によって、遺された人々が死を受け入れ、悲しみを緩和させる役割があります。

大切な人を喪ったショックはすぐに癒えるものではありません。しかし、集まった人たちが思いを共有し、徐々に悲しみを和らげていくためには重要なプロセスです。

社会的な理由

死亡届などの行政手続きを行い、社会に故人の死を知らしめなければなりません。ま

た、故人の資産の継承などの面でも、重要な役割を持ちます。

宗教的な理由

古くから、「死」は恐怖の対象でした。

信仰する宗教に基づいた儀式を行うことにより、死者の霊を鎮める役割があります。

葬儀と葬式・告別式・通夜式の違い

葬儀と葬式・告別式・通夜式の違い(花と懐中時計)

葬儀とよく似た用語に葬式、告別式、通夜(式)があります。

  • 葬式とは
  • 告別式とは
  • 通夜式とは

それぞれの違いについて順番に説明します。

葬式とは

一般には葬式という言葉は、葬儀とほとんど同じ意味で使われていますが、厳密には異なります。

先に述べたように、葬儀は、葬儀式の略とされ近親者が集まり、死者を悼む宗教的儀式です。

葬式は、葬儀(式)と後述する告別式を合わせたものを指します。しかし現代では、葬儀と告別式は一体となって執り行われるので、あまり意識する必要はありません。一般的には、葬式と葬儀が同義で用いられることがほとんどです。

この記事では、特に断りがない限り葬儀を葬式と同じ意味で使用しています。

告別式とは

告別式とは、僧侶による読経などの宗教的儀式である葬儀(葬儀式)のあとに、友人・知人などが故人とお別れをする社会的な儀式です。

告別式とは、自由民権運動に影響を与えた明治時代の思想家、中江兆民が提唱した葬儀のスタイルです。中江兆民は、葬儀を行わず火葬するように遺言を遺していました。その遺志により、中江兆民の弟子たちが宗教色を排除して知人らによるお別れの儀式をしたことが告別式の起源です。

当時は宗教的な葬儀式の代わりに告別式が行われていましたが、現在ではあまり区別されていません。

仏教の葬式は、葬儀式としての僧侶による読経と家族親族の焼香のあとに、告別式としての知人・友人などの焼香が一連の流れとして執り行われます。

通夜式とは

正式には、通夜式と言いますが通常、通夜またはお通夜と呼ばれます。

お通夜には、もともと仮通夜と本通夜がありました。

仮通夜は、亡くなった当日にごく身近な近親者が故人の枕元に付き添い、夜通しろうそくと線香を灯して、故人を見守ります。通夜という言葉は、「夜を通して」見守ることがその語源です。通常、僧侶による読経などは行いません。

本通夜は、死亡の翌日に執り行われます。現代では、ほぼ葬式当日と同様の流れで実施されることが多いようです。僧侶による読経、親族による焼香、知人による焼香と続きます。

ちなみに「お通夜」という言葉は、一般的には「本通夜」のことを指すため注意してください

さまざまな葬儀の種類

さまざまな葬儀の種類(屋外墓地と軍人)

時代とともに、葬儀の形式は変わりつつあります。

  • 一般葬
  • 家族葬
  • 直葬(火葬式)
  • 一日葬
  • 自由葬・無宗教葬
  • 密葬
  • その他の葬儀

ここでは、コロナ禍で増えてきた家族葬や直葬をはじめさまざまな葬儀の種類を紹介します。

一般葬

一般葬とは、従来の親族、知人、仕事関係者、ご近所の人など広い範囲の参列者を呼んで、1日目にお通夜、2日目に葬儀式・告別式を行う葬儀です。

通常の葬儀は、この形式のものを意味します。

家族葬

一般葬に対して、ごく限られた人だけで故人を見送る葬儀が家族葬です。ここ最近増えた形式です。基本的には、同居家族をはじめとする近親者が中心となって執り行われます。

家族葬という名前がついていますが、厳密な定義はなく、誰を呼ぶかは喪主や遺族の方針次第です。故人が生前親しかった友人やお世話になっているご近所の人を呼ぶ場合もあります。

一般葬に比べて小規模の人数で行われる葬儀と考えるとよいでしょう。

直葬(火葬式)

