失敗しないためのエンディングノート(終活ノート)の書き方は?書くべき項目や使い方を解説
エンディングノートは、自分の意思や希望を家族や大切な人に伝えるための大切なツールです。
しかし、「どこから書き始めれば良いのかわからない」「何を書けばいいのか迷ってしまう」といった悩みを抱えてはないでしょうか?
このような悩みを解消するためには、エンディングノートの基本的な書き方や記載すべき項目を正しく理解することが大切です。
また、自分に合ったエンディングノートの形式や、書きやすい手順を知ることで、ストレス少なく作成を進められます。
本記事では、エンディングノートの作成に必要な情報や手順、注意点をわかりやすく解説します。
本記事を読めば、エンディングノート作成の第一歩を踏み出す自信が得られるはずです。ぜひ最後までお読みください。
目次
エンディングノートの書き方・手順を紹介

エンディングノートは、人生の最終段階における希望や情報を整理し、家族や大切な人々に伝えるための重要なツールです。
「こう書くべき」という明確なルールがあるわけではないので、自分の希望や考えに合わせて作成していくことが大切です。
エンディングノートの具体的な書き方と手順を解説していきます。
①どうやって作成するかを決める
エンディングノートの作成方法には、自作と既製品の利用があります。
自作の場合は、手書きのノートやデジタルツール(スマートフォンやパソコンのメモ帳、Wordなど)を使用して作成できます。
既製品の場合は、市販の手書き用ノートやアプリ、Webサービスを利用して作成できます。Webサービスの大きなメリットは、内容をデータで保管することで、火災や震災等によって消失してしまうという危険性がないということです。
使いやすさや続けられるかどうかを考慮して選ぶとよいでしょう。
②書く項目や内容を決めておく
エンディングノートに記載する内容は人それぞれですが、主な項目として以下のようなものが挙げられます。
- 基本情報
氏名、住所、生年月日など。 - 資産情報
銀行口座、不動産、保険、ネット銀行や仮想通貨の情報など。 - 支払い情報
クレジットカード、ローン、サブスクリプション、公共料金、スマホ代など。 - 連絡先リスト
家族、友人、関係者の連絡先。 - 医療・介護の要望
延命治療の希望、介護に関する要望など。 - 葬儀の希望
葬儀の形式、参列者の希望など。 - ペットに関する情報
飼育しているペットのお世話や引き取り手に関する情報。 - SNSやデジタル情報
アカウント情報、パスワード、連絡を希望するオンライン上の知人など。 - 家族や友人へのメッセージ
感謝の言葉や伝えたいこと。 - 遺言や相続に関する考え
法的効力はありませんが、自分の希望や考えを記載します。 - 年金手帳や保険証の情報
これらの所在や詳細。 - その他
自分史、今後の人生計画など。
並べてみると多く感じますが、すべての項目を一度に書く必要はありません。
後から追加・修正していくことができるので、まずは書きやすい部分から始めることが大切です。
③エンディングノートを選び、書きたい内容を記載する
自作の場合は、シンプルなノートやデジタルツールを選び、上記の項目に沿って記載を始めましょう。
既製品を利用する場合、書店やオンラインで販売されているエンディングノートを選びます。
選ぶ際のポイントは、自分が使いやすいと感じる形式を選ぶことです。手書きが好きな方はノートを選び、デジタルに慣れている方はスマホアプリやPCツールを検討すると良いでしょう。
また、どの形式でも大切なのは「書きやすさ」と「見直しやすさ」です。
自分の状況や環境が変わったときには、定期的に内容を更新する必要があるため、継続的に使いやすいものを選ぶようにしましょう。
④定期的に内容を見直す
エンディングノートは、一度作成して終わりではないため、最初から完璧を目指す必要はありません。人生の状況や環境の変化に応じて、内容を更新することが重要です。
たとえば、結婚、出産、転職、引っ越しなど、自身や家族のライフイベントの際に見直すと良いでしょう。また、年に一度など定期的に確認し、最新の情報を反映させることをおすすめします。
エンディングノートの作成は、自分自身のためだけでなく、家族や大切な人々への思いやりの表れとなります。
これまでの手順を参考に、ご自身に無理のないペースで取り組んでみてください。
エンディングノートの作成方法は3種類

エンディングノートの作成方法には、自作、手書きのエンディングノート、アプリやWebサービスの3種類があります。ここではそれぞれの方法のメリットとデメリットを解説していきます。
エンディングノートの作成は、自身の思いを整理し、家族への思いやりを形にする大切な作業です。各方法のメリット・デメリットを踏まえ、ご自身に最適な方法を選んでみてください。
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自作のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
自由にカスタマイズ可能コ ストがかからない 必要な情報だけを記載できる | 項目の整理に手間がかかる デザインやレイアウトを自分で考える必要がある 手書きの場合、継続的な更新が手間になることがある |
自作のエンディングノートは、ノートへの手書きやWord、Excelなど自分が書きやすい方法を選ぶことができ、自由度が高く費用も抑えられます。
しかし、デザインや記載する項目など全てを自分で一から考えて構成する必要があるため、手間や時間がかかることもあります。
手書きのエンディングノートを購入するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
項目が整理されており、書きやすい 手書きで温かみがある 書店やオンラインで手軽に入手可能 | カスタマイズ性に欠ける 書き直しや修正が難しい 紛失や劣化のリスクがある |
市販のエンディングノートは、書くべき項目が整理されており、手軽に書き始めることができます。
迷わず書き始めることができることは、エンディングノート作成への行動が起こしやすいでしょう。
しかし、自分が重要だと思う項目が入っていなかったりと、個別のニーズに完全に対応できない場合もあります。
水災害などで紛失したり、経年劣化してしまったりという心配もあり、保管方法には注意しなければなりません。
アプリやWebサービスのエンディングノートを利用するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
内容の更新が容易 相手によって公開する情報を分けられる 画像や音声も残せる | データ消失のリスクがある サービス終了の可能性がある デジタル機器の操作に慣れていないと使いにくい |
デジタル形式のエンディングノートは、情報の管理や共有がしやすく、更新も簡単なのが大きなメリットでしょう。
しかし、セキュリティやサービスの信頼性に注意が必要なため、利用するサービスは慎重に選ぶ必要があります。
また、人によってはパソコンやスマートフォンでの操作に不慣れで、利用すること自体のハードルが高いという方もいるでしょう。
可能であれば家族や信頼できる友人などと、情報を共有したり一緒に相談したりしながら書くと始めやすいかもしれません。
エンディングノートに書くべき項目・内容は?
エンディングノートには、すべての項目を網羅する必要はありません。人それぞれで状況や価値観も異なるため、自分や家族にとって必要な情報を選んで記載しましょう。
ここでは、主な項目とその内容を紹介します。
自分の基本情報
自身の基本情報は、万が一の際に家族や関係者が迅速に対応するために必要です。
たとえば、亡くなった後に必要な手続きや連絡の際に役立ちます。
- 氏名(ふりがな)
- 生年月日
- 住所
- 本籍地
- 血液型
- 職業
- 連絡先(電話番号、メールアドレス)
このような基本情報を記入しておけば、残された家族も慌てず安心して対応できるでしょう。
また、自分の趣味や好きなこと、よく行く場所なども書いておくと、書きながら自分の人生を深く振り返ることもできます。
資産に関する情報
資産情報は、相続手続きや財産管理をスムーズに行うために重要です。現代社会ではインターネット上に金融資産をお持ちの方も多いと思います。
特に、インターネット上の金融資産は家族が把握しにくいため、詳細に記載しておくと良いでしょう。
- 銀行口座の情報(銀行名、支店名、口座番号)
- 証券会社の口座情報
- 仮想通貨のウォレット情報
- 不動産の所有状況
- 保険の契約内容
- その他の資産(貴金属、骨董品など)
通帳や印鑑などの保管場所も合わせて記載しておくことが必要です。
ただし、第三者にこのような情報が漏れてしまうと危険なので、保管方法には注意してください。
支払いに関する情報
定期的な支払い情報を記載しておくことで、万が一の際にあなたに代わって家族が支払いの継続や停止を適切に行えます。これにより、未払いによるサービス停止や不要な支払いの継続を防げます。
- クレジットカードの情報(カード会社、カード番号、引き落とし内容)
- ローンの契約情報(住宅ローン、車のローンなど)
- サブスクリプションサービスの一覧(音楽、動画配信サービスなど)
- 公共料金の支払い情報(電気、ガス、水道、スマートフォン代)
- その他の月額サービス(ジムの会費、習い事など)