通夜や告別式を行わず、ご遺体を直接火葬場に運んで弔う葬儀のことを、直葬(ちょくそう/じきそう)または火葬式と呼びます。

通常、宗教的な儀式はありませんが、出棺時や火葬の直前に炉前で僧侶に読経をしてもらうケースもあるようです。

式場や祭壇が必要ないので、葬儀にかかる費用を大幅に削減できます

宗教学者の島田裕巳氏は、直葬をさらにすすめた「0葬(ゼロそう)」を提唱しています。0葬とは、火葬後遺骨を持ち帰らず、お墓も持たない弔い方です。

一日葬

従来の葬儀は、1日目に通夜、2日目に葬儀式・告別式と火葬が執り行われます。

一日葬はお通夜を省略し、1日で葬儀をすべて終了。一日葬に対して、従来の2日間にわたって行う葬儀を二日葬と呼びます。

自由葬・無宗教葬

宗教的な儀式を行わない葬儀も増加傾向です。

僧侶による読経などを行わず、今までの慣習にとらわれずに故人を偲ぶ葬儀を自由葬や無宗教葬と呼びます。宗教色を出さない葬儀に関しては、遺族よりもむしろ故人の意向が反映されることが多いようです。

密葬

密葬は、家族やごく親しい人たちだけで内々に故人を見送る葬儀の形式です。密葬には、厳密な定義はありません。葬儀の規模の面では、家族葬に似ています。

密葬という言葉が使われるのは、著名人や大企業の社長、社会的地位の高い方が亡くなった場合です。後日多くの人を招いて本葬やお別れ会が行われる前に、身内だけで葬儀を行う場合、密葬と呼ばれます

その他の葬儀

上記以外の葬儀には、社葬、合同葬、国葬などがあります。

  • 社葬
    企業が主体となって故人を弔う葬儀です。会社の創業者や功労者、あるいは現役の社長などがなくなった場合に実施されます。
  • 合同葬
    複数の主催者で葬儀を行う際の呼称です。企業の社長などがなくなった場合、社長の遺族と企業が共同で行う場合があります。先に述べた、社葬の一種ととらえることもできます。
  • 国葬
    国家に功績のあった人が亡くなった場合、国家が喪主となり国費を使って行われる葬儀です。その2023年9月27日に安倍晋三元総理の国葬が日本武道館で執り行われました。

葬儀の基本的な流れ

葬儀の基本的な流れ(白い花のアップ)

葬儀の基本的な流れを紹介します。

  • 1日目:死亡当日の流れ
  • 2日目:お通夜の流れ
  • 3日目:告別式の流れ

ここでは、従来タイプの2日にわたって広く参列者を招いて執り行う一般葬の場合を中心に説明します。

1日目:死亡当日の流れ

1日目(死亡当日)の流れは以下のとおりです。

  1. 人が亡くなると、医師が死亡を確認し、死亡診断書を作成
  2. 死亡診断書を添えて死亡届を役所に提出すると、火葬許可証が発行
  3. 葬儀までの間、遺体を安置する場所まで遺体を搬送
  4. この間、葬儀会社の担当者とお通夜や葬式の段取りについて打ち合わせするとともに、親戚や関係者に訃報を連絡

葬儀全般を葬儀会社で行う場合、死亡届の申請や遺体の搬送・安置は葬儀会社が代行してくれます。

2日目:お通夜の流れ

2日目には、お通夜が行われます。

  1. 通常、通夜式の数時間前に湯かん・納棺の儀を実施
  2. 通夜式(読経・焼香・喪主挨拶)
  3. 通夜振る舞い

上記は夕方の18時~19時頃に開始され、2時間程度で終了するのが一般的です。

3日目:告別式の流れ

3日目は、告別式です。一般的な仏教式の葬儀の場合、葬儀式と告別式は一体となって執り行われます

  1. 葬儀式・告別式(僧侶による読経、弔辞弔電の奉読、焼香)
  2. 出棺
  3. 火葬
  4. 初七日法要(本来は初七日に行われますが、今では簡略化され告別式当日に実施されるのがほとんどです)
  5. 精進落とし

上記は、午前中か午後の早い時間帯に開始されるのが通常です。

さらに詳しく葬儀の流れについて知りたい方は「葬儀の流れ完全版!当日までの段取りや必要な手続きまで徹底解説!」をご覧ください。

葬儀での遺族のマナー

葬儀での遺族のマナー(ろうそくのアップ)

ここでは、遺族側のマナーについて解説します。

  • 葬儀での遺族の服装
  • 葬儀での遺族の挨拶

遺族の服装と挨拶について説明します。

葬儀での遺族の服装

男性の喪主や遺族の場合、正喪服のブラックフォーマルか準喪服のブラックスーツを着用します。ワイシャツは白無地、ネクタイ・靴・靴下は黒無地。結婚指輪以外のアクセサリーははずし、全体として光沢や派手な装飾のない服装でまとめます