ローン類は支払いが残っていると遺族が支払わなければならない可能性もあります。亡くなった後でトラブルにならないよう忘れずに記載しましょう。
連絡先のリスト
緊急時や万が一の際に、家族や関係者が迅速に連絡を取れるよう、重要な連絡先をまとめておくことが大切です。親しい友人や知人なども記載しておくとよいでしょう。
- 家族や親戚の連絡先(氏名、関係性、電話番号、メールアドレス)
- 親しい友人や知人の連絡先
- かかりつけの医師や病院の連絡先
- 弁護士や税理士などの専門家の連絡先
- 勤務先や同僚の連絡先
病院に入院した、施設に入居した、葬儀に招待したいなどということを家族が代理で行うときには、連絡先の一覧表があるとスムーズに対応できます。
医療や介護の要望
自身の医療や介護に関する希望を明確にしておくことで、家族や医療関係者が適切な対応を取りやすくなります。これにより、自分の意思に沿った医療・介護を受けられます。
- 希望する医療措置(延命治療の可否、緩和ケアの希望など)
- 介護施設の希望(自宅介護、施設入所など)
- 臓器提供の意思表示
- かかりつけ医や持病の情報
- アレルギーや薬の禁忌情報
自分の代わりに家族がこのような医療や介護の方向性を決めるということは、大きな不安やストレスを感じます。万が一のことを考えて、事前に自分の想いや意向をまとめておいたり、家族と相談しておくようにしましょう。
葬儀の希望
葬儀に関する希望を事前に伝えておくことで、家族があなたの意思を尊重した葬儀を執り行えます。また、家族の負担軽減にもつながります。
- 葬儀の形式(宗教的儀式の有無、規模、場所)
- 希望する葬儀社や担当者
- 遺影に使用してほしい写真
- 参列者への連絡先リスト
- お墓や納骨に関する希望
近年では葬儀やお墓に関する選択肢が多様化し、自分が希望する葬儀やお墓を事前に選んでおくというケースも増えてきています。
事前に自分で決めておくことで、遺族が困らずに対応できます。
ペットに関する情報
ペットを飼っている場合、万が一の際に適切な世話や引き取り手を確保するための情報を残しておくことが重要です。
これにより、あなたが大切にしているペットが適切なケアを受け続けられます。
- ペットの種類、名前、年齢、性別、健康状態
- 飼育方法や日常の世話に関する詳細(食事内容、散歩の頻度、好きな遊びなど)
- かかりつけの動物病院の連絡先
- 緊急時の預け先や信頼できる知人の連絡先
- ペット保険に加入している場合、その情報
熟年となると、寂しさを紛らわすためにペットを家族のように可愛がる人も多いでしょう。あなたに万が一のことがあっても、大切な家族の一員が困らないようにこのような情報もまとめておきましょう。
SNSの情報・パスワード
SNSのみでつながっている相手などもいる方は、訃報などの連絡を入れたい場合は記録しておく必要があります。
ただし、SNSの鍵アカウントなど、家族や友人に見てほしくないものは記載しないよう注意が必要です。
- 各SNSアカウントのユーザー名、ID
- アカウントのログイン情報(ID、パスワード)
- アカウントの利用目的やつながっている人々の情報
- アカウントの削除や継続に関する希望
XやInstagramなど、SNSを利用している人も多くなってきています。あなたに万が一のことがあった後にアカウントへ適切な対処を行うためにもこのような情報をまとめて保管しておくとよいです。
家族や友人へ伝えたいこと
日頃伝えられない感謝の気持ちや、万が一の際に伝えたいメッセージを残しておくことで、遺された方々の心の支えとなります。
- 家族一人ひとりへの感謝の言葉や思い出
- 友人やお世話になった方々へのメッセージ
- これからの人生へのアドバイスや願い
- 伝えられなかった謝罪や感謝の気持ち
面と向かって家族に言いにくいことでも、エンディングノートに書いておくことで自分の素直な気持ちを伝えやすくなるでしょう。写真やイラストを添えたり、書くことが苦手であれば動画でメッセージを残すことも効果的です。
遺言や相続について
エンディングノートには法的な効力はないため、遺言書にはなりません。しかし、遺言書の下書きとして作成することで、正式な遺言書作成時の参考になります。
法的効力を持たせたい場合は、公正証書遺言など正式な形式で遺言書を作成することをおすすめします。
- 財産の分配に関する希望や考え
- 遺言書の作成状況や保管場所
- 相続人や受遺者に伝えたいこと
- 遺言執行者の希望
遺言書がある場合は保管場所などを記載しておくことで、遺族がスムーズに相続手続きを進められます。遺言書がない場合でも、財産の分配に関する希望や考えを示しておくことで遺族の混乱を防げます。
年金手帳や保険証などの情報
年金や保険に関する情報は、手続きや受給に必要なため、家族が迅速に対応できるよう整理しておくことが重要です。
- 年金手帳の保管場所、基礎年金番号
- 健康保険証の情報(保険者名、記号、番号)
- 生命保険や医療保険の契約内容、証書の保管場所
- 保険会社や担当者の連絡先
家族が手続きなどで困らないよう正確にこまかい内容を記載しておくとよいでしょう。
その他、必要に応じて書く項目
エンディングノートには、ここまでの基本的な項目以外にも、個々の状況や希望に応じて書き加える項目があります。
自分史や今後の人生設計などを記載しておくと、あなたが直接話せなくても、家族があなたのことを深く理解して対応していくことができるようになるでしょう。
自分史
自分史を記載することで、家族や友人があなたの人生を深く理解し、思い出を共有することができます。また、あなた自身の人生を振り返る良い機会にもなります。
- 生い立ちや家族構成
- 学歴や職歴
- 結婚や子育ての経験
- 趣味や特技
- 人生の転機となった出来事
- 大切な思い出やエピソード
今後の人生計画
今後の人生計画を明確にすることで、残りの人生を充実して過ごすための指針となります。また、家族や友人にあなたの希望を伝える手段にもなります。
- これから挑戦したいことや目標
- 行きたい場所や旅行の計画
- 学びたいことや習得したいスキル
- 家族や友人との時間の過ごし方
- 社会貢献やボランティア活動の計画
エンディングノートの作成に関する注意点

エンディングノートを作成する際に注意することをまとめます。
注意点を踏まえてエンディングノートを作成・保管することで、万が一の際にも家族や関係者が適切に取り扱ったり対応できるようになります。
エンディングノートの存在を伝えておく
エンディングノートを作成したら、その存在と保管場所を信頼できる家族や友人に伝えておきましょう。
紙のノートであれば、保管場所を明確にし、必要なときにすぐ取り出せるようにしておくとよいです。
アプリやWebサービスを利用している場合は、自分が操作できなくなった場合に家族がアクセスできるよう、ログイン情報や利用方法を共有しておくと安心です。
個人情報の取り扱いに注意する
エンディングノートには多くの個人情報が含まれるため、情報漏洩を防ぐための対策が必要です。
紙のノートの場合、鍵付きの引き出しや金庫など、人目につかない場所で厳重に保管することをおすすめします。
アプリやWebサービスを利用する場合は、セキュリティ対策がしっかりしている信頼性の高いサービスを選び、強固なパスワード設定や二段階認証などのセキュリティ機能を活用しましょう。
エンディングノートの書き方に関するよくある質問

ここでは、エンディングノートの書き方に関するよくある質問について、いくつか回答していきます。
エンディングノートはいつから書き始めればいい?
結論として、エンディングノートを書き始める時期に決まりはありません。
しかし、あまりにも高齢になってから書き始めるということは充分な準備ができないことも考えられます。
自身の親の介護問題や死別などに直面しやすい50代くらいから、その体験も踏まえながら考えると書きやすいかもしれません。また、もっと若いうちから始めるのも良いでしょう。
エンディングノートは一度書けば完成というものではないので、まずは書ける部分から始めて、後から更新していく作り方がおすすめです。その場合、手書きよりもWebサービスやアプリなどの方が便利です。
関連記事:若い人向け(20代・30代)におすすめのエンディングノート5選|書いておきたい内容を解説
エンディングノートを書くメリットは?
エンディングノートを書くことで、次のようなメリットがあります。
- 家族の負担軽減
自分の意思や希望を明確に伝えることで、家族が迷わず対応できます。 - 自身の意思の明確化
自分の考えや希望を整理することで、これからの自分自身の人生をより充実させる手助けとなります。 - トラブルの防止
財産や葬儀に関する希望を明確にしておくことで、家族間のトラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ
エンディングノートは、自分の意思や希望を家族や大切な人に伝えるための大切なツールです。
自作、手書きのノート、アプリやWebサービスなど、自分に合った方法を選ぶことで、作成がスムーズに進むでしょう。
また、記載する内容は本記事で紹介した全てを網羅する必要はなく、自分や家族にとって重要な情報を整理して書くことがポイントです。
また、作成したノートは定期的に見直し、最新の情報に更新することも忘れないでください。更新することにより、万が一の際に家族が困ることなく、あなたの意思を尊重した対応が可能になります。
本記事で紹介した書き方や注意点を参考に、ぜひエンディングノートの作成を始めてみてください。