女性の場合も、男性と同様に黒を基調としたコーディネーションが基本です。ブラックフォーマルまたは準喪服のブラックスーツを着用し、ストッキングは薄めの黒。結婚指輪以外のアクセサリーとしては、一連タイプの真珠のネックレスであれば可能とされています。

かばんは、殺生を連想させる革製品は避けましょう。

葬儀での遺族の挨拶

通夜式や告別式では、遺族を代表して喪主が挨拶します。

挨拶する際は、ゆっくりと落ち着いた口調で、あまり長くならないように心がけましょう。

話す内容は、葬儀へ参列していただいたことに対するお礼と故人に対する生前の厚意への感謝の気持ちが基本です。

参列する側と同様に、遺族も忌み言葉や重ね言葉を避けなければなりません。また、普段日常会話で無意識に使っている言葉の中には、宗教用語もあります。例えば、「成仏」「冥福」などは仏教用語ですので、神式やキリスト教式の葬儀では使わないようにしましょう。

  • 重ね言葉・・・ますます、わざわざ、いろいろ など
  • 忌み言葉・・・消える、終わる、四、九 など

参列者のマナーについては「葬儀のマナー完全版!NG行為から当日の服装・持ち物まで徹底解説!」をご覧ください。

最近の葬儀の傾向

最近の葬儀の傾向(白い花畑)

昨今、今までの慣習にとらわれない自由な形式の葬儀が増えるとともに、コロナ禍により少人数化・小規模化がより一層進んでいます。

  • 葬儀の小規模化が進行
  • 宗教にとらわれない多様な形態が増加
  • 故人の生前の意向を反映

最近の主な傾向を解説します。

葬儀の小規模化が進行

従来より、葬儀は小規模化が進行していましたが、新型コロナ感染症の蔓延により、さらにその傾向に拍車がかかっています。

多くの人に参列してもらうのではなく、家族やごく親しい友人だけで葬儀を行う家族葬や直葬が選ばれているようです

宗教にとらわれない多様な形態が増加

宗教的儀式をなくした無宗教葬も増加傾向です。

故人の好きだった音楽を流したり、スライドやビデオを上映して故人を偲びます。

故人の生前の意向を反映

終活ブームにより、自分のお葬式やお墓について生前に意向を表明する人が増えています

葬儀に招く人をあらかじめ指定したり、好きだった花を飾るなど。家族葬は故人の意向を反映しやすい葬儀の形態です。

葬儀に関するよくある質問

葬儀に関するよくある質問(ラップトップパソコンを眺める女性)

Q1.家族葬に故人が親しくしていた友人を呼べますか?

はい、呼べます。家族葬には明確な定義がないので、だれを呼ぶかは遺族の判断次第です。

もし、迷ったら声をかけた方がいいとされています。また、呼ばれなかった人が後日気分を害さないように配慮することも重要です。

Q2.葬儀費用にお布施の金額は含まれていますか?

葬儀会社に支払う費用には、お布施は含まれていません

奉書紙や白い封筒に包んで、僧侶に直接渡しましょう。香典ではないので水引のついた不祝儀袋に入れる必要はないとされています。

コンビニや100均ショップでは、お布施袋を売っているのでそれを利用するのもいいでしょう。

Q3.コロナ禍での葬儀で気をつけることはありますか?

マスクの着用、手指消毒などの基本的な感染対策を行います

式場に設置する椅子は、十分な距離をとるように心がけましょう。基本的には、葬儀会社が実施する感染対策に従えば大丈夫です。

マスクの色については、はっきりとした決まりはありませんが、無難な色は白でしょう。黒色でも構いませんが、黒のマスクに対してカジュアルなイメージを持つ年配の方もいらっしゃいます。

逆に、一時期、ネットで「葬式では喪服に合わせて黒色のマスクがマナーだ」という情報が話題になりました。両論ありますが、結論としては黒でも大丈夫です。

ただし、派手な色のものやデザインの施されているマスクは避けてください。

まとめ:葬儀の基礎知識をマスターしていざというときに備えよう

まとめ:葬儀の基礎知識をマスターしていざというときに備えよう(籠とクマのぬいぐるみ)

普段なじみのない葬儀に関しては、歴史的・宗教的背景に基づき、さまざまな用語やルールがあります。

また時代とともに、葬儀の簡素化・少人数化が進み、新型コロナの影響もあって葬儀のあり方やマナーは変化してきました

故人を見送る大事な場面で、礼を失することのないように常日頃から準備をしておきましょう